●一般質問
「大丈夫か?豊島区の財政。未来に負債を残さないために!」
平成31年2月20日 豊島区議会議員 ふるぼう知生
豊島刷新の会 ふるぼう知生でございます。今定例会において私は、「大丈夫か?豊島区の財政。未来に負債を残さないために!」と題しまして、平成31年度予算案一本に絞って一般質問いたします。高野区長の明快な答弁をご期待申し上げます。
先日、会派別予算説明会や予算内示会を通じて、我々議会に平成31年度の予算案が示されました。今後詳細に調査研究し、その可否を判断したいと思いますが、今この時点においても様々な疑問点が浮かび上がっております。
まずその第一は、平成26年度から5年ぶりに起債残高が基金残高を51億円超過する予算案になっているということです。豊島区は私の知る限りでは、毎年予算の編成の際に、「身の丈に合った財政」を主張し、起債を極力抑えながら、豊島区の財政力の範囲内で予算を編成してきたと理解をしておりますし、だからこそ私も、概ね了とし、予算案に毎年賛成の意を表明してきました。しかしながら、今回の予算案は明らかに豊島区の財政力を超える規模の予算ではないかと感じてしまいます。ここ数年50億円から60億円に抑制してきた起債について言うと、来年度は約128億円発行し、基金も総額172億円取り崩しを行い、結果として起債残高が基金残高を51億円超過してしまうということについては、率直に言って将来に対する不安を覚えます。これまでの豊島区の説明では、東アジア文化都市2019豊島、2020東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたり、多額の投資的経費を投入したいということであり、平成31年度から平成35年度の5年間で1167億円もの巨額の税金が投入される予定となっています。主な整備計画を列挙してみると、東アジア文化都市事業に5.5億円、芸術文化劇場整備に83.9億円、としま区民センター整備に76.6億円、造幣局地区防災公園整備に130.8億円、池袋西口公園整備に26.8億円、大塚駅北口整備に19億円、池袋保健所の仮移転に16.5億円、トキワ荘復元施設整備に9.3億円。この他にも挙げたらきりがありませんが、改めて多額の基金を取崩し、多額の起債を発行しながら、先ほど列挙した多くの事業を同時進行的に行う大義について区長の考えをお聞かせください。
次に近未来の財政計画についてです。51億円もの債務超過を抱える状況から再び基金残高が起債残高を超える財政状況にいつ戻そうと考えているのかと思い、資料を読んでみると、平成34年度にはそのような状況に改善できる見込みであると書いてあります。しかしながら、この計画には日本経済の失速による税収の減少という想定が組み込まれているのでしょうか。
今年の10月からは消費税の税率が8%から10%に上がりますが、5%から8%に上げた時に匹敵するほどの消費の低迷がもたらされ、日本経済が失速するのではという有識者の意見が圧倒的です。勿論、政府も以前の反省に鑑みて、対策を打つべくいろいろなメニューを用意しているようでありますが、軽減税率の難しさと相まって非常に複雑な制度になりそうです。
私は、最近厚労省の統計不正問題において話題になっている実質賃金が減っているのではという庶民感覚、またデフレを脱却しようと言っているのに、消費を縮小させ、デフレを助長する消費税の増税をこの時期に行うのは狂気の沙汰だと思っておりますが、消費税増税の日本経済に与える影響は計り知れないものがあり、また2020東京オリンピック・パラリンピックが終わった後の反動と相まって、日本経済は間違いなく失速すると私はみております。豊島区は日本経済の失速による税収減という可能性についてどのように考えているのでしょうか。また平成34年度に再び貯金が借金を超過する見通しを立てておりますが、上述したような経済の動向を予測した上でそのような計算をしているのでしょうか。今の日本経済はアメリカの景気が良いことから好調と言えるのであり、消費税導入、或いは税率アップ時の日本経済への影響という観点で歴史に学び、また外国経済の影響も考慮しながら、希望的観測ではなく現実的な視点からの財政計画にしなければならないと考えます。後から見立てが甘かったと後悔しないような計画にしてもらいたいものです。
次に、目的別経費について質問します。平成31年度予算案では一般会計において前年度当初予算に比べて252億円増の1498億円となっています。それに伴い、各目的別経費も総じて増加となっているのは当然の帰結ですが、区民費が約3.4億円、福祉費が約7.0億円、そして公債費も約2.5億円減額となっています。区民費や福祉費は区民に最も密着したサービスを行う部署であり、それが合わせて10億円以上も減額になっているのは区民に対して説明責任が求められるところです。それに対して、文化商工費に関しては前年度比237%の増額と数字が突出しており、この数字だけを見ますと著しくバランスを欠いた予算と区民の皆様は感じるのではないでしょうか。
まず区民費と福祉費について、主にどの事業を削って減額としているのかお答えください。細かく見てみると、平成31年度予算案では福祉費の中でも新規拡充事業が36事業、3億2693万円の予算が計上されています。ということはその分も考慮すると、トータルで10億円以上の事業が廃止あるいは縮小されたということになります。真に必要のない事業であれば良いのですが、区民の皆様にとって必要な事業であったかもしれず、とても心配になります。廃止・縮小した事業についてその理由も併せてお答えください。「豊島区当初の予算(案)の概要」1.編成方針において、「区民生活を支える様々な施策の充実を図りながら」と明記してありますが、この言葉と矛盾しないのかどうか、ご説明を頂きたいと思います。
最後に、区職員の意識についてです。豊島区がこれだけ多くの投資的事業を同時進行的に行っているわけですから、一つ一つの事業について、無駄遣いをせず、お金が入る事業は少なくともどんぶり勘定ではなく、収支において赤字を出さないようにと以前から忠告しております。しかしながら、例えば新豊島公会堂については、開設後の収支の予想を尋ねると、「毎年3億円の赤字です。」という回答が平然と出てきます。ネーミングライツという手法を用いて少しは収益を増やすことはできても赤字であることには変わりありません。また、観光や賑わいを生み出すツールとしての電気バスにおいても、あるいは大きな税金を投入して広告収入を得ることが出来るように整備をする池袋西口公園においても、収支の見通しを聞くと、基本的には赤字の予想を立ててくる職員の意識に私は大いに疑問を抱いております。ここが民間との違いなのかなと痛切に感じてやみません。福祉や教育といった事業については、赤字覚悟で予算を投入しなければならないと私も思いますが、収入を得る仕組みがあるにもかかわらず、それを有効的に活用せず、安易に赤字になると答弁する区の職員に、「公金を扱っている。血税を使わせてもらっている。」という意識の無さを感じます。区の事業ですから儲けろとは言いません。少なくとも収益を得ることが出来る事業は赤字を出さないという貞操感が必要だと申し上げているのです。新豊島公会堂において、将来の収支の見通しはどのように改善がなされたのでしょうか。現在の検討状況をお知らせください。更に電気バス事業、池袋西口公園における将来の収支の見通しについてもどのように議論が進んでいるのかも合わせて答弁ください。計画の最初から赤字と言っていたら、蓋を開けてみたらその赤字額は更に増えてしまったということを私たちは何度も見聞きしています。一つ一つの事業において赤字を出さないという意識の徹底をお願いしたいと思います。
新豊島公会堂について更に言及すると、「毎年赤字でどうするの?」と尋ねた時に、「賑わいが生じて、商店街が活性化し、税収が増えるから大丈夫です。」という答弁が返ってきましたが、あまりにも楽観的で論理的な根拠がなく、とても容認できません。一年間に何人の方々がハレザ池袋を訪れ、そのうち何%の方々が地元の商店街でお金を使い、それが平均どれくらいの金額になり、どれくらいの経済効果がもたらされ、最終的には税収がどれくらい増えるという論理を研究してほしいと1年前の予算特別委員会で私は執行部の皆様に投げかけたつもりでありますが未だに回答がありません。
私は昨年の予算特別委員会で、「豊島区の財布」という資料をみながら、「来年度予算については賛成する自信がない」と述べました。それくらい、来年度予算案に対して危機意識をもって参りました。その後に見直しをして大きく改善が図られたようですが、現状私が提示した問題意識を受け止め、しっかりと説明責任を果たして頂くことを強く要望するところであります。
私も豊島区の未来が明るいものになることを心から願っております。しかしその為だからといって未来に大きな負債を残すことは避けなければなりません。ただ、それをも超越する大義があるならば、そこは徹底的に議論し、将来の財政計画についても現実に根差した責任ある計画を提示し、説明責任を果たすことが重要と考えますので、私は今回強い想いをもって来年度予算案一本に絞って質問をさせて頂きました。高野区長におかれましても率直に答弁をして頂くことをお願い申し上げます。以上で、私の一般質問を終わらせて頂きます。ご清聴誠に有難うございました。