●一般質問


「真に区民に寄り添う豊島区を目指して!」

令和元年第二回定例会   無所属の会 ふるぼう知生

無所属の会 ふるぼう知生でございます。私は今定例会において「真に区民に寄り添う豊島区を目指して!」と題し、交通事故に関する質問一本に絞って一般質問をいたします。高野区長の積極的な答弁をご期待申し上げます。

 まずは、先般行われた豊島区議会議員選挙において有権者の皆様の審判の結果を受け、私は和賀井哲代議員と共に「無所属の会」という会派を結成いたしました。政党に所属していないからこそ、区民の皆様のために本音で、かつ積極的に提言をしていきたいと考えております。理事者の皆様におかれましても、区民の皆様方への行政サービスがより良くなるためにご指導・ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

 さて、先般行われました統一地方選挙のさなか、区内の日出町第二公園前交差点において、87歳の男性が運転していた車が暴走し、本人と同乗者を含む10名が重軽傷を負い、2名が死亡するという重大な交通事故が起こってしまいました。そしてその後は、滋賀県大津市での保育園児死亡事故など、毎日のように痛ましい交通事故が起こっており、その方々の立場に置き換えて考えてみたときに、心が張り裂けんばかりの思いです。改めて、不幸にしてお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。また、怪我をされた方々には心からお見舞い申し上げ、かつ一日も早いご回復をお祈り申し上げます。

 豊島区では過去においても重大な交通事故が発生しております。2014年6月24日には池袋駅西口付近の路上で、暴走したRV車が歩行者に突っ込み、一人が死亡、6人が重軽傷を負うという事故が発生しました。RV車を暴走させた男は脱法ハーブを吸った直後に運転し、意識が朦朧とした状態となっていました。その衝撃的な映像がテレビを通じて流されたことや、事故後における高野区長の迅速な対応と行動により、脱法ハーブは非常に危険なものであるという問題意識が全国的に広まり、その後に豊島区内や東京都における脱法ハーブ店が一店舗もなくなることにつながったことは記憶に新しいところです。

 今回の東池袋における高齢者の暴走事故は、結果として全国の大きな注目を集めました。何の罪もない31歳の若いお母さんと幼い3歳の娘さんが同時に命を奪われたということ自体が衝撃的なことですが、87歳という高齢者の運転ミス、そしてその人物が2人も殺害しておいて逮捕されなかったこと、さらにはマスコミがそのことを理由として容疑者としての取り扱いをせず、敬称や肩書をつけて報道し、しかも加害者が元官僚だったことから、インターネットの世界では『「上流国民」は逮捕されないのか』という議論にまで発展し、その是非については日本中のあちらこちらで今でも論争が続いています。

 実はこの痛ましい死亡事故の被害者のご家族である松永さんとは、私は家族ぐるみでお付き合いをさせてもらっております。お二人の訃報が私の選挙事務所にも届き、スタッフみんなで事故現場に献花を捧げに伺いました。事故が起きてからもう2ヶ月が過ぎました。当初、事故現場には多くのお花とペットボトルが所狭しと並べられていましたが、つい先日とうとう献花台もなくなり、わずかなお花とペットボトルが置かれるのみとなりました。私はこの事故を決して風化させてはいけないという強い焦燥感に駆られております。

 選挙戦が終わり、私は松永さんお宅を訪ねたのですが、妻と娘を同時に一瞬にして奪われた拓也さんの表情は悲しいほどに生気を失っており、またそのご両親の涙ながらに語られるお姿から無念さがひしひしと感じられ、まさしく「かける言葉が見当たらない」とはこのことだと実感をしたひとときでした。

 この一連の過程の中で、このような重大な交通事故が起こった時に、もちろん一番身近でお役に立てるのは法律や裁判に詳しい弁護士であろうかと思いますが、行政として、一番身近な豊島区が交通事故の被害者、或いはそのご遺族の為に何かをしてさしあげることができないのだろうかとの考えに至りました。

 この事故が契機となり、全国で様々な提言がされています。運転免許証の発行に年齢制限を設ける案であったり、東京都が提唱するアクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐ装置への補助事業であったり、大阪府が提唱する認知機能が低下している高齢者ドライバーに対して、自動ブレーキ搭載車などに限定した免許制度の改正等々ですが、国家を挙げて企業とともに安全・安心をもたらす技術革新を進めてもらいたいですし、行政としても法律や制度を駆使して少しでも交通事故が減少するように議論を重ねてもらいたいものです。豊島区としては最近出てきているこのような提言や動きについてどのように受け止めているのでしょうか。

しかしながら、やはり交通事故の対策の中心的課題は、個人個人の安全・安心に対する意識の啓発ではないでしょうか。その点についても、豊島区や管内の警察署において事故後に工夫していることがあればお知らせください。

 豊島区はセーフコミュニティ認証都市であることを一つの特徴としています。安心・安全を追い求める豊島区だというのであれば、これだけの重大な事故が起こったのですから、池袋西口における脱法ハーブ吸引による自動車事故の時のように、豊島区として大きなメッセージを全国に発信していく必要性があると私は考えます。

 最愛の妻子を一瞬にして交通事故によって失ってしまった松永拓也さんが、連日の報道内容を見てマスコミに対する強烈な不信感を募らせる中、勇気を振り絞って行った記者会見の言葉、最近警察署等で本人の許可を得て交通事故防止のために使われているメッセージを私たちは忘れてはいけません。読ませてもらいます。

「最愛の妻と娘を同時に失ってから今日まで、なぜこのようなことになってしまったのか訳が分からず、いまだ妻と娘の死と向き合うことが出来ません。当たり前のように一緒に生きていけると思っていた大切な2人を失い、失意の底にいます。必死に生きてきた若い女性と、たった3年しか生きられなかった命があったんだということを現実的に感じてほしいです。

 現実的に感じていただければ、不安があることを自覚した上での運転や飲酒運転、あおり運転、携帯電話の使用などの危険運転をしそうになった時、2人を思い出し、思いとどまってくれるかもしれない。そうすれば、亡くならなくていい人が亡くならずにすむかもしれないと思ったのです。それぞれのご家庭で事情があることは承知していますが、少しでも不安がある人は運転しないという選択肢を考えてほしい。周囲の方々も働き掛けてほしい。家族の中に運転に不安のある人がいるなら、いま一度、家族内で考えてほしい。それが世の中に広がれば、犠牲者を減らせるかもしれない。そうすれば、妻と娘も少しは浮かばれるのではないかと思います。」

このメッセージはご遺族である松永拓也さんの魂の訴えです。安全・安心な街を希求する本区だからこそ、ご遺族の方々の心に、まさしく「寄り添う」豊島区であってもらいたいのです。この事故を受け、今定例会の高野区長の所信表明にもあったように、豊島区としても様々な対応をして下さったと承知をしております。そして松永さんのご葬儀には高野区長も参列してくださり、弔意を示してくださいました。ご遺族の方々も心から感謝をしておられます。しかしながら、私はもっともっとご遺族に対して寄り添う豊島区であってもらいたいのです。松永さんが言っておられるように、今回の事故をきっかけとして様々な議論がなされ、少しでも犠牲者がいなくなる未来にしていくことが何より重要と考えます。この事故を風化させないためにも、お二人の犠牲を無駄にしないためにも、私はぜひとも豊島区から全国へ向けて大いなる発信をする行動をとってもらいたいと考えますが、区長のご所見を伺います。また今後に向けた具体的なプランがあるのかどうかも併せてお聞かせください。この事故をきっかけに、高齢者の事故や飲酒運転、そしてあおり運転等が劇的に減少し、また悲しみを抱くご遺族の方々も激減したと後々において語り継がれるように、これだけ重大な事故が発生してしまった豊島区が、被害者のお気持ちに“真に”寄り添って行動してもらいたいと心から願いまして、私の一般質問を終了いたします。ご清聴誠にありがとうございました。