平成30年度 豊島区予算案 意見開陳

H30年3月19日

刷新の会 古坊知生

  豊島刷新の会 ふるぼう知生でございます。本予算特別委員会に付託されました四つの議案、即ち平成30年度豊島区一般会計予算及び三特別会計予算に対して意見開陳をさせていただきます。

今回の予算特別委員会において私は、「身の丈に合った財政運営になっているかどうか」、「一つ一つの事業に対して公金扱っている、区民の血税を使わせて頂いている」という視点を持っている予算なのかどうか」というテーマを掲げて質疑応答に臨みました-。限られた時間内ですので、意を尽くせないところは多々あったかとは思いますが、そんな中でも丁寧かつ真摯なご答弁をしていただいた、高野区長をはじめとする理事者の皆様に感謝を申し上げます。

区財政における具体的数字に関しては他の会派の方々からも言及がありましたので重複は避けますが、私が最も注目したのは本予算特別委員会の初日に提出された、「としまのお財布」という資料です。中でも「今後5年間の基金と起債の計画」の箇所を見ますと、平成31年度の起債残高予定額は433億円となり、基金残高予定額は297億円ですから、いよいよ起債残高が400億円台を大幅に超え、基金残高を起債残高が大きく超えるという、逆転現象が生じることが予想されています。多くの議員がそのことに対して一抹の不安を抱くことは当然でありましょう。なぜなら、かつて豊島区は最大で872億円という借金を抱え、財政再建団体に転落するのではないかという危機に瀕した経験があるからです。そのことについて高野区長は「今が池袋、ひいては豊島区を大きく発展させるチャンスと捉えている」という答弁をされていました。

確かに、来年の東アジア文化都市事業そして再来年の東京オリンピック・パラリンピックという大きな事業を控えた今が、池袋をそしてひいては豊島区を都内、あるいは全国有数の街・自治体にしていくための千載一遇のチャンスの時であることは間違いないでしょう。今まで、財政再建に真剣に取り組み、自分自身が達成した政策にお金が使えなかった時代が長かった高野区長が、今こそが攻めの時と捉えて、巨額な投資的事業を行おうとすることは理解をするところではあります。しかしながら、であれば、その投資的事業ももちろんですが、一つ一つの事業に対して費用対効果をしっかりと捉え、無駄遣いをなくす努力が公務員たる皆様の責務であると私は考えます。大金を手にした時は自らの気持ちが大きくなって、金銭感覚が麻痺することは社会生活の中で、往々にしてあることです。だからこそ、一つ一つの事業に細かくコストカットの意識を持つべきだと思うのです。そうしなければ、過去において豊島区が経験した財政的ににっちもさっちもいかない状況。あるいは経常収支比率がほぼ100%近くになり、政策的に投資するお金がない状態に逆戻りしないとも限りません。そのことを肝に銘じておいてほしいと思います。

それでは、以下款別に審査をした時の議論を振り返り、若干の要望を述べさせて頂きます。

まず、議会費・政策経営費・総務費です。議長交際費についてですが、平成27年度の執行率が54.2%と例年よりも非常に少なくなっています。議長の裁量によって金額を抑えることができることの証明であり、今後就任される議長におかれましてはできる限り議長交際費を抑える努力を期待したいと思いますし、予算額においても現行の140万円よりも縮減することを求めます。

女性にやさしいまちづくり推進事業経費については、「としまSCOPE」を活用して若い世代の方々への発信力を強化し、さらには「としまぐらし会議」では比較的若い方々が参加することにより、新しい発想によるまちづくりの方策が提案され、上からではなく、みんなで一緒に街づくりをしていこうという姿勢に非常に共感を覚えます。課名を変更するようですが、「わたしらしく、暮らせるまち」づくりに向けて一層努力され、日出町第二公園のMorning Marketでも示された、小規模公園の活用も進めながら、若年女性や子育て世代の定着率の更なる向上に向けて、魅力ある豊島区へと益々ブラッシュアップしていただくことを期待しております。

選挙費についてです。投票事務従事者謝礼の一人当たりの報償費として44,000円が支給されていますが、やはり時給3,200円という金額が、区民の皆様の納得感を得ることが出来るかと言えば、NO.と言わざるを得ません。労働組合との交渉によって決定するということでありますが、労働者の権利を守りながらも、一方において金額を抑えて妥結してきた歴史もあるわけですので、たゆまぬ交渉の努力をしてもらいたいと思います。

防災危機管理費についてです。新聞報道によると、東日本大震災をきっかけとして増量された備蓄食料について、賞味期限が切れてしまい、処分に悩む自治体の苦労が浮き彫りにされていましたが、本区においては、しっかりと計画を立て、賞味期限が切れる1年前をめどに2年間かけて、防災訓練等を通じて参加者の方々に配布をし、新しい食料に更新しているということを確認できました。無駄に廃棄するのではなく、意味のある使い方をしてもらっていることに胸をなでおろしました。今後も計画的に、そして無駄遣いとならないような方策の実現をお願いいたします。

次に、区民費・福祉費・衛生費です。孤独死、特に生活保護者の孤独死についても言及をしました。孤独死が発見された場合、期間が長く経過している場合は死臭等の発生により、特別清掃を入れることになりますので、その経費を住宅の所有者が負担をしなければならず、結果としてそのことを危惧して生活保護者に提供してくれている住居の個数が減少してしまう懸念があることを関係者から聞きました。法律や条例的に難しい課題もあるかとは思いますが、不動産関係の業界の方々とも密接に連携をとってもらい、そのようなことの無いようにご努力をお願いします。

ワクチン接種については、私は基本的には反対の立場をとっておりますが、近年定期接種化されたワクチンの数がとても多い中、今回新規でロタウイルスワクチンを接種する際に補助金を出し、区民の負担を軽減する事業が予算化されています。任意接種ではありますが、0歳児において、もうすでに定期接種だけでも13回の接種が必要となっており、そこに更に回数が2回もしくは3回増えるわけですから、保護者の方々も医療の現場も混乱が生じることは想像に難くありません。また、大人でさえ、何種類もの薬を飲むと副作用が生じることが言われている中で、果たして0歳児の赤ちゃんにおいてこれほどの過密スケジュールでワクチンを接種することが赤ちゃんの体に大きな負担を与えることは無いのかということも心配されるところです。ぜひ、そのような観点を厚生労働省に上げて議論していただくことを要望します。

次に環境清掃費・都市整備費です。マンションの耐震診断・耐震改修費については、同じ東京都内でありながら、区が違うと助成金の補助率が違うという問題も生じています。23区の少なくとも平均的なところを目指して補助率のアップを検討してください。さらに、分譲マンションに適用している補助制度を賃貸マンションに適用していないという本区の実情があります。こちらのほうも、分譲であろうと賃貸であろうとマンションに住む方は同じ豊島区民であり都民であります。安全・安心を追求する権利は等しくあるわけですから、賃貸マンションについても耐震診断・耐震改修費の助成について検討し、一刻も早い助成制度の開始を要望します。

池袋西口公園整備工事についてですが、事業費が26.8億円という巨額になっている理由の一つに、パーゴラという屋根のような建築物の工事に8.7億円という見積もりが出ています。いくらその高額の理由を論理的に説明をすることができたとしても、区民の皆様が納得間を得ることは非常に難しいと考えます。グローバルリングの発想の原点である池袋の起源「丸池」をイメージしているというところは維持しながらも、経費に関しては出来る限り削減する努力をしていただきますよう要望します。また、構造上の安全性において疑問を投げかける方もいらっしゃいます。万が一の時の安全性・安心性がしっかり担保できるような整備を要望します。

文化商工費・子ども家庭費・教育費です。

旧鈴木信太郎邸に関して、決算特別委員会のときに、「地域に愛される施設にしてほしい」との要望を受け、早速に地元町会の方々に見学会を設定してもらいました。心から感謝申し上げます。和洋折衷とはまさにこの旧鈴木信太郎邸のことをいうのかと思いましたが、やはり以前からも言及している通り、場所が分かりにくいという点は否めないと思いました。近隣におけるサイン表示や、広報におけるPRなど、工夫を凝らしていただき、区内外、あるいは海外を含む多くの方々が、訪れるような施設に整備し、かけた経費を意義のあるものにしていただくことを要望します。

新ホールについてですが、ランニングコストや支出の概算では、毎年3億円弱の赤字となることが予想されています。ネーミングライツ等で収入を図り、できる限り赤字を少なくしていこうという努力は感じますが、もし、毎年約2億円の赤字で50年続けると、トータル100億円の赤字を作り出す施設ということになり、将来の負の遺産になりはしないかと多くの区民の皆様が心配されています。少なくとも八つの劇場により圧倒的な賑わいを創出するということを打ち出しているのですから、その事業による経済波及効果を算出し、それによって税収がどれくらい増えるのか、そしてその分も含めてトータルとして収支はどれほどになるのかといったロジックを研究してもらいたいと思います。そのことによってただ短絡的に、大勢の人が来るから、賑わいを創出できるから大丈夫という安易な発想から脱却できると思うのです。利益を出せば出したで結構ですが、少なくとも最低でも収支のバランスが取れているという論理を構築することによって、区民の皆様に対する説明責任を果たすことが皆様のお仕事だと思いますので、ぜひご検討ください。さらに、現在盛んに「アフター・ザ・シアター」という言葉が発せられ、観劇した後に、この街で余韻に浸っていただくことによる、町の活性化が議論されています。外国人にも良く分かる商店街マップを作成することはもちろんのこと、具体的に近隣のお店に入ってもらい、お金を落としていただく工夫を詰めていく段階だと思います。また、以前にもお話しましたが、八つの劇場の中で4つについては区が管理することになり、他の4つに関しては管理者が豊島区ではありません。しかしながらお互いがバラバラに企画・立案してしまっては八つの劇場を整備した相乗効果を引き出すことが出来なくなることから、トータルとして統一感を持ちながら管理運営をしていくことが重要です。その体制を早期に構築していくことも大切な観点であると思いますので、ぜひ宜しくお願いいたします。

今回の予算特別委員会においては、セーフコミュニティ(SC)とインターナショナルセーフスクール(ISS)について何度も議論をしてきました。私としては、分かりやすい例を示していかに無駄遣いをしているかということを皆様に知っていただきたいという思いでした。時に厳しい口調で申し上げましたけれども、私が言いたかったことは、唯一つであります。冒頭にも触れましたが、区民の皆様からいただいた公金を扱っているという認識があるか。区民の皆様の血税を使わせていただいているという自覚があるか、ということです。

今まではISS活動を全校に広げ、全校で認証を取得していくのが規定路線であるかのようなお話でしたが、質疑の中で中学校区域に最低でも一校ずつ認証校を作り、その成果を学校区域に広げていくという風に答弁が変わってきたことは何よりでした。教育委員会からいただいた資料で自分なりに計算してみると、朋有小学校から始まり、毎年二校ずつ認証を取得し、平成41年度に全校で認証を取得する間に3年ごとに全学校で再認証・再々認証、再々々認証を取得し続ければ、4億円をも超える予算がかかることが予想されましたので、なんとしても止めなければならないという強い思いを抱いておりました。

また、私が提案しているセーフティプロモーションスクール(SPS)であるならば、同じルーツから出てきた運動ですので、殆ど趣旨は同じですし、また現在はわが国独自の認証制度ということもあり、文部科学省も補助金を一部出しており、一つの学校で認証を受けるために30万円程度しかかかりません。それに対してISS活動は一つの学校で認証を所得するために約500万円がかかるという計算です。もし国際認証のほうがよいというのであれば、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が推奨するユネスコスクールという認証制度もあり、これは経費がかからないと聞いています。このように考えてみると、費用対効果ということを教育委員会は真剣に考えているのか疑問に思わざるを得ません。区民の皆様に対して説明責任を果たせないと思います。SCからの流れでISS活動を始めたという経緯は理解しますが、他の自治体ではSCの認証取得のために活動はしても、ISS活動はしないという自治体もあるわけですから、SCとセットで考える必要はありません。

安全・安心を追求することは誰もが否定しないことでしょう。しかし、この制度はそもそも認証を取得する自治体が非常に弱い立場であるという弱点があります。逆に言うと、認証を与える立場と頂く立場では与える立場のほうが圧倒的に強い立場であることは論を待ちません。ですから、日本セーフコミュニティ推進機構(JISC)から認証をもらいたいとして、JISCが要求するままに、あれもこれも支払っていたら、お金がいくらあっても足りません。まさに、蟻地獄に陥るようなこの認証制度そのものを再検討してもらいたいと思います。

SC及びISSを支援する組織は国内にJISCしか存在せず、JISCとの委託契約等では競争原理が働かず、独占状態にあります。しかも、国際認証取得の為に海外審査員を招聘するための経費も他国や他都市との比較が出来ず、良く見えないというのが実際のところです。区の理事者は、費用は最小限の経費に工夫をするといいますが、既に豊島区においてはSC及びISSについては充分なノウハウを構築しているのですから、安全・安心ということに対して先進的な自治体となっている豊島区であると自負心をもち、豊島区独自の手法で安全・安心を追及する体制を構築すべきではないでしょうか。

大切なことは、WHO直属の組織ではなく一NGOである団体から与えられる認証ではなく、児童・生徒の為に具体的に何をしてあげるかということではないでしょうか。自民党の松下議員の質疑の中で、学校の楽器の購入が30年ぶりというお話がでてきて、とても心を痛めました。子供達への具体的な投資を優先すべきです。教育委員会にはこの件に関して猛省を求めます。そしてJISCへの公金支出は、抜本的な見直しが必要であると強く主張いたします。

次に、三特別会計です。平成28年度4月までに介護保険から切り離され、市区町村事業に移行した軽度の要介護者向けのサービスについて質疑をしました。来年度から豊島区独自の方法で、新・訪問型サービスを行うようですが、現場において定着するには時間がかかると思います。しかしながら、最終的には利用者の方々にとってよりよいサービスが提供されることが重要であると考えます。その上で、サービスを提供する個人・或いはそのバックボーンにある事業者の方々にとってもより良い制度となるようにご努力をお願いします。

現在、豊島区は大きな岐路に立っていると思います。それは、巨額な投資を行って、豊島区の国内におけるステータスを更に高めるのか、あるいは、堅実な財政を図り、地道な歩みを展開していくのかという岐路です。この状況で高野区長は前者を選択しました。その政治的判断が正しかったかどうかは、他ならぬ歴史が証明することでしょう。

私は、いつも申し上げておりますが、財政的に瀕死の重症だった豊島区を、財政再建を成し遂げるまでに至った実績、あるいは豊島区を住みたい街ランキングやその他の指標において常に上位に押し上げ、豊島区のステータスを高めてきた実績に対して高野区長のこれまでの手腕を高く評価するものであります。だからこそ、ここ数年間で一時的には借金が増えるかもしれないけれども、あとにおいてはしっかり調整し、財政状況を健全化していくという意思や計画があることを信じるものであります。

2019年東アジア文化都市事業、そして2020年東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げる環境整備をするために、巨額の投資的事業が目白押しです。しかしながら、冒頭申し上げましたとおり、そうであればあるほどに、皆様には一つ一つの事業に対してコストカットを図り、税金の無駄遣いはないかというアンテナをしっかり張ってもらいたいと思うのです。

今回の質疑を通じて、本当に公金を扱っているという認識、区民の血税を使わせて頂いているという自覚がまだまだ欠如しているといわざるを得ない事業が散見されました。皆様方の姿勢が先ほど申し上げたように変われば、そして徹底されれば、「としまのお財布」で示された「今後5年間の基金と起債の計画」の数値も大きく改善されていくのではないでしょうか。

しかし、万が一その姿勢が無ければ、その数値は更に悪化の一途をたどることでしょう。まさに平成30年度はその分岐点に立っているといっても過言ではないとの思いで厳しく質疑をさせていただいたという私の本心をご理解いただけたらと思います。

以上、色々と申し上げさせていただきましたが、平成30年度豊島区予算案は「身の丈に合った財政運営」の範囲内と判断しますが、今後特に起債残高と基金残高に焦点を当てて考えると、いわゆる借金が貯金を上回る状況になる平成31年度以降については相当な不安を感じざるを得ない現状であることは改めて言及をしておきます。しかしながら、今回熱く語られた高野区長のまちづくりにかける思いを信じ、そして役所の皆様の行財政改革・コストカットの意識に大いなる期待をして、今回平成30年度豊島区一般会計予算案、並びに三特別会計の予算案に対しては可決に賛成の立場を表明しますが、今後もますます増え続けていくであろう、社会保障費への対応、また学校をはじめとする公共施設の改築・改修など、他にも発生することが予想される莫大な費用をどのように捻出するのかという問題点も踏まえて、今後も知恵深く計画的に行財政改革に取り組んでいただくことを要望いたします。

最後に本予算特別委員会における村上宇一委員長、島村高彦副委員長の公平公正な運営についても、衷心より厚く御礼を申し上げます。また、私の資料請求に対して迅速かつ、的確に対応していただきました理事者の皆様や関係者の皆様にも心から感謝を申し上げます。

豊島区の大いなる発展と一人一人がその人らしく暮らせる素敵な豊島区になることを心から願いまして私の意見開陳を終了させていただきます。ご静聴まことにありがとうございました。