●八ッ場ダム反対討論 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)
みんな・無所属刷新の会 古坊知生でございます。
私はただ今議題とされております、議員提出議案第14号、すなわち「八ッ場ダム建設事業の早期完成を求める意見書」に反対の立場から討論いたします。
2009年、歴史的な政権交代が起こり、マニフェストに掲げた公約を果たそうと、当時の前原国土交通大臣が八ッ場ダム建設中止を表明しましたが、以後政権内でも迷走が続いてきました。内閣が変わるごとに担当大臣も変わり、方針もどんどん転換され、ついに先日、建設中止か継続かの再検証が進められてきた八ッ場ダム建設事業に対して、国土交通省関東地方整備局は建設継続を妥当とした検証結果を示すに至りました。
東京都をはじめとする、1都5県の知事らは国土交通大臣などへ直談判を行うなど平成27年度のダム完成を迫っています。一方、ダム建設反対派は「科学性・客観性が欠如している」として「検証の根本的な見直し」を求めていて、激しい攻防が展開されている状況です。
このように八ッ場ダム問題は政治を巻き込み、推進派と反対派に分かれて激しく議論されていますが、ダムを建設すべきか中止すべきかという判断は政局の観点からではなく、費用対効果という観点を中心として冷静に判断すべきと考えます。
いろいろな議論が過去にもなされそれぞれの立場で、それぞれの理論がありますのでここではその議論をあえてしませんが、最も重要なことはダム建設予定地に住んでいらっしゃる地元の方々に対する生活再建と地域の再生です。長い間ダム建設反対という立場で運動を展開してこられた地元の方々も、最終的には国の為にあるいは下流域で生活している首都圏の住民の安全安心の為にという大義名分の下、多くの人々が代替地へ移転したり、ダムを前提とした生活設計を立てている状況の中で、ダムの中止はそれを白紙に戻し、地元の方々を苦境に追い込んでいることは事実です。精神的には国に対する不信感が募り、今後どうしたらいいのか途方に暮れていることと思います。だからこそ生活の補償と地域の再生に向けた政治の真摯な取り組みが求められています。
すなわち、国が地元住民の立場に立脚した誠意ある対応をするということです。もちろん困難は伴いますが、時代に即した河川行政の在り方という観点から、名誉ある撤退を選択し、関係者の方々への補償と生活再建に向けた迅速な対応を民主党政権には心からお願いをするものであります。
最後に、この意見書が提出された時に、私たちは何故今この時期に八ッ場ダムかという疑問を率直に抱きました。政治的な一連の流れの中で意見書を提出するなら今だということは理解します。しかし一方で今という時は3.11、東日本大震災からの復興を目指して日本国民が一丸となって助け合っている時でもあります。あらゆる手を使ってでも復興財源を捻出しようと激しい議論をしているこの時に、首都圏住民の安全安心のためとはいえ、建設の効果に専門家からも疑義がよせられているようなダムに対して国家の貴重な税金をこれからも無尽蔵に投入することになりかねないこの建設計画に私たちは反対です。
願わくば、一刻も早く政党間の党利党略を超えて、水没予定地域の住民の方々に対する迅速な補償と生活再建支援が実行され、そして現代における河川行政の見直しにつながってくれればとただ祈るのみであります。私たち地方議員には、悲しいかなそれしかできないのですから…。
以上、議員提出議案第14号「八ッ場ダム建設事業の早期完成を求める意見書」に反対することを述べて討論を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。