豊島刷新の会 ふるぼう知生でございます。今定例会において私は、「消滅可能性都市から持続発展都市を目指して。できることから一つずつ!」と題しまして、1、親元近居支援事業について、2.不妊治療について3.その他として多子世帯の認可保育施設の入園における選考基準について一般質問いたします。高野区長はじめ理事者の皆様の明快な答弁を期待いたします。
一昨年の5月に発表された日本創成会議の提言において豊島区が東京23区の中で唯一消滅する可能性のある都市として紹介され、その後の区の政策が大きく方向転換を迫られたことは記憶に新しいところであります。子育て世代の支援をするために豊島女性100人の会、F1会議等を開催し、その会議で提言されたことを政策に反映すべく、様々な施策を予算化し、事業が行われるようになりましたが、一期生の時から少子化対策・子育て支援をもっと充実させるべきと指摘をしていた私にとっては大変喜ばしい状況になってきております。
国においても、希望出生率1.8や、待機児童ゼロの実現が政策目標として高く掲げられるようになりましたし、昨年の3月に閣議決定した少子化社会対策大綱には育児や介護での世代間の助け合いを目的とした「三世代同居・近居の促進」が盛り込まれており、その流れを受けて国土交通省が三世代で子育て中の世帯が親世帯と同居あるいは近居しやすくなる優遇税制を検討しているとの発表が報道によってなされております。ようやく国家を先頭として少子化対策・子育て支援に重点を置いてきているようで頼もしく感じますが、地方自治体としてもその政策目標を実現していくために、具体的にできることを着実に一つずつ行うことが求められていると考えます。親元近居支援事業はまさに時代の要望と言える事業であると思います。
私は平成25年豊島区議会第一回定例会の一般質問においてこの事業について品川区の例を挙げて紹介し、豊島区においても検討することを要望いたしました。その際には品川区の事業実績などを慎重に見据えた上で、事業手法や既存事業との整合等について検討するという答弁をいただいております。品川区で行われている「三世代すまいるポイント」というのは、区内の商店街連合会や大手の企業に協賛してもらい、様々ある項目の中から自分の好きなものを選択してサービスを受けることができるというもので、単なる現金ではなく、消費にも直結しますし、商店街の活性化にも寄与するというところに魅力があります。豊島区において検討をする際にも大いなる参考になるのではないでしょうか。豊島区は品川区において事業化されている「親元近居支援事業(三世代すまいるポイント)」についてどのように評価をしているのでしょうか。
基本的には三世代同居が理想ではありますが、東京のように広い土地を取得することが困難な事情のある地域においては近居という形態をとらざるを得ないというのが現状です。因みに品川区においては、お互いの住居が1200m(おおむね徒歩15分)圏内の区内にどちらかが引っ越しをしてきた時にこの制度が有効となっております。
このような事業を行うことにより、核家族化が進み、家族がバラバラとなり、疎遠になってしまった現代の家族のあり方についても考える良い契機にもなると思うのです。親が近くに住んでいて、子育てを手伝ってくれたら、子供を持つお母さんにとってどんなに心強いことでしょう。本区においても是非親元近居支援についての事業化を検討してもらいたいと思いますがいかがでしょうか。
次に不妊治療について質問をします。少子化対策のための方策というのはいろいろとあるかとは思います。その中でも一番の方策は会社に勤務している女性の方が結婚をし、出産をしたとしてもその後もその会社に復業できるという環境づくりであると私は思います。しかし、それは国が優遇税制を導入するなどの方法をとらない限り難しいと思いますから、国の議論を待たなければなりません。現代社会は価値観が多様化し、結婚をすることを望まず、子どもを持つことも希望しないカップルも相当数いらっしゃるようです。日本は民主主義国家ですから、個人の考え方について強要することはできないというのが大前提でありますが、結婚して家庭を持ち、そして子供を育て上げることも人生において大変なこともあるけれどもそれと比較することができないくらい大きな喜びがあるとその方々に私は申し上げたいです。いずれにしてもそのような方々がいらっしゃる反面、出産したくても身体的な理由で出産することができない方々も相当数いらっしゃいます。子供を持ちたくても持つことができないというご夫婦の精神的な苦痛はいかばかりかと推察する次第です。いわゆる体外受精や顕微授精などの特定不妊治療にかかる費用は体外受精の場合は一回当たり30万円から40万円、その過程で夫が無精子症などの場合に精子を取り出す手術を受けるとさらに30万円から50万円かかるとのことです。高額な治療費を払ってでも自分たちの遺伝子を残したい、わが子をこの手で抱いて、子育てをしたいと考えるご夫婦を支援すべく、政府も今年の1月から不妊治療にかかる費用の助成を拡充しています。初回助成の上限を現行の15万円から30万円に倍増して治療を始めやすくし、新たに不妊治療に踏み出すことを後押しする意味があります。2回目以降は15万円を助成することとし、夫が要因の不妊にも対応するために精子を採取する手術を受けた場合には新たに1回につき5万円を上乗せするようになりました。
厚生労働省の平成27年版少子化対策白書によれば、日本の女性が第一子を産む平均年齢は2013年では30.4歳となっており、年々晩婚化・晩産化が進んでいます。経済環境の変化や女性の社会進出により、その傾向は今後も続くことが予想されます。地方自治体である豊島区においては地道にやれることをやるしかありません。晩産化が不妊ということに影響を及ぼしていることは明らかです。そもそも不妊治療は公的医療保険が適用されず高額な費用がかかります。そしてそのことが精神的にも経済的にも大きな負担となり、子供を産みたくても産むことができないカップルが多くいるのです。厚生労働省によると、現在全国で女性向けの不妊治療費の助成の支給件数は年10万件を超えており、人口比で単純計算すると豊島区にも少なくとも約224名の女性が治療費の助成を受けていることになりますし、昨年度における東京都への申請件数は17453件ですから、やはり人口比で単純計算すると約362名の女性が治療費の助成を受けていることになります。潜在的にはもっと多くの方が経済的な理由で治療を受けることができない状況にあるのではないかと思う時に、そのような方々に豊島区としても手を差し伸べていくことが大切であると思うのです。そしてそのようにすることが区長の公約である「女性に優しい街づくり」ということにつながるのではないでしょうか。
調査してみると、この事業を既に行っている地方自治体が都内にも多数存在します。23区内だけでも千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、品川区、世田谷区、杉並区、練馬区、葛飾区と多くの区で特定不妊治療費助成事業を実施しているのです。また先日、港区では来年度予算案のプレス発表時、男性の不妊治療に対しても助成を始めるとの報道がありました。体外受精や顕微授精といった特定不妊治療で行われる精巣内の精子採集などが対象で、上限は年15万円です。東京都が実施している助成制度でも上限が30万円となっており、平均的な男性の不妊治療費用は45万円程度であることから、実質的に自己負担がなくなるというものです。4月1日治療終了分から適用し、当初は年20人程度の助成を見込んでいるそうです。
一見すると財政力がある区のみがこの事業を行っていると思われそうですが、都内の他の市や町でも多数この事業を実施しています。消滅可能性都市から持続発展都市を目指し、更には女性に優しい街づくりを目指す豊島区においてもまずはできる範囲で実施すべきと考えます。是非検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
最後にその他として、多子世帯の認可保育施設の入園における選考基準について質問します。先日ある方とお話をした時に、「少子化が進む日本や豊島区の一助になればと思い、一人、二人、三人と子供を出産したにもかかわらず、その三人目の子供が兄弟と同じ認可保育所に入れるかどうか分からないのは納得がいかない。別々の保育所に送り迎えをすることが親にとってどれだけの負担になるかということを理解してもらっていないのではないか」とのお言葉を聞きました。私も子供が三人いて、幸いにして入れ違いで入園したので、同じ園に子供たちが同時にお世話になることはなく、その御苦労の一端を肌で感じたわけではありませんが、兄弟姉妹であるにもかかわらず、それぞれが違う園に通うのはご両親も大変であることは容易に推測することができます。豊島区認可保育施設入園のしおりには調整指数の19番目に、「兄弟姉妹(卒園児を除く)が既に入所している保育園の入所を希望する場合」という欄があり、その加算が1となっております。「一人親世帯及びこれに準ずる世帯」という項目では加算が10となっていることはよく理解されるところではありますが、先に述べたケースではあまりにも加算が低く、多子世帯の親御さんのそうした負担を軽減できるような形になっていないのではないでしょうか。指数について何ポイントが妥当なのか議論をしてもらい、多子世帯の兄弟が優先的に入園できるような状況を作るために加算のポイントを上げるべきではないでしょうか。そのようにすることによって、子供をもう一人・二人産んでも大丈夫という安心感を親御さんに与えることができると思いますので、是非ご検討をお願いします。
消滅可能性都市から持続発展都市となるためには大きな目標を掲げることも大切ではありますが、くどいようですが、できることをコツコツと一つずつ実行していくことが大切です。そして豊島区が少子化問題を乗り越え、若い子育て世代の人たちが豊島区にたくさん住み、地元で活発に消費活動を行うことによって税収を増やし、その増収分で高齢者や障がい者の方々の福祉を充実させ、全ての世代にお金が循環するという、新しい時代に相応しい新しい政策を実行するモデル都市、すなわち真に持続発展都市となることを願いながら私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴誠にありがとうございました。