●第34号議案「豊島区特別区税条例の一部を改正する条例」に対する反対討論 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)

 みんな・無所属刷新の会、古坊知生でございます。私は会派を代表し、只今上程されております、第34号議案「豊島区特別区税条例の一部を改正する条例」に反対する立場から討論をいたします。

 反対する部分は、豊島区特別区税条例附則第17条区民税の税率の特例等、「平成26年度から平成35年度までの各年度分の区民税に限り、均等割の税率は、第13条の規定にかかわらず、同条に規定する額に500円を加算した額とする」であります。

 本区条例改正の基となった「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案」ですが、この法案の名称自体が、あたかも被災地への復興支援のための増税であるかのような誤った印象を区民に与えてしまうことが問題であると考えます。

 平成23年11月29日、この法案を決議した参議院の「附帯決議」1を見ると、「緊急防災・減災事業の財源確保のために講じられるものであることを明らかにしつつ、国民の理解が得られるよう、周知広報を徹底すること」、とあります。このことから「周知広報徹底」しなければ主旨が理解されにくい法案であることがわかります。

 そして附帯決議2に、「各地方公共団体の自主的判断を尊重する」あるいは、「同事業を実施しなかった団体や規定経費の節減などにより個人住民税均等割の税率を引き上げることなく同事業を実施した団体を不利益に取り扱うことのないようにすること」とあるように、この増税に関しては、各地方自治体の判断に任せられていて、増税しない代わりに「規定経費の節減」もありうることを前提としているのであります。

 さらに附帯決議3に、「個人住民税均等割の税率の引き上げにより得られた財源が他の事業の財源として振り返られたのと同様の結果を招くことのないようにする」とありますが、これについては、この増税分が区の予算の一般財源に入ってしまい、本当に防災に使われるのかどうか明らかになりにくい財源であり、注視しないと何に使われているのかわからないものであるということが窺えるのであります。

 自治体において「防災・減災」にかかる予算執行については、区民の生命と財産・安全を守る上で急務であろうことは容易に想像がつきますし、そのことについて我々はまったく異論はありません。3.11の大震災で、自治体がそれぞれに「防災」と「復興計画」に心血を注がなくてはならないことを我々は身をもって理解したところであります。

 しかし、増税して区民に更なるご負担をお願いするこの方法しか本当にないのでしょうか。そのような議論や協議がどれだけ行われたのでしょうか。本区では今年の第一回定例会の予算委員会における議論の中で、「聖域なき事業の総点検」という言葉を用い、歳出削減に対する区の意気込みを示したばかりです。まだその結論が出ていない状況にあります。また、我々議会においても、例えば議員7名の定数削減により、今回の増税見込み額である年間.約7千万円は、あてがうこともできるのです。

 区民の皆様に増税というご負担をお願いするのであれば、役所もできる限り無駄を削減し、議会も身を切る改革を示した後に初めてお願いできるのであり、本定例会において、そのような姿勢や気概をもっての決断があったとはとても言い難いのであります。
 このままでは区民の方々に到底納得のいく説明ができませんし、本定例会におけるこの議案について、区民の立場に立って苦渋の選択で決断したとは言い難いのではないでしょうか。そのような政策決定プロセスがない状態で、区民の方々から浄財として徴収するのは、いくらなんでも拙速すぎると私たちは考えます。このような決定の仕方は、議会不信、行政不信になりかねません。

 消費税の増税など、今や国民全体に政治不信が広がりつつある中での今回の区民税の増税であります。地方自治体の「防災費」は自治体内でまかなえということであり、財務省が地方へ負担を押しつけているに過ぎません。「本当に国民のことを第一に考えてくれているのか」「国民が犠牲になっても平気なのか」このような不信感が募るさなかで、なおのこと慎重に議論しなくてはならないのではないでしょうか。

 百歩譲って、もし区民から徴収する他はないと言い切るのであれば、「身を削る」ことをしたのかと区民から問われるでありましょう。にもかかわらずそれが行われた形跡は全くないのであります。全ての区が一斉に値上げをする必要はないにも関わらず、国会でそのような法案が出たということで「他が上げるのならとりあえずうちも」、というようなことは便乗値上げ以外のなにものでもありません。住民を直接的に守っている一番身近な自治体まで信頼されなくなったら、もうこの国は終わりであると言わざるを得ません。

 都民税500円も含めた全体で1000円という住民一律負担が、明確に防災費として計上されない以上、「防災のための施策に必要な財源の確保」として区民の方々に説明できるものではありません。

 以上の観点から、第34号議案「豊島区特別区税条例の一部を改正する条例」の可決に反対することを述べて、討論を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。