●一般質問
「鳥の目、虫の目、魚の目。3つの目を持ち、豊島区の未来を確かなものにしよう!」

平成29年2月21日  豊島区議会議員 ふるぼう知生

豊島刷新の会 ふるぼう知生でございます。今定例会において私は、「鳥の目、虫の目、魚の目。3つの目を持ち、豊島区の未来を確かなものにしよう!」と題しまして、1、平成29年度豊島区予算案について、2、区内の体育施設について、3、その他として、大塚の文化発信拠点づくりについて一般質問いたします。高野区長はじめ理事者の皆様の明快な答弁を期待いたします。
まず初めに平成29年度豊島区予算案についてです。先日予算内示会が行われ、その前の会派予算説明会と併せて来年度予算の骨格が私たち議員にも提示されました。今後詳細に予算書を読み、賛否について判断をしたいと思いますが、予算編成に先立ち会派として要望した特定不妊治療費助成を始めとした事業が、これまでの私の議員活動の中にあっても一番多く含まれており、一定の評価をさせていただくものであります。しかしながら、一点どうしても直感的に気になることがあるのです。それは東アジア文化都市事業を含む今後の都市間交流についてです。
高野区長が就任直後から、豊島区において文化を中心とした施策を全面的に打ち出し、自治体としての存在感と内外への発信力を高めてきたことは周知の事実であります。元々あったマンガ・アニメコンテンツという貴重な財産を有効に活用し、また新庁舎建設によるイメージの大転換、さらに旧庁舎跡地については8つの劇場を中心として再開発することによる圧倒的な賑わいの創出。そして著名な文化人の方々からの提言を受けた国際アートカルチャー都市構想を通じて文化都市としての確かな位置を得た今、東京オリンピック・パラリンピックの競技場が一つもない豊島区において、これまでの歩みをこの機会において逃すことなく、具体的な形にして表現し、レガシーとして残していきたいと考えるのは、ごく自然な流れだと感じます。まさしく「文化政策の集大成」としてこの東アジア文化都市事業を捉えているのだと理解をするところであります。
この事業については、東京オリンピック・パラリンピックのその前年である2019年に開催するために、区として開催都市選考に応募するわけですが、まず基本的なことから質問します。この事業の意義について区はどのように考えておられるのでしょうか。そして事業を行うにあたっての予算はどのように措置されるのでしょうか。また過去において横浜市や新潟市、あるいは奈良市がこの事業を行っていますが、現在においてどのような評価及び分析がされているのでしょうか。
また、区が提出した資料を見ますと、事業を行う2019年以降においても、東アジア文化都市レガシー事業として、構築したネットワークを活かして交流事業を継続すると書かれてあります。これについては具体的にどのような事業を行うことになるのでしょうか。事業が終わった後も、文化都市同士交流をずっと継続していくということでしょうか。
現在、豊島区と関係を持つ都市として、姉妹都市や国内外の友好都市、観光交流都市、西武線や東武東上線の沿線地域で相互協定を結んでいる都市、文化交流都市、さらにはWHOから認証を受けたセーフ・コミュニティやインターナショナル・セーフ・スクールなどでも交流している都市が多岐に渡って多く存在します。これら全部を含めると豊島区が関係性をもって交流している自治体は現在何か所になるのでしょうか。また年間その交流のためにどれくらいの予算が使われているのでしょうか。概算でもよいのでお知らせください。
このように考えてみると、この華やかな事業がたとえ成功裏に終了したとしても、その後に、どれくらいの更なる都市交流が必要となるのか、予算はどれくらいかかるのかということを考えておくべきだと思うのです。それはまさしく、上空を飛ぶ鳥の目のように、いつも全体を見る目、遠くまで見通す視点が重要であるということを申し上げたいのです。そのことを踏まえた上で、それでもさらに交流範囲を拡大していこうとする価値をどこに見出しているのか具体的に示してもらえたらと思います。
私は、現在豊島区は借金に苦しめられていた時代を終え、未来に向けて様々な布石を打たなければならない時期であると思っております。高野区長を始めとした区長部局や職員の皆さんのそれこそ血のにじむような努力があって借金を返済し続け、ようやく財政再建を成し遂げた豊島区です。これから豊島区の未来のために投資をして、攻めていきたいと考える気持ちはわかりますが、来年度予算案では法人決算の低迷を受け法人住民税が減っているという事実もあります。すなわち世界の状況が不安定であり、かつ日本の経済もどう転ぶかわからない状況の中で、支出が恒常的に増えるような事業はリスクを伴うということを申し上げておきたいと思います。豊島区において、これまで文化施策を中心として自治体としての価値や存在感を大いに高めてきたことは評価するところではありますが、今後については区内の公共施設やインフラは効率よくしっかりと整備しながらも、できる限り人への投資、具体的には少子化対策・子育て支援・教育の負担軽減という方向性に向かっていくべきだと私は考えております。それはいわゆる、大海を泳ぎ潮目を読む「魚の目」に通じます。深海というところは闇に包まれ、外敵もいて生存環境が厳しいところですが、その激しい環境変化に生きる魚の目をもって、時代の流れを読み取り、臨機応変に対処する区政であってほしいと願っております。
今回のこの事業ももちろんですが、先にも述べたさまざまな都市間交流が将来における重い財政負担になりはしないかと懸念を抱いております。ぜひともその不安を取り除くような、区民の皆様がそれにも勝るメリットを感じることができるような説明をお願いいたします。
質問の第二は、区内の体育施設についてです。昨年末、特定非営利活動法人豊島区体育協会の役員さんと、我々区議団との懇談会に参加し、来年度の予算要望書について意見交換をいたしました。その時に、体育協会さんから出された要望が毎年同じような内容になっている事に疑問を感じた私は、一部ではありますが、西巣鴨体育場と総合体育場に訪れ、現場を見てまいりました。
 まず西巣鴨体育場ですが、体育協会さんの予算要望書には「利用者に配慮した施設のバリアフリー化をお願いいたします。」と記されています。大規模改修の要望と思い、恐れおののきながらお話を聞いたのですが、アーチェリーの射場の入り口の地面とコンクリートの5〜6cmの段差を解消してほしいということを意味しているのだと分かりました。しかも、これが原因で利用者の方々が転んではいけないからと、アーチェリー協会のスタッフの方が自腹で段差プレートや角材を購入してその段差を応急的に埋めたと伺いました。たまたまその日は練習場に障害を持つ方がいらっしゃったのでお話聞くことができたのですが、スキーのスティックのような棒を2本持ちながら歩行されるので、少しの段差でも神経質にならざるを得ない。そしてそのような状態であるにもかかわらず、来年の国体を目指して練習に励んでいるということでした。杉並区の住所があるその方がなぜ西巣鴨体育場に来ているのか尋ねると、近くには車で来ることができて、車から降りてフラットに練習するところがあまりないので、こちらを選んでいるのだとか。障害者の方専用の練習場もあるようですが、ルールでそれ以外の練習場でも練習していなければ大会に出ることはできないとのことで、必死に探した結果として西巣鴨体育場を選んでいるのだそうです。いろいろ要望をし、例えば管理棟のトイレは和式から洋式のものに変えるための工事が今行われているということですし、いろいろと気を配っていただいていて感謝をしておられましたが、だからこそ、たった5〜6cmの段差を埋めることができないのかなと思うと私は残念な思いになりました。その方からは「私が障害者ですみません。」という言葉が聞かれましたが、私は「事情があるのでしょうが、このようにご不便をおかけして申し訳ありません。」と言葉を返すのがやっとでした。
 車のことに触れましたので駐車場についても言及しますが、射場やゲートボール場の奥に広いスペースがあり、施設利用者の方々はこの空き地を駐車場として利用しています。この場所は地面がむき出しの土地でなので降雨時はもちろん泥だらけになります。それを防ぐために、小木を置いたり、カーペットを敷いたりしているのですがあまり意味がなく、でこぼこの地面を歩くと、靴やズボンが汚れてしまい、私も数年前から、利用者の方から改善の要望をいただいていました。それで私は以前から何度も担当課長と相談してきましたが、例えばコインパーキングにしてしまって、利用者の方々は一定時間無料で使え、時間外においては施設利用者以外の方でも使えるようにして、少しでも区や指定管理者の収入にすべきだという提案もさせていただいたのですが、その話がどのようになったのか報告もありません。もちろん予算がかかることではありますが、すぐにできることもあると思うのです。区はこの問題についてどのようにお考えなのでしょうか。
 西巣鴨体育場について、いろいろとありますが、最後にゲートボール場についても言及しなければなりません。このゲートボール場にはテントとみられる設備が2つあるのですが、テントの幕が一部破れていて、覆い被さるところが覆われておらず、冬には風がビュービュー入ってきますし、夏には太陽の直射日光が差してくることから、まったくテントとしての体をなしていません。ゲートボール場で運動をする方は高齢者の方々が多いことを考えれば、このような環境のままスポーツをさせることはあまりにも利用者の視点がないと言わざるを得ないのではないでしょうか。このことについても区のお考えをお聞かせください。
 総合体育場においても、体育協会の予算要望書には何か所も言及してあります。テニスコートの人工芝の老朽化を改善するための人工芝の全面的な改修。コート周辺の樹木や側溝の整備、第二コート野球場側ベンチの日除けの設置。管理棟の老朽化の改築による改善とバリアフリー化。射場の70m級の試合ができるような改修。防矢ネットの補修。区の新しいシンボルマーク入り安土幕への新調。弓具置き場の倉庫の改修。などなど個別にあげたらきりがありません。具体的に、施設を視察させてもらいましたが、その他にも管理棟の2階の卓球やダンス等を行うフロアーは、床の木くずが盛り上がってこないように応急的にテープを貼ってあるところが多くみられました。さらに、窓ガラスには、危険につき開放禁止を知らせる貼り紙もありました。少し気になる方であれば、恐怖感を感じるのではないでしょうか。さらに、管理棟には暖房設備がないので、冬の時期はシャワー室も・更衣室も使っている人はほとんどいないとのことでしたし、そもそも車いすを使う方が管理棟を通ってテニスコートへ行くにはスペースも狭いし、段差も高いしで、本当に障害者の方々への配慮というものが感じられませんでした。
 私は視察を通じて感じたのですが、利用者の方々が望んでおられることはごもっともだと思うことばかりであり、できるだけ速やかに解決して差し上げなければなりません。しかしながら予算には限界がありますので、すぐというわけにはいかないものもあるでしょう。苦言を呈しますが、やはり要望されたことを10年にもわたってされていると言われることはいかがなものかと思うのです。体育施設の運営は指定管理者に委ねているというのが区の姿勢だと思います。ですからそのような利用者の要望に指定管理者が答えるべきだという気持ちもわかります。また実際そのような契約になっているのでしょう。しかし、指定管理者の立場からしてみると、請け負った5年間である程度の実績を作っても、再び指定管理者として契約をしてもらう保証がないわけですから、小規模の改修や用具の保全・補修について経費が足りないからとコスト削減をするようになるのではないでしょうか。その結果として区も動かない、指定管理者も要望に応えないという現象が起こっているのではないかと思うのです。結果として利用者にそのしわ寄せがいき、ご要望に応えられないとするならば、これまでの区と指定管理者と結んできたルールや契約について見直しをすることも必要であると考えますが区のご見解をお聞かせください。
 管理棟自体の改築・バリアフリー化などの大規模な改修・改築については豊島区として計画をお持ちなのでしょうか。また問題は先ほどからずっと述べている、すぐにでもできるようなことをどう進めるかということです。これらの様々な諸課題について、せめて何年の何月までにはどのような予算措置をつけてどこまでは改善する計画であると方向性を示してほしいのです。これはいわば地を這う「虫の目」で見た現場感覚であります。鳥の目ではわからない繊細な目線で問題を捉えてもらいたいと思います。
最後に、その他として大塚の文化発信について質問します。2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本全体でいわゆるインバウンド政策が展開され、競技場のない豊島区においても少しでもその恩恵にあずかろうと戦略を描いていると理解しております。
豊島区においては中心の池袋に豊島区観光協会観光情報センター、日本ユネスコの未来遺産に登録された雑司ヶ谷には雑司ヶ谷案内処、そしてマンガ・アニメコンテンツの中心、トキワ荘のある南長崎には豊島区トキワ荘通りお休み処があり、地域の文化の発信拠点となっております。
豊島区には、まだまだ文化的価値の高いところがいっぱいあると考えております。お地蔵さんの巣鴨、ソメイヨシノの駒込なども個性的な街としてそれぞれ特徴がありますが、私の地元である大塚も負けてはおりません。私もある方から講義を聞いて知ったのですが、山田耕作が作った「からたちの花」の発祥の地である巣鴨協会であったり、落語家や多くの政治家も訪れていたという大塚三業地であったり、最近ではフランス文学の権威であった鈴木信太郎邸も区で整備をしてくれて公開に向けて準備が進んでいます。つまり文化的に価値の高いものが散在している面白い街です。それらの点と点をつないで、外から来た方々にご案内をするボランティアグループも最近結成されました。その方々は持っている英語力を駆使して、東京オリンピック・パラリンピックを契機として来られるであろう外国の方々を英語でご案内する準備をしています。これは地元の南大塚地域文化創造館にて講義を行い、その講義を受けた方々がグループを作って活動をしているもので、昨年天祖神社で開催されたいちょう祭りにおいてもFacebookでつながった外国人に地元大塚を英語でご案内しご紹介したというレベルにまで達しております。今後もそのような輪が広がっていくことでしょう。このような活動が広がれば広がるほど、その活動の拠点となる場所が必要となってくることは自明の理であります。
 大塚駅南口はちょうど今年の5月に駅前広場や地下駐輪場が完成し、オープンする予定になっております。当日は地元地域の皆様や高野区長を始めとした関係者の方々と心から喜びたいと思いますが、この駅前広場あるいは近隣において、大塚を訪れる方が気軽に立ち寄ることができ、時にはボランティアガイドがご案内をする拠点を開設してもらいたいというご意見があります。大塚だけではなく、巣鴨にも駒込にもそして目白にも地域ごとにそのような場所を持つべきだと考えますが、区のご見解をお聞かせください。豊島区のそれぞれの駅ごとに文化の発信拠点ができることを願ってやみません。
 これまで、私なりの思いの丈を述べてまいりましたが、豊島区は今こそ、先述しました「鳥の目」、「虫の目」、そして「魚の目」という3つの目を持って今後の区政に当たっていくべきと考えます。大所高所から見つめ、骨格はぶれずに、しかしながら時代の流れには臨機応変に対応し、しかも細かなことにまで配慮する。そのような姿勢を持つべきであると思うのです。
時代のトレンドは少子化対策を行い、少なくとも希望出生率を達成し、子育てや教育の支援をするために、保育・教育の負担を軽減すべきと考えます。そして子育て世代の人たちが選んで豊島区に移住してくる、その活力で税収を増やし、高齢者や障害者の方々のための福祉の財源とするのです。その姿勢を持って豊島区の未来を確かなものにしていきましょう。
豊島区が輝き続ける都市となることを願いながら私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴誠にありがとうございました。