平成27年度 豊島区予算案 意見開陳

H27年10月22日

刷新の会 古坊知生

  豊島刷新の会 ふるぼう知生でございます。私は今回、4年ぶりに決算特別委員会の委員となり審議に参加しました。4年前の決算特別委員会と比較すると豊島区の財政状況の小さくない変化に隔世の感がありました。そして区議会議員という立場で区民を代表して、役所の理事者の皆さんと真剣に議論をすることができたことに議員冥利に尽きるなと改めて感じたところでございます。

本委員会に臨むにあたって、私はテーマを定めて質問をいたしました。今回は、自分が先の区議選で掲げた自らの公約を直接区にぶつけてみようということでした。その中でも中心は議会改革、少子化対策、子育て支援、そして教育改革であります。そのような観点から平成26年度豊島区一般会計歳入歳出決算および三特別会計歳入歳出決算において、審議し考察してみました。以下に私の考えを述べるものであります。

 まず、総括的に言うと平成26年度においては、歳入が約1323億5000万円、歳出が約1295億8000万円という過去最大の決算額となりましたが、これは新庁舎保留床購入経費等を支出するために庁舎等建設基金の運用金を償還する経費に充てるため財政調整基金を取り崩した結果生じた特殊な事情といえるもので、財政力指数、実質収支比率、公債費負担比率、更には経常収支比率についても、先に述べた平成26年度の特殊な事情を差し引いても、堅調に推移したということは財政運営の健全性が保たれていると評価できるものであります。

 4期16年という長きに渡り区政のタクトを握ってきた高野区長が、問題解決のためにおそらく殆どの時間において意識を集中していたであろう豊島区の厳しい財政状況もたゆまぬ努力でほぼ健全化が図られ、新庁舎建設を成し遂げたという実績と共に新しいステージに上がったと感じます。すなわち時代のニーズに合った形で行政サービスの新規拡充を図りながら全体として極力サービスの質を維持していく。そして、全国的な課題である老朽化した公共施設の整備という問題で区民の皆様に対してしっかりと説明責任を果たしながら果敢に実行し、更には将来経済状況が厳しくなった時の税収減に備えて基金を積み増すという更なる困難を伴うステージです。そのためには毎年行われている事務事業評価を身内の、ともすれば甘くなりがちな判定のみに委ねるのではなく、定期的に第三者も含めた評価を行い、無駄をあぶりだし毎年身の丈に合った財政という根本的な原理原則をしっかりと遵守していく事が重要だと思います。

そして、平成26年度において使途目的が明確になっている増収分が2件あります。区民税の均等割額の増税分と消費税増税分でありますが、一般会計に含まれているので使途目的に適った形で適正に使われたのか分かりにくい部分もあります。これについては今後も可能な限り説明責任を求めるものであります。総括についてはこのように評価をし、次は私の掲げているテーマに沿って評価及び要望をさせていただきたいと思います。

 まず、私の公約の第一は議会改革です。議員定数の大幅削減、議員報酬の適正化、政務活動費の抜本的な見直し、更には費用弁償費の廃止等を謳っております。議員がまず自らを律することなくして役所に対して厳しいことを求めることはできないと信じるからです。この部分は議会サイドにおいて決定することですので、今回は言及しませんでしたが、本委員会では関連する事項として議長交際費について言及いたしました。決算額やその使途において年度ごとに大きなばらつきがあります。議長としての交際費なのか、一議員個人としての交際費なのか疑問が残るところですので、区議会事務局においては議長交際費について更なる厳密な使用規定を定めるべくご検討をお願いします。

更に、議会が区民の代表であると言えるのは少なくとも投票率が50%を超えた時であるというのが私の考えですが、投票率の向上は民主主義という制度をより確かなものにするためにとても重要な視点です。公職選挙法が改正され18歳まで選挙年齢が引き下げられました。国の公職選挙法の更なる改正を見据えながら、有権者の立場に寄り添った方法、例えば最寄りの駅に期日前投票所を設置するとか、幼少の子供連れであっても一緒に投票することができるようにするといった方法により、投票率向上に確実につながります。選挙をすることを幼児期から体験してもらうことによって、選挙に必ず行く有権者作りに貢献できると思いますので、その実現に向けての豊島区の更なる努力を期待いたします。

そして私の公約の第二は、少子化対策・子育て支援・教育改革です。その趣旨はこのまま何の対策も講じなければ、高齢者の福祉の支え手である若者がいない街になってしまうという危機感です。お年寄りの方々がお元気で文化的な生活を楽しめるということは本当に素晴らしいことであり医学の進歩と合わせ、助け合いという日本人の民族性、国民皆保険制度という政策のおかげもあり、現在日本は世界に誇れる長寿大国になっています。しかし、一方で若者がいなければ、福祉は成り立ちませんし、消費が減少傾向をたどり経済が発展する余地がなくなります。私は一期生の時からこの主張をずっと続けておりますが、東京23区の中で唯一消滅可能性都市というレッテルを貼られた豊島区であればこそ、政策的に優先順位が高い政策だと考えます。そのために、地方自治体で何ができるかということですが、国が希望出生率という言葉を使うようになりました。「産めよ!増えよ!」という言葉を使うことは女性の皆さんに多大なるプレッシャーを与えることになるので、このような女性の立場に寄り添った言葉が出てきたことは何よりですが、言葉を明示した以上、政治には責任が伴います。国もそのような方向性になっている今、豊島区としても少子化対策・子育て支援・教育改革という考え方を最優先にしてもらいたいものです。

まだ国の制度設計がなされていない以上、豊島区として打ち出せることには限りがありますが、例えば少子化対策ということであるならば、国民健康保険制度の中の、出産育児一時金において二人目以降の子供には増額することも検討してもらいたいと思います。価値観が多様化している昨今、結婚を望まない方々もいらっしゃいますし、結婚しても子供を産まない・あるいは産めないという方々もいらっしゃいます。そのような中で一人でも多くの子供を産んでもらうためには、子供を既に一人産んだご夫婦に更にもう一人産んでいただけるような環境づくりをバックアップしてあげることだと思います。その為には家庭の経済的な負担を軽減することが一番望まれていることではないでしょうか。働き方の問題もありますから、そのことだけで少子化の問題は解決できるものではありませんが、もう一人欲しいなと思っているご夫婦の背中を押してあげる効果はありますし、何よりも、豊島区が未来ある子供についてそのように対応してくれているという強いメッセージを与えることができると思うのです。

子育て支援という意味では、豊島区においても国の平成29年4月までに待機児童ゼロを目指すという方針にのっとって対策を強力に推し進めてもらっています。供給が需要を喚起し、需要が供給を呼ぶという状況にあり、なかなか待機児童の人数が減らない現状ではありますが、できる限り保護者の方々のご要望に応えられるように地域における実情も考慮しながら対策を更に講じていただきますようお願いいたします。

教育改革という点で言うと、私の視点は家庭における教育費の負担軽減です。自分自身も三人の子育てをしながら感じることは、一人の子供に普通に教育を与え、一人前の社会人として成長させるためには、教育費に想像以上にお金がかかるということです。公教育においては教材や教職員の人件費についても区民として心配することがないということは本当にありがたいことだと思いますが、更に負担の軽減を図る政策をとってもらいたいと思います。例えば小学校・中学校の給食費や林間学校・修学旅行費、更には中学校の標準服に関しても検討の余地はあると考えます。子育てや教育に特化して応援している豊島区だということをアピールする上でも必要な政策であると思いますのでご検討をお願いいたします。

関連して、未来ある子供達のためにということであれば、福祉費や衛生費の款別審査でも申し上げましたが、子宮頸がんワクチンの問題が挙げられます。厚労省がこのワクチン認可をしてから本区でも接種が始まりましたが、あまりにも副反応報告が多く、定期接種になってから2ヵ月後に積極的勧奨を中止するという状況になっている前代未聞のワクチンです。ワクチン接種適齢期の生徒や保護者の方々からしてみると、ワクチンを接種すべきなのかそうでないのか判断がつきにくく、行政としては中途半端な対応になっておりますが、であればなおさら、私が以前から主張しているようにリスクのまったくない、そしてそれをすれば子宮頸がんになることはほぼ完璧に防ぐことのできる定期的な健康診断の受診率を高めることに力点を置くことが望まれます。行政としてはいくら豊島区でこのワクチンによる健康被害を受けた人がいないからといって、推進派の方々の意見にのみ耳を傾けるのではなく、ワクチンの副反応が報告された方々の体験談も聞きながら両方の意見に耳を傾け、適切な対応をしていただくようお願いします。また、色々な地方自治体でも実施を始めております、過去において子宮頸がんワクチンを接種した全ての女性の方々に対する健康調査を行うことも、再度ご検討をお願いします。

さらに、学校給食の調理場にあるグラストラップの清掃についても言及しました。セーフコミュニティを謳う本区としては安全・安心な給食を子供達に提供することは大切な視点です。清掃に関して従来のバキューム方式では時代の要請に合わず、また知らず知らずのうちに環境に悪影響を及ぼしているということも考えられます。従来の方式にとらわれず、コスト面からも考察し、清潔な調理場をより確実に確保できる清掃方法の検討をお願いします。

その他の視点として、空き家対策について具体的な場所も挙げて質問をしました。長年にわたって地域の足かせになっている問題ですので速やかな解決を希望します。

そして本区に本部を置く精神医療クリニックの現場において繰り広げられている貧困ビジネスと精神疾患患者への人権蹂躙の実態に対する解明も要望しました。複数の課にまたがる案件ですが、未だに狭い部屋に住まわされ、生活保護費もクリニックに管理されて自由を拘束されている患者が大勢います。豊島区が舞台となっておりますので、東京都とも連携して早急なる解明を切に要望いたします。

さらには旧庁舎跡地利用と並列に考えられている豊島区の二大プロジェクトの一つ、造幣局の跡地利用についても言及しました。防災公園の部分は良いとしても残りの市街地整備等の区画の計画があまりにも平凡過ぎて華がなく、これで賑わいが本当に創出されるのか、そして地元の木密地域の解消に資する区域としていますが、結果として近隣の商店街に活性化をもたらすことができるのか疑問であり、計画の抜本的な見直しを求めるものであります。

 以上、主に私の公約に沿っていろいろと述べて参りました。区職員の皆さんの働き方についても少し述べておかなければなりません。豊島区においてはワークライフバランスという考え方を区民に奨励しておきながら、豊島区役所内において5億円を超える超過勤務手当てを出しているということには矛盾を感じざるを得ません。業務の内容ゆえかもしれませんが、金額が課ごとに偏っているというところもありますので、現場の責任者である課長さんが人材の配置や仕事の分担等もしっかり目配りしながら、残業が多くならないように適正に管理し、職員の方々がより働きやすい職場にしていただけるようにお願いします。

 歳出削減においては、先に述べたような議会改革のための具体的な行動を持って議会側も率先していかなければならないと思います。そしてその上で、区民から預かった税金でありますから、コストカットの意識を徹底させ、一円たりとも無駄にしない歳出を更に目指してもらいたいものです。

 歳入についても、細かい収入に対しても積極的に得ようとする意思を感じることができますので、今後も継続すると共に、基金を運用することは否定はしませんが、あまりリターンを期待しすぎてリスクを伴うことがないように原資は税金であるという観点に立ってノーリスクでの運用をお願いいたします。

 様々な観点から、私の中でのテーマに基づいた理想の区政について語って参りました。平成26年度一般会計歳入歳出及び三特別会計歳入歳出決算におきまして、課題はいろいろと見え隠れしますが、方向性においては共有するところも多いのではないかと考えており、賛成を表明させていただきます。

 今回の決算特別委員会において、区長を始め、副区長、そして教育長また理事者の皆様には、私の質問に対して真摯に、分かりやすくご答弁いただき、また私の資料請求に対して迅速かつ的確な資料をご用意頂きましてありがとうございました。時間がなく、資料請求して答えていただいた全てのことについて質問をすることはできませんでしたが、今後の議会活動に必ず活かしていきたいと考えております。

また公平公正な運営をしていただきました河原弘明委員長、西山洋介副委員長にも心から感謝を申し上げます。

 今後も高野区長を先頭に、身の丈に合った健全財政を継続しながらも、山積した課題については区民に対する説明責任を果たしながら乗り越えてもらい、さらには豊島区が東京23区の中でも、特に少子化対策・子育て・教育という分野においても選ばれる自治体になるために果敢にチャレンジをしていただきますように、そして子供、父母、祖父母の三世代が支えあい、助け合い、家族の笑い声が響きあうそんな豊島区を実現すべく努力していただきますことを重ねて要望いたします。

 二元代表制の中で、区民の皆様のご付託を受けた私も、議員として区政全般にわたって今後もしっかりとチェックをし、かつ様々な提言をさせて頂くことを表明いたしまして、私の意見開陳とさせて頂きます。 ご清聴、誠にありがとうございました。