●2013年2月20日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。

「未来に希望が持てる豊島区を目指して!」

みんな・無所属刷新の会 古坊知生

 みんなの党・無所属刷新の会、古坊知生でございます。私は「未来に希望が持てる豊島区を目指して!」と題しまして、1.平成25年度豊島区予算案について、2.その他として教育施策に関して一般質問いたします。高野区長を始め、理事者の皆様の前向きな答弁を期待いたします。
 早いもので先の統一地方選挙から既に二年が経過しようとしており、任期の中間点にさしかかろうとしております。掲げた主要な公約の一つ、議会基本条例の制定について、ことあるごとに主張はさせて頂いておりますが、まだやっと議論がスタートしたという段階であり、なかなか思うように進まないことに改革実現の難しさを実感しております。また、もう一つの主な公約である教育改革については、与えられた二期・6年間の議員活動の中で、一般質問の中で多くの時間を使って質疑応答をして参りました。進展したものもありますが、そうでないものもあり、これまた歯がゆい思いを感じさせられております。区政の中でやるべきことは多々ありますが、これまで指摘したことも踏まえながら、どのようにすれば豊島区の未来に更に希望を持つことが出来るのかを考えてみたいと思います。
 まず、最初の質問です。平成25年度の豊島区の予算案につきましては、4年連続して財政調整基金の取り崩しを行うも、その前年度繰入額を半減させたこと、財政健全化を進めつつ、148事業・32億円の新規・拡充事業を計上したこと、10年先の豊島区の将来へ向けて計画的に公共施設等に投資したことが大きな特徴となっております。
教育と福祉が区の施策の基本であることはいわずもがなではありますが、教育費については24年度の構成比が9.3%で、25年度においては7.3%になっており、教育費に限って比較してみると、前年度から19.2%の減額となっております。学校施設の改築の終了等が主な原因のようですが、ハードの部分ではなく、ソフトの部分における予算については前年度と比較してどのような変化や特徴があるのか、お答えください。
以前より私は高齢者への福祉も重要ではあるが、むしろ未来の活力維持のため、ざっくばらんに言うと、人口維持の為に、少子化対策を始め、子育て世代に対する支援を充実すべきであると言い続けております。最近の子育て世代はシビアです。インターネット等を通じて各区の子育て施策を比較し、政策が充実している区を居住区として選ぶ傾向があります。
 福祉費を考察してみますと、大まかに分けて高齢者福祉と障がい者福祉、生活保護、そして児童福祉に分かれると思います。それぞれにおいて予算の割合はおおよそどれくらいになっているのでしょうか。またその割合について区はどのように考えているのでしょうか。私は福祉費だからといって際限なく支出しても良いものだとは思っていません。まだまだ無駄を切り詰めることは可能ではないかと考えております。限られた財源の中で、特に全体の予算の構成比40パーセント近くを占める福祉費においても、いわゆる政策の優先順位というものを考えざるを得ないのではないかと思うのです。未来に希望が持てる豊島区を目指すならば、児童福祉にもっとプライオリティを置くべきです。子供たちが多く生まれ、育ち、そして成人し、生産年齢人口が増加すれば、社会保障の安定的財源が捻出され、結果的には高齢者等の社会保障は持続可能なものになります。巡り巡ってすべての方々が安定した社会保障を受けられるということになるのです。財政状況が厳しいからこそ、児童福祉を今までより優先、充実させる方向性を検討すべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
 次に、木密地域不燃化10年プロジェクトについて質問します。東京都が打ち出した「木密地域不燃化10年プロジェクト」は防災上危険な木密地域を燃え広がらない、燃えない街にすることを目的とした画期的な事業です。正しく未来を意識し、未来に希望が持てる事業であると思います。このプロジェクトは東京都の事業ですが、区も積極的にかかわっていく必要性があります。いやむしろ中心的に取り組んでいかなければならない立場です。東京都との役割分担があるとは思いますが、区としてどのような役割を果たしていかれるおつもりでしょうか。また今までに地域に対する説明会を開催してきましたか。そしてもしそうであるならば、そこから浮かび上がってきた課題があればそれも教えてください。また今後どのように進めて行く予定なのかも知らせていただきたいと思います。
私の住んでいる東池袋四・五丁目地区は、東京都から不燃化特区の先行実施地区に選定されています。また東京都が公表した特定整備路線のうち豊島区は5路線・7区間が該当するほど、木密地域が多いということであり、地権者のご協力をいただかなければなりませんが、このプロジェクトを推進することにより街が劇的に変わることになりますから、地域のコミュニティを断絶しないよう、しかし更なる発展がもたらされるよう、施策の大いなる展開を期待しております。
次はその他として教育施策についてです。少子化対策や子育て支援が充実して成功し、出生率が増加したとしても、正しく教育しなければ意味がないからです。もちろん家庭での教育が基本です。学校での教育はある意味、肉付けや応用でしかありません。しかし親子間の家庭でのコミュニケーションが希薄になっている今日では、学校教育の重要性が日増しに高まっているのも事実であります。
 ゆとり教育の弊害から脱しようとして、地方自治体が様々な取り組みを実施している中で、豊島区も学力重視の方向性を示し、区独自の学力調査を悉皆方式で実施していることは一保護者の立場からしても大変にありがたいことだと思っております。抽出方式ではテストを受ける子と受けない子という不平等が生じてしまいます。義務教育においては平等性が担保されなければなりません。そのような観点からもすべての子供に対して等しく機会を与えようとする本区の姿勢は高く評価したいと思います。更に全国一の学力を誇る秋田県の特に能代市との教育連携を進めることも意欲的な取り組みと言えるでしょう。しかしなぜ秋田県や北陸三県の子供が小学校・中学校ともに成績が良いのか?これは本当に興味のあるところです。現時点において豊島区はどのように分析をしているのでしょうか。私の一方的な思いかもしれませんが、親子間や三世代間の情関係というものが思春期の情形成あるいは行動に大きく影響を及ぼすことから、この地域においては家族間の絆の度合いがより密接なのかなと推察しております。子供はやはり愛情によって育つものです。また先生や家族から愛情を感じられなければ勉強しようという気持ちも起こらないでしょう。ですから先生が技能的にも卓越しているということは大切ですが、それよりも愛情を生徒が感じることが出来る熱血先生をどんどん増やしてほしいものです。いずれにしても勉強のやる気を起こさせる何かが違うのだと思いますので、是非ともそこを詳しく分析し、豊島区の教育に活用してもらいたいものです。
 近年、財政状況厳しき折、予算を組み、学校のICT機器を充実してもらって子供たちのICT活用スキルを磨き、情報リテラシーを向上させていることに感謝をしながらも、一方で教育というのは人対人であることから、最後は人間関係であることを忘れず、人材育成に更に力を注いでほしいと思います。
 最近そういう流れの中で、東京都品川区において新しい試みがスタートしております。それは「親元近居支援事業(三世代すまいるポイント)」です。介護や子育てなど、お互いに助け合いながら安全・安心に暮らしていくことが出来るように親世帯と近居(または同居)することになったファミリー世帯に対して、転入・転居費用の一部を三世代すまいるポイントとして交付するというものです。
 転入・転居費用1円に付き1ポイントを換算し、費用に応じて500ポイント単位で発行し、一世帯当たりの上限は10万ポイントとしています。区内の商店街連合会や大手の企業に協賛してもらい、様々ある項目の中から自分の好きなものを選択してサービスを受けることができるというもので、単なる現金ではなく、消費にも直結するというところに魅力があります。
 同居はもちろんですが、お互いの住居が1200m(おおむね徒歩15分)圏内の区内にどちらかが引っ越しをしてきた時にこの制度が有効となるわけですが、私は家族間、あるいは親・子・孫という三世代間のあり方を見直すきっかけとなるよい制度だと考えています。
 家族が一つ屋根で当たり前のように暮らしていた昔、そこには経済的な豊かさはそんなに感じることができなかったかもしれませんが家族の助け合い、支え合い、そして何よりも愛情にあふれ、明日への希望がありました。高度経済成長時代になり、核家族化が進み、家族がバラバラとなり、疎遠になってしまった現代社会であるということは否めないと思います。しかし今さら昔のスタイルに戻れないというのも理解できるところではあります。難しい問題ですが、教育の根本はくどいようですが家庭です。家庭においてより多くの家族から愛を受ければ受けるほど子供はまっすぐに育っていくと思います。ですから品川区でスタートしているこの事業についても動向を注視し、分析をしてほしいと思います。三世代が同居することが理想ではありますが、それが逆にストレスになるということも人によっては考えられます。でも近くに住んでいて、子育てを手伝ってくれたら、お母さんにとってどんなに心強いかということも真実だと思います。子育ての経験がないお母さんに的確なアドバイスをしてくれるだけでなく、自分自身がけがや病気になった時にどれほど助かるかということを考えると、この制度について検討をしてもらいたいと思います。区のお考えをお聞かせください。
昨年は豊島区のセーフコミュニティの認証取得と共に朋有小学校のインターナショナル・セーフスクールの認証取得という豊島区においては輝かしい実績を収めた一年でもありましたが、子供たちが安全で安心に通える学校という観点から、隣接校選択制についても考えをめぐらしていかなければなりません。今後ますます、学校が教育施設という枠組みを超えて、地域コミュニティの核となる施設として定義されていくと思われます。また小中学校の統廃合で学区域のエリアの面積に大きな差が生じているという事実。またある児童にとっては地域の学校のそばを通りながら隣の学校に通学する子もいるという現実。そして何よりも災害時の避難場所として位置づけられる小中学校において普段通っている学校と避難する学校が違っていていいのかという問題もあります。また地域の子供は地域で守るという考えもあり、そのような様々な観点からもこの制度は議論されるべきであります。地域の安全・安心の為に小学校区と区民ひろばとを連携させて、より小規模なスモール・セーフ・コミュニティを目指していくという説明をさる研修会で聞きました。そうであれば、地域の子供は地域の学校に通う、これこそが安全・安心の理想形であり目指すべき姿だと考えますが、区としてはこれらの問題についていかがお考えでしょうか。
以上、様々な観点から申し述べましたが、高野区長を始め副区長、教育長、各部課長そして豊島区職員すべての皆様がこれまで培ってこられた知識と経験を生かし、施策を実行される中に、豊島区の輝ける、素晴らしい未来があることを心から願って私の一般質問を終了します。ご清聴まことにありがとうございました。