●一般質問


「2020年も、輝ける豊島区となるために。」

無所属の会 ふるぼう 知生

 無所属の会、ふるぼう知生でございます。私は今定例会において「2020年も、輝ける豊島区となるために。」と題し、一般質問をいたします。高野区長を始め、理事者の皆様の前向きな答弁をご期待申し上げます。

 最初に東アジア文化都市事業の総括と今後についてです。今年2019年は、日本を代表してこの豊島区が東アジア文化都市事業を主催し、中国の西安市、韓国の仁川広域市と共に文化交流を行ってきました。先日そのフィナーレである閉幕式に参加し、歴代開催都市の全てを視察してきた私としては個人的にとても感慨深いものを覚えました。関わってきた職員の皆さん、この一年間本当にお疲れ様でした。事業が終了した直後ではありますが、この事業はレガシー事業を毎年継続していくというルールがありますので、来年度予算編成の都合上、総括や分析ももちろんですが、来年度以降の事業についても考えなければならない時期に来ていることから、今回質問することが適当であると考えました。

 私は以前一般質問を行い、「豊島区らしい東アジア文化都市事業にしよう!」と呼びかけました。様々な質問に対して区が答弁をしてくれましたが、その通りになっているか、今回の質問でその確認もさせていただきたいと思います。

まず、この事業における事業費ですが、文化庁に申請した段階では、5.5億円を想定していたと聞いております。最終的に、この事業において初めから計算するとトータルでどれだけの事業費がかかったことになりそうでしょうか。今、現在わかる範囲でお知らせください。そして文化庁の補助金を除外すると、豊島区の一般会計から出た事業費がどれくらいになるのかも併せてお知らせください。そして区長がたびたび答弁されてきた「最小の経費で最大の効果」という言葉通りの事業になったのかどうかについても区の見解をお答えいただきたいと思います。

日本における東アジア文化都市事業の全歴代開催都市の中で、奈良市を除けば、横浜市、新潟市、京都市、金沢市は人口、面積、財政規模においては豊島区よりもはるかに大きな都市ばかりです。ですから毎年最大でも総額5億円で収まっていたこの事業にそれ以上の税金をつぎ込むことに私は否定的でした。区長の言及した「最小の経費で最大の効果」という言葉を忘れずに今後も事業を行ってもらいたいと思います。

 次に、この事業を行うための組織・体制についてですが、各開催都市においては、数名或いは最大でも十数名の職員体制で行っていました。豊島区においては、全ての部局から兼務発令をした30名の若手特命チームを設けて全庁体制で取り組むという答弁を以前されていましたが、実際の職員の労働環境はどのようになっていたのでしょうか。行事が多くて度々残業をしているというようなお話も漏れ伝わってきていました。働き方改革が議論されている中で矛盾は生じなかったのかどうかも併せてお答えください。

また、私はこの事業において、少なくともオープニングとクロージングのセレモニーの際は、来日された中国や韓国の方々と、言葉の壁を乗り越え、その国の文化を感じ、それ以降も親しく交流を続けていくという、東アジア文化都市事業の本来の目的を果たすために、中国語・韓国語の通訳者も質・量ともに確保する必要があるということも問いかけました。歴代開催都市からのヒアリングによると、国民性の違いから、開催都市とのコミュニケーションにおいて相当の臨機応変さが求められるというお話がありましたので、そういう意味では担当者の方々はご苦労が多かったのではないかと察します。通訳者の質量ともなる確保と併せて、現実的な困難に対してどのようにして解決していったのか、今後他の都市がこの事業を行う際にも参考になると思いますのでお示しして頂きたいと思います。

 さらに、オープニングやクロージングの際に中国と韓国から交流団を受け入れると同時に、豊島区からも両市にそれぞれ交流団一行を派遣したわけですが、具体的にどのチームや団体が派遣されたのでしょうか。私は豊島区らしさを発信することができ、地域を代表する方々を派遣してほしいと要望していました。今回の豊島区からの交流都市への派遣において、どのような選定の基準が設けられたのでしょうか。派遣された団体は、豊島区の顔となり、「豊島区」を発信するための交流団となったことは間違いありません。数多くある文化団体の中から選ばれたわけですから、説明責任を果たしてもらいたいと思います。

 そして、何よりも大切だったのは広報の部分です。今までの歴代開催都市においては、豊島区よりも人口規模が大きく、面積も広い都市ばかりでしたから、いかに市民の皆さんと参加感を共有できるかが課題でした。豊島区の、そんなに面積が広くないという利点も踏まえながら、これまでのどの歴代開催都市よりも、区民の参加感を共有することが出来る事業にしていくために、広報という側面が重要だったわけですが、豊島区はどのような工夫をしたのでしょうか。また、結果的にどれくらいの区民の皆さんが参加感を共有できたかということはしっかり検証する必要性があると思います。このことを含め、またこの事業の総括という意味でも、私はできる限り早期にこの東アジア文化都市事業に関するアンケート調査をする必要性があると思っております。自分たちが盛り上がっていると感じていたとしても、意外と外野においては冷めていることが往々にしてあるからです。私の周りでもそのような冷ややかな反応は少なからず聞こえてきます。2020年以降の東アジア文化都市事業の継続・発展のためにも、そして豊島区がこの事業を総括していくためにも、様々な項目を加味したアンケート調査の実施について豊島区はどのようにお考えでしょうか。また、この事業全体に対する総括をどのような時期に、どのような方法で行おうと考えているのかも併せてお知らせください。

 そして、以前も申し上げましたが、私が現在最も心配しているのは、来年から始まるレガシー事業です。この事業を毎年少ない予算で効果的に行っていくためには工夫が必要であると考えます。歴代開催都市においてもそのことにとても苦労しているようにお聞きしました。華やかに文化事業を開催している年は予算については国の補助金を計算できるのですが、事業が終わると割いていた人員も少なくせざるを得ず、予算の獲得が困難になる中でも海外の都市との交流を継続していかなければならないとのことでした。歴代開催都市においては、それぞれどのようなレガシー事業をどれくらいの予算で毎年行っているのでしょうか。そして希望としては豊島区の次の世代を担っていく若い世代の方々に交流する機会を与え、行動範囲や視野を広げてもらい、将来の都市間交流、平和国家の構築に向けて、意義のある事業にしてもらえたらと考えます。全体の事業が終了した今、来年以降実施されるレガシー事業に対する区の考えと方向性についてお聞かせください。豊島区が東アジアの3か国の平和に寄与する文化交流都市として2019年に参画したという歴史が刻まれるようなレガシー事業をできる限り少ない予算措置で継続性を持たせていくことが出来るように工夫していただくことをお願いいたします。

 次に、その他として来年度に完成予定の豊島区の投資的事業について質問します。今年の終盤になり、これまで豊島区が進めてきた事業が次々と完成の時を迎え、オープニングセレモニーが幾度となく開催されています。これまで議会でも色々な議論がありましたが、その議論の中で示されてきた設計図が具体的な形となって現れたことに、なんとも言えない想いを抱きますが、2020年、東京オリンピック・パラリンピック開催の前までに完成を目指している整備事業も多々あります。一つ一つが遅滞なく進んでいるのでしょうか。それらの建設及び整備計画の進捗状況についてそれぞれお知らせください。

そして心配なのは、東京オリンピック・パラリンピックを迎え、国内外を問わず多くの方々が豊島区を訪れるものと予想していますが、本当にそうなるのかということです。現実問題として豊島区にはどれくらいの来街者が訪れることになり、その受け入れ態勢は大丈夫なのか。そしてその経済効果はどれくらいになると予想しているのでしょうか。

 来街者と言えば、特に外国の方々をお迎えする態勢になっているのかどうかも気になります。多言語化対応が街の隅々においても徹底されているのかどうか。豊島区のホームページはもちろんのこと、街あるいは商店街のMAPについても外国の方々が理解できる、あるいは行ってみたいと思えるようなものになっているのかどうかについても併せてお知らせください。

 豊島区内においては立教大学内にボルダリングの練習スペースが設置されたようですが、それ以外にはオリンピック・パラリンピックの競技場はおろか、練習場もありません。外国の方々にたくさん来てもらい、経済をそして商店街を活性化させるための環境の準備はできているのかについても豊島区の見解をお知らせください。

 真っ赤な電気バス、「IKE BUS」が豊島区を本日から正式運行し始めました。豊島区のホームページには「メインターゲットは豊島区に来るインバウンドを含めた来街者で、観光客や周辺に住む高齢者、障害を持つ交通弱者等の利用も想定。単なる移動手段ではなく、街に点在するさまざまな魅力あるスポットをシームレスにつなぐ移動装置としての役割を担い、また行動範囲の拡張と回遊を促すことで、街にさらなる活気とコミュニケーションを生むことが期待されている。」と書いてあります。すでにマスコミにも紹介されていて、話題性はありますが、持続性を担保するためにも広告収入を始めとする入りの部分を強化しなければなりません。先日試乗させてもらった時に、車内には賛同する企業のネームが所々にあり、短い期間でよくスペースが埋まったものだと感心もしました。このバスの耐用年数はどれくらいなのか、そして広告収入についての現在の状況と今後の展望についてもお知らせください。

 最近の豊島区は新庁舎の建設から始まり、HAREZA池袋、電気バス、池袋西口劇場公園、造幣局跡地の防災公園、トキワ荘復元施設、並びに市街地再開発等々、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機として豊島区に多くの来街者を誘導するために、数多くの投資的事業を行ってきましたし、未だそれは進行中です。2019東アジア文化都市事業は、豊島区がステップアップするための大きな階段であったことは間違いありません。そして、いよいよ来年には2020東京オリンピック・パラリンピックを迎えるのです。2020年も豊島区をアピールする絶好の機会と捉えるべきでしょう。以前、星野リゾートさんが建設したOMO5の紹介を契機として、大塚の街が何度もマスコミを通じて紹介され、大塚の新しい魅力が伝えられた時のような、いやそれ以上の広報戦略が必要であると私は感じております。新しく生まれ変わった豊島区の中心地池袋、そして大都会と庶民性、あるいは歴史性が混在する豊島区の見処、訪れ処を、マスメディア等を通じて国内外を問わずPRすることが必要不可欠であると思いますので、豊島区の広報戦略についてもお知らせください。

せっかく、これほどの投資的事業を行ってきたわけですから、そこから生まれてくる果実がより大きなものとなるよう、細部にわたって怠りなく業務を遂行して頂くことを要望します。一方で、全ては税金・公金によって作られたものです。形あるものには限界があり、そのためにメンテナンスが必要となります。この集中的投資事業によって作ってしまった債務についてはしっかりと清算するという貞操感は持ち続けてもらいたいと思います。全ての施策は、豊島区が輝き、そして区民の皆様が輝き、結果として豊島区に人、物、お金が集積し、税収が増え、行政サービスがより良いものになったと区民の皆様方から評価を頂くためであります。2020年も、輝ける豊島区となりますように、この間の投資的事業が後々振り返った時に、豊島区のステップアップのための礎だったと後世において評価されるようになる事を心から願いながら、私の一般質問を終了いたします。ご清聴誠に有難うございました。