●一般質問
「セーフコミュニティとインターナショナルセーフスクールを見直そう!」

平成29年11月22日  豊島区議会議員 ふるぼう知生


 豊島刷新の会、ふるぼう知生でございます。私は「セーフコミュニティとインターナショナルセーフスクールを見直そう!」と題し、このテーマ一本に絞って一般質問をいたします。今年の第三回定例会における決算特別委員会において、私はセーフコミュニティとインターナショナルセーフスクール(以後はISSと略します)について質疑応答をいたしました。時間が短かったこともあり、問題提起をすることは出来たと思いますが、まだまだ多くの論点を提起できず、お互いに議論が不足していると感じたことから、今回はより詳細に質問をし、私の問題意識を役所にも、そして区民の皆様にも共有してもらいたいという動機からこの場に立つ決断をいたしました。高野区長を始め、理事者の皆様の前向きな答弁をご期待申し上げます。
 まず、そのセーフコミュニティですが、当初はセーフコミュニティの国際的な本部組織としての「WHOセーフコミュニティ協働センター」が認証しており、豊島区をあげて認証取得を目指しました。当時は、セーフコミュニティという新しい言葉の響きと、「安全・安心」という誰もが賛同できる内容であることから、多くの方々の共感を呼び、部局横断的な取組であるにもかかわらず、警察・消防関係を始め、区内の多くの団体が協力する中に、区民一丸となってこの運動を推し進め、5年前の認証取得という大きな成果を挙げることができました。そして今年はその再認証を取得する年ということで、先日は現地審査がなされ、私も全体説明会を見学させてもらったところです。
 ところが、2年前の2015年10月にセーフコミュニティの認証を与える組織が「国際セーフコミュニティ認証センター」に変わり、WHOの直属の機関ではなく、一NGO(非政府組織)が行うこととなり、そもそもの前提に大きな変化が生じております。
 セーフコミュニティは5年ごとに再認証を取得すること、そして認証取得した地方自治体同士で交流を深めていくことが義務付けられています。しかしながら、これまでに再認証取得を選択しなかった自治体もあると聞いております。そこで質問します。現在までに、セーフコミュニティとして認証を取得している地方自治体は日本全国で何箇所あり、そのうち、再認証取得をしなかった地方自治体は何箇所あるのでしょうか。また、再認証取得を辞退した理由についてもお知らせください。
 更に、この認証を取得するために多額の予算が必要になってきますが、たとえば、セーフコミュニティの認証取得を目標に活動を開始し、認証を取得したのち、5年後に再認証を取得するという一連の流れの中で、トータルでどれくらいの予算がかかるのでしょうか。そのうち、国際セーフコミュニティ認証センターに対してどれくらいの金額を支払っているのでしょうか。またその金額の大まかな内訳もお知らせください。
 次にISSでありますが、これは一度認証を取得してその3年後に再認証を取得するシステムになっております。豊島区の小中学校が30校もあることから、全小中学校においてISSの認証取得、さらには再認証を取得し続けるとなると、莫大な予算が必要となります。もちろん、安全・安心は区民の皆様にとっても、児童や生徒にとっても必要不可欠なものであります。しかしながら、ISS活動を全小中学校に拡大をして認証を取得し、さらには再認証を3年ごとに取得するとなると、一体、何年の月日がかかり、また予算はどれほどかかることになるのでしょうか。そしてそのうち、どれくらいの金額が国際セーフコミュニティ認証センターに支払われるようになるのかもお知らせください。
 いずれにしても、大きな金額です。しかも、先ほど述べたように、一昨年前から認証を与える組織となっている国際セーフコミュニティ認証センターは、WHOの直属の機関ではありません。何度も言いますが、民間の一NGOであります。そのような民間の団体に巨額な区民の血税を支払う以上、区民の皆様にも相当な説明責任が必要になってくると思うのです。
 豊島区においては、今後5年間の投資的経費が約856億円にも及ぶと言われるぐらい、大規模な予算を伴う事業が目白押しであります。そのような状況であることを鑑みて、それ以外の事業にも潤沢に予算を使える余裕は今の豊島区には無いと私は考えます。
 そこで、まずセーフコミュニティについては、目的は何といっても、安全・安心を守るということですので、豊島区が部局横断的に関係官庁・区民団体と深く連携しながら、地域主体の活動を継続していくことについては大賛成でありますが、WHOとしての認証でもなくなった今、今回の再認証取得までで一つの区切りとし、再々認証の取得は目指さず、むしろ安全安心のための具体的な事業に投資することを選択すべきと考えます。
また、ISS活動については、そもそも初めからWHOが直接に認証を与えているということではなかったということでありますので、全小中学校における認証取得にまで広げる必要性があるのかどうか、私は疑問を感じます。小学校22校、中学校8校についてこれから仮に毎年3校ずつ認証取得を目指すのであれば、あと最低でも8年間はかかります。最後の学校が認証を取得するまで待つ間に、区内で一番最初に認証取得した朋有小学校では再認証4回を含め計5回の認証を取得する計算になりますが、そんなに何度も再認証を取得する必要性があるのでしょうか? 更に言えば、区内には私立の小中学校もあります。区立学校が再認証を取得する一方で、私立学校は全く蚊帳の外ということになるわけですが、それも問題であると言わざるを得ません。
決算特別委員会の審査では、全小中学校での認証取得という目標は譲れないということでしたが、少なくとも今回私が申し上げているようなことは教職員の方々やPTA、そして地域の皆様にも事実をお知らせして、その上でISS活動を行うかどうか地域や学校に判断を委ねてもらいたいと思います。
そして、認証を取得するにしても他の方法があると思われます。そもそも、日本において「一般社団法人日本セーフコミュニティ推進機構」(JISC)だけが、セーフスクールの認証を与える組織なのでしょうか。豊島区がセーフスクールの認証を取得するための申請先は、先程述べたJISCですが、調べてみますと、他にもセーフスクールの認証を与える団体として「日本セーフティプロモーションスクール協議会」という団体もあるようです。であるならば、同じ認証を取得するにしてもコストパフォーマンスを比較検討してみるべきではないでしょうか。仮に日本セーフティプロモーションスクール協議会を通じてセーフスクールの認証を取得する場合にコストはどれ程違うのかもお知らせください。
また、JISCはセーフコミュニティとISSの両方を、同機構の理事さんが2名でプロモーションされていると聞きます。全国の都市のセーフコミュニティだけでも大変お忙しいのに、豊島区のISSを全小中学校に展開することについて同機構は丁寧に対応することが可能なのとかという疑問も湧いてきます。その点についても区のご見解をお聞かせください。
全ての小中学校でISS活動をするということは、学校としては相当なエネルギーを必要としますので、ISS活動もし、その他にも学校としてオリジナリティのある活動を行うということは難しくなると思うのです。むしろ同じ運動を同じように進めて、学校自体が没個性となることよりも、学校独自の個性を伸ばしていく教育を進めていくことがあるべき姿ではないでしょうか。このようなことをぜひ、教職員、PTA、地域の皆様に率直に問題を投げかけ、議論を重ねてもらいたいと思いますが、教育委員会の見解をお伺いします。
 学校教育の活動として、「ユネスコスクール」という活動をしてみはどうかという意見を聞くこともあります。ユネスコスクールというのは、ユネスコ憲章に示されたユネスコの理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校のことを言います。文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールを「持続可能な開発のための教育」の推進拠点として位置付けており、現在、世界180か国以上の国・地域で10,000校以上のユネスコスクールがあるそうです。日本国内の加盟校数は、平成29年10月時点で1034校となり、1か国当たりの加盟校数としては、世界最大となっています。
時間がない中で、「ユネスコスクール」という概念を、ほんの一部だけ紹介させてもらいましたが、より普遍性や公共性が担保されており、しかも21世紀型の理想の教育ではないかという想いにさせられるのは私だけでしょうか。教育委員会は、そんなに経費のかからないと言われる、このユネスコスクールについてどのようにお考えなのか、そしてまた豊島区において実践してみる可能性についてどのような見解をお持ちなのかお聞かせください。
以上、今回はセーフコミュニティとISSについてのワンイシューに絞って言及してまいりましたが、今までの皆様のご労苦を全否定しようというのではなく、政策は時に見直す勇気が必要であるということを申し上げたく、様々な視点から申し上げてまいりました。
この一般質問を受けて、高野区長を始め副区長、教育長、各部課長が部局横断的に真剣に議論し、よき結論を導き出されんことを、そして何よりも豊島区の子供達のためになる、より良い教育が施されんことを心から願いながら私の一般質問を終了いたします。ご清聴まことにありがとうございました。