●一般質問(ワード) (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)
●一般質問(pdf) (PDFで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)
平成27年11月24日 豊島区議会議員 ふるぼう知生
豊島刷新の会 ふるぼう知生でございます。私は「守ろう!未来ある子供たちを、そして温かい家庭を。作ろう!絆のある地域社会を。」と題しまして1.区長の教育施策に関する想いについて、2.メディア・リテラシー教育について、3.精神医療と薬物問題について、4.インターナショナルセーフスクールについて、5.その他として大塚駅前広場の将来の管理運営について一般質問をいたします。高野区長をはじめ、理事者の皆様の積極的な答弁をご期待申し上げます。
今年の4月1日から施行された「改正地方教育行政法」により、教育行政の責任の明確化などを目的とした新教育委員会制度がスタートしております。新制度では「総合教育会議」や大綱の作成を通じた首長の関与の強化、そして教育長と教育委員長を一体化した新たな教育長を置くことなどが柱となっております。
わが豊島区においても、今年の4月8日に第一回の総合教育会議が開催され、「区と教育委員会がより一層連携、緊密に意思疎通を図りながら教育施策に取り組み、『教育都市としま』を実現する。」と区長が決意を述べられたと聞き及んでおります。
これまでの教育委員会制度では、予算権を持つ区長であっても形式上は政治的中立という壁に遮られ、あまり関与できない状況でありました。また教育委員が非常勤であるがゆえに、実際の実務は常勤の教育長が仕切っており、一方で責任の所在は合議体としての教育委員会にあり、その代表者が委員長であるという点が分かりにくかったということも事実であります。
そのような意味から、今回の新教育制度の方向性は教育委員会の形骸化の恐れや教育行政の責任の所在がはっきりしないという問題点を克服することができたという意味で、以前よりは良い制度に落ち着いたのではないかと個人的には思っております。
そこでお伺いします。第一回の総合教育会議を開催した上での区長や教育長の感想及び改善が必要だと思った点があればお知らせください。また、今後は定期的にどのような頻度で開催しようと考えているかも合わせてお知らせください。そして、現在豊島区教育委員会では従来通り教育委員長と教育長が併存しているようですが、「改正地方教育行政法」にあるとおり、任期終了時点において併存をやめ、教育長と教育委員長の権限を教育長に一本化するというふうに考えておられるのかどうかも教えてください。
私は、新教育委員会制度になったことを機会として、区長も教育施策に関する想いをもっとアピールしてもよいのではないかと思っています。選挙の時に教育という分野に特化して首長を選ぶという方だって相当数いらっしゃるはずです。これまでは教育の現場において政治的中立を保つことばかりが強調され、区長が教育に関してどのような政策を持っているかということについてあまり発信されていなかったと思うのです。そのような想いから、私は今年4月に行われた区長選挙における高野区長の教育に関する公約を選挙広報から拾ってみました。書いてあったのは「こどもの笑顔輝く教育のまち」という言葉のみで具体的な政策が分かりません。もちろん、使える紙面のスペースや文字数の限界もありますから、選挙公報だけで考えるのは無理があるとは思いますが、しかし、区民に対して高野区長がどのような教育観を持ち、豊島区内に通う子供たちに対する教育をどのようなものにしたいのかが伝わってきません。そのような意味で是非この場で区長のこれからの豊島区における教育施策について思いの丈を述べていただきたいと思います。そしてそのお考えについて私たち議員もしっかり議論をしていけたらと思っております。
しかし、また一方で、この新制度では懸念されることもあります。それはなんといっても人事権と予算権をもっている首長の教育委員会における強力な介入であります。言うまでもなく、その場合には、教育長や教育委員が委縮してしまい建設的な話し合いにならないということも考えられます。ですから、首長には教育行政を行う人の意見を吸い上げる姿勢が必要になりますし、また一方の教育委員も委縮することなく区民・地域の代表として民意を反映させるという気持ちで意見を述べることが肝要です。そのようなことについてもご所見をお聞かせ頂けたらと思います。
さらには、私が日頃からいつも疑問に思っていることですが、豊島区議会の慣例によりますと、教育長の人事案件を首長が議会に提案する時は、いきなり人事案件が区長から提出され、すぐに採決することになっておりますが、国会の同意人事の中で特に重要な人事案件は、本会議での採決に先立って衆参の議院運営委員会において候補者が公開で所信表明を行うこととなっていることからも、質疑応答で資質を確認してから採決をし、任命をすることが民主主義社会としての正しいあり方ですし、新教育委員会制度で今後益々教育長の責任が強調されていくという意味では必要不可欠なことであると考えます。議会での議論は勿論ではありますが、区長部局においても是非このことも今後検討して頂きたいと思います。
いずれにいたしましても、新しい制度で新しい体制がスタートしたばかりです。区民に対してもっと総合教育会議の存在と開催を周知していただき、顔の見える会議体を目指してもらうとともに、今後いろいろな試行錯誤を繰り返しながらも、最終的には首長である区長と教育行政の責任者である教育長がお互いの立場をよく理解し合い、尊重しつつ豊島区の教育施策について同じ方向性を向いて、しかも立場上委縮することなく建設的な議論ができる会議体としていくべく双方のご尽力をお願いいたします。
次にメディア・リテラシー教育についてです。昨今、インターネットのいろいろな記事や情報を読んでおりますと、一つの記事に対して賛成派からも反対派からも凄まじい量の意見が飛び交い、中には、誰による投稿かわからないという安心感があるせいか、ある人のコメントに対するバッシングで炎上するといったことをよく聞きます。インターネットの悪影響についてはこれまでもいろいろと議論されてはきましたが、インターネットの環境が日に日に変わる昨今において、青少年の健全育成のためにメディア・リテラシー教育を定期的に練り直していかなければならないと考えます。
そして、その中でもやはり子供を持つ親として一番関心の高い問題は、小学生や中学生における携帯電話の使用による弊害でありましょう。未成年時における携帯の利用率は年々高まっており、内閣府の平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査によると、小学生の携帯電話の所有率は36.6%、中学生は59.5%となっており、今や児童・生徒といえども携帯電話が生活の一部になっている時代です。そこで質問します。
豊島区の小中学校では、児童及び生徒はどれくらい携帯を所有しているのでしょうか。そして一日に何時間程度使用しているのでしょうか。更には主にどのようなことのために携帯を使用しているのか等、アンケートを通じて調査したことはあるのでしょうか。携帯電話の機能も日進月歩開発されており、親の知らないところで様々なコミュニケーションがとられているケースが見かけられます。もちろん、親子で携帯に関するルールをあらかじめ決めておくことが大切なのですが、子どもはなかなか言うことを聞かないものであります。知らず知らずのうちに携帯の魅力に引きずり込まれている場合も多々あるのです。「パケ放」いわゆる、パケットし放題というサービスを利用して、ラインやメールなどを無制限に使用している児童・生徒がほとんどというのが実態です。まずは豊島区の小中学校の児童・生徒の携帯の所有率や利用方法などについての状況を定期的に把握することが必要だと思います。
私はやはり、思い切って家庭における携帯電話の使用を親御さんの同意を得ながら制限していかなければならないと考えております。そのようなことについて先進的に取り組んでいる地方自治体として、有名な愛知県刈谷市があります。ご承知のとおり、市内の小中学校が申し合わせて、夜9時以降の携帯・スマホの利用を禁止することを、保護者に呼びかけており、この問題に一石を投じています。
この呼びかけは、刈谷市教育委員会や市内小中高校、警察などでつくる「市児童生徒愛護会」が発案したもので、(1)必要のないスマホや携帯電話を持たせない (2)契約時には親子で使用に関する約束を決め、有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」のサービスを受ける (3)午後9時以降は親が預かる−の3点を学校とPTAの連名で家庭に要請したものです。これについて「勉強や就寝の時間を考慮しつつ、厳しすぎないよう午後9時に設定した」と愛護会は説明していますが、このような携帯の問題で他の親御さん同様に悩んできた私もとても合理的な方法であると思っております。事実子供からも親御さんたちからも「勉強をする時間が増えた」といったお声もあるようです。ぜひとも豊島区においても親御さん巻き込む思い切った行動をとってもらいたいと思います。子供の携帯電話の使用を抑えることで、携帯を使用しないことによって生じた時間を親子のコミュニケーションにあてて笑い声の耐えない温かい家庭を作り上げる事にもつながりますので、ぜひご検討を宜しくお願いします。
次に、精神医療と薬物問題について質問します。先般の決算特別委員会でも指摘しましたように、区内のある精神医療クリニックの現場において、区民・都民の貴重な税金が浪費されているのではないかという疑惑、更には生活保護費受給者の保護費を直接管理し、狭いシェアハウスに住まわせるという人権蹂躙の問題が出ていることにより、精神医療そのものに対する疑念が噴出しています。
また最近の報道によると、奈良市のある薬剤師が麻薬取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで逮捕されましたが、これはインターネットを通じた向精神薬の密売事件で、容疑者が薬剤師の立場を悪用し、向精神薬を横流しし、密売人の女性から向精神薬を購入した客のうち少なくとも男女5人が薬物中毒で死亡していたことが判明したとのことです。うち4人は自殺とみられ、薬物乱用の危険性が明らかになっており、特に精神医療の現場で使用される向精神薬等の使用に対しても疑念が深まっているところです。
言わずもがなではありますが、向精神薬とは中枢神経に作用し精神機能に影響を及ぼす薬物の総称で、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などがあります。
アメリカ政府の統計によると、2013年アメリカでの障害死因の原因の1位が薬物過剰摂取で46,471人。2位が交通事故で35,369人。3位が銃によるもので33,636人となっており、薬物過剰摂取による死亡が断トツ1位です。日本においても厚生労働省の統計情報部が出しているデータによれば、薬物・薬剤及び生物学的製剤による中毒による死亡件数において2014年は889名を数え、そのうち鎮痛薬や向精神薬などの処方薬による死亡件数は469名と50%を超える数値が出ています。麻薬や危険ドラッグ等による死亡件数が13名で1.5%ですからこの処方薬にはどれだけ危険性が高いかがよく分かります。
私は先日アメリカのロサンゼルスを訪れ、この問題について現地で視察をしてまいりました。アメリカの精神医療の現状については、先日「夜回り先生」で有名な水谷修先生がこの区役所の1階で講演をされていた通り、精神医療における薬による治療は既に限界性が指摘されています。事実、患者の健康というよりも、ビジネスを優先する経営がされていた病院は裁判によって裁かれ、医療の世界から追放されているという精神科医も多数存在します。
向精神薬といえば、発達障害やうつ病などの精神疾患にも処方される薬ですが、数年前にNHKで放送された番組で「薬漬けになりたくない。〜向精神薬を飲む子ども〜」というタイトルの番組があり、内容は非常に衝撃的なものでした。学校では今、子供の心の問題に医療機関と連携して対応しようとする取り組みが国の方針で進められているとし、向精神薬を投与された子供の母親の、「やっぱり薬を飲ませるべきではなかったのではないか」という葛藤や、フリースクールの理事長が全国の親の会に呼びかけて子供と医療の実態について実施したアンケートから、学校に通えない子供の7割が精神科を受診、そしてその7割が向精神薬を飲んでいるということが分かったと紹介されていました。
全国自死遺族連絡会が自殺者遺族1016人に調査したところ、約7割が精神科通院中に自殺していたそうです。そして同会の代表は、「精神科の早期受診を呼びかけて受診率を高めるだけではだめで、投薬治療に偏っている今の治療内容を見直してほしい」と厚生労働省に求める文書を提出しているのです。
皆さんは、1999年4月、アメリカ合衆国コロラド州で起こったコロンバイン高校銃乱射事件を覚えているでしょうか。同校の生徒2名が銃を乱射して12名の生徒と教師1名を射殺、24名の重軽傷者を出し、その後自殺したあまりにも衝撃的なあの事件のことです。
この事件の犯人の一人の遺体を検死したところ、体内からフルボキサミンという成分が大量に検出されました。このフルボキサミンをはじめとする抗うつ薬 (SSRI) は、24歳以下の若年者が服用した場合に攻撃性や衝動性を増長するという副作用が報告されていたため事件との関連が疑われていました。実際、精神的な不安定さを抱えていた犯人は、精神科医からフルボキサミン(製品名「ルボックス」)を処方されていたのです。
また、日本においても、2001年に大阪府池田市の大阪教育大学付属池田小学校で発生した無差別殺傷事件の犯人が抗うつ薬( SSRI )を服用していたことが報道されています。
このように大人でも危険な副作用を生じ、大きな事件を引き起こす原因にもなりうるものを、何故、体も未成熟な子供にまで投与してしまう現実があることに私は疑問を抱かざるを得ません。番組で言っていたように学校と医療機関の連携を進めていくことが国の方針であるならば、子供達においてもその危険性が高くなるということですが、豊島区においてはこのような問題についてどのようにお考えでしょうか。また、未来ある子供達に対して、安易に精神科医につなげ、薬による治療という選択をさせていないでしょうか。私のこれまで述べてきた心配が当たっていない事がわかる答弁をご期待申し上げます。
もちろん、私は薬全般にわたって否定しているのではありません。人間の体において薬を必要とする場面というのは明らかに存在します。しかしながら、向精神薬というような大人でも健康や精神に危険な副作用をもたらすような薬を未成熟な子供にまで投与すること、そしてそれが原因となって様々な社会問題が勃発しているということを知ってもらいたいのです。向精神薬というような危険な薬を投与するのではなく、一人一人と真剣に向き合うことによって、心の治療をしていただくことを切に願う次第です。
次に、インターナショナルセーフスクール(ISS)についてです。先日、豊島区立朋有小学校と富士見台小学校において、ISS再認証及び認証取得のための現地審査があり、私も地元の朋有小学校にてその様子を拝見させていただきました。WHOの認証委員の方々を全校児童でお迎えし、歓迎セレモニーを行い、その後メインのプレゼンテーションが校長先生を始めとした教職員の方々・児童・PTA・地域の方々等によって分担して行われました。もう4年前になりますが、初めて認証を受けるためのプレ審査の時に、私の息子もちょうど朋有小学校6年生だったということもあり、今回の光景と同じようにセーフスクール委員として参加していた時のことが懐かしく思い出されました。その当時のプレゼンテーションと比較して、更に科学的で詳細な分析がなされていましたし、児童が安全・安心というテーマについて、より主体的に活動してきたことがとても良く伝わってきて素晴らしい内容になっていました。
その後開かれたセーフスクール集会においても、学年ごとの発表がよく練られていて、楽しさの中にも学びがあるというような趣向を凝らしたものでした。認証委員の方々の反応がとても良かったのは言うまでもありません。これまでに至る、豊島区及び教育委員会のご努力やご尽力に改めて敬意を表するものであります。ご報告によると、富士見台小学校の現地審査も好評を博したようで、朋有小学校の再認証と富士見台小学校の初認証が同時に祝えることができるというこの上ない結果となりました。
私は以前から、この朋有小学校のISSにおける成功体験を区内の区立小・中学校に広げるべきであると発言しておりました。そして豊島区と教育委員会がそのような方向性をとっていることはとても頼もしく感じます。しかしながら、各小中学校にはそれぞれの地域の特色があるかと思いますので、全ての小学校と中学校にISSの認証取得を目指すという理想と現実のギャップというものが生じているのではと推察いたします。そこで質問します。今回の朋有小学校や富士見台小学校の認証取得までの活動を通じて、今後の区のISS活動の展開において学んだことがあればお知らせください。そして、今後のISS活動における他の学校の取り組みについてのタイムスケジュールはどのようにお考えになっているのかもお知らせ頂きたいと思います。
豊島区のセーフコミュニティでは、地域社会の拠点としての学校を単位として安全・安心を構築し、それらの集合体が豊島区全体としての安全・安心をもたらすというイメージを描いていると私は理解しておりますが、地域社会の絆がとても大切です。地域の方々に協力してもらわないと成り立たない構想でありますので、喜んで協力していただけるようにそれぞれの地域でのご配慮を宜しくお願い申し上げます。其々の地域社会で地域の方々が絆を作りながら、子供達を見守り、結果として地域の安全安心が更に高まることを祈る次第です。
最後に、大塚駅前広場の将来の管理運営についてです。ご承知の通り、JR大塚駅の地下の駐輪場及び駅前広場の工事が着々と進んでいます。特に駅前広場については、大塚駅周辺を考える会で検討してきた内容をできる限り実現させようと、豊島区の担当者の方々に大変なご尽力をいただいておりますことに地元の人間として改めて感謝申し上げます。天祖神社の石碑の位置をどうするかという課題もありましたが、概ね地元の意見を取り入れてくださり、また駅前広場もサンクンガーデンとして設計し、豊島区のシンボルツリーである桜の木や大塚の街のイメージフラワーであるバラも植樹しながら、都電沿線のバラロードと連動性を持たせ、さらにはイベント用の舞台も設置し、賑わいを作り上げることにも寄与できるような設計となっております。
街の活性化と発展において夢が膨らむ構想となっておりますが、一方で豊島区の国際アートカルチャー都市構想の中において、池袋に次ぐ発信拠点となることが大きく期待されるところです。問題は地下の駐輪場と地上の駅前広場をどのように地域の力によって管理運営していくかということです。
このような規模の駐輪場は、普通で考えると、指定管理者制度を利用して管理することになるのがこれまでの常でした。一方、駅前広場の運営はイベント会場もあることから、調整役として地元にある組織で運営をしていくのが良いと考えられます。この二つの管理運営を同じ管理者で行い、駐輪場の管理で得る収益を駅前広場の運営に使用することが今後の駅前広場及び駐輪場における地元の大きな課題となっております。そして、その方法こそが、この地域の地域力を示すとともに、大塚が持続的に発展し、更には国際アートカルチャー都市構想を実現可能たらしめる方法であると信じるものであります。そのような仕組みについてぜひともご検討頂き、ご指導を頂けたらと思います。
以上、様々な角度から申し上げてまいりましたが、大切なのは未来ある子供達の心身ともなる健康であり、家庭の温かさです。そしてそれと同時に地域社会の絆を更に強いものにしていかなければなりません。そのような豊島区になるために、今後も更に地元の要望をしっかりと受け止めていただきますよう重ねてお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。