●2011年9月27日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。

豊島新時代到来。新しい発想と具体的な行動で大転換を!

平成23年 第3回定例会 みんなの党・無所属刷新の会 古坊知生

 みんなの党・無所属刷新の会幹事長を務めます、古坊知生でございます。私は「豊島新時代到来、新しい発想と具体的な行動で大転換を!」と題しまして、1.議会制民主主義と二元代表制のあり方について、2.事前復興ビジョンの推進について一般質問いたします。高野区長をはじめ、理事者の皆様の前向きな答弁を期待いたします。
 さてまず冒頭に、新しい会派が結成いたしましたことを皆様にご報告申し上げます。旧みんなの豊島の3名と、旧無所属まことの会1名、そして旧豊島刷新の会1名が合併して5名で会派を結成し、会派名は「みんなの党・無所属刷新の会」となりました。数合わせだとか、野合だとかいう批判があるようですが、私たちは時に熱く国政を語る議会ではなく、豊島区の問題や地域の課題を議論する豊島区議会でありたいと思っています。地域の問題を議論していくならば、必ず一致点が見いだせるとの強い確信を私たちは持っております。先輩諸氏のご心配が杞憂だったと思っていただけるよう、むしろどの会派よりも団結力があるところを見せていく覚悟でございますので是非温かい目で見ていただきますようよろしくお願い申し上げます。
 私たちは一期生4人、二期生1人という議会経験の浅いメンバーですが、里中議長が推進する議会改革のスピードを加速させるべく、区民の立場に立って発言をして参ります。
 私たちの共通認識は、「議会を変えよう」であります。すなわち与党・野党という発想ではなく、一つ一つの問題に是々非々で臨むという本来あるべき議会のあり方を目指すことです。私たちの行動は今までの慣例主義そして、前例主義の議会においては奇異なものとして映るかもしれません。しかしさまざまな地方議会の改革について学び、また地方分権の時代の流れを考えた時に、将来を見据えてどんどん提言をし、具体的な行動をして模範的な「政策集団」として議会の大転換をして参りたいと決意するものであります。
 さて本題に入ります。最初に区長に対して議会制民主主義と二元代表制のあり方という根本的な質問をさせていただきます。昨今地方議会において、首長と議会の対立が度々報道されるようになってきました。鹿児島県の阿久根市における竹原前市長と市議会、そして名古屋市の河村たかし市長と市議会、そして大阪府における橋下府知事と大阪府議会、あるいは大阪市の平松市長と市議会。これらすべての共通項が首長と議会の対立であり、それは裏を返せば、全国において今まで首長と議会の対立がほとんどなかったことを物語っています。
 近年まで、首長を中心とする執行部が提出する議案に対して地方議会は99パーセントを超える確率で賛成をしてきているとの報告を聞いたことがあります。そのような状況から地方議会は役所の追認機関に成り下がっているという批判も聞かれるようになってきました。首長の独裁を防ぐ、あるいは暴走を止めるためのチェック機関としてあるべき議会の姿が失われた結果として、長い間地方行政は首長のやりたい放題というのが実情でした。だからこそ先に挙げた首長と議会の対立が新鮮に感じ大きくクローズアップされたのだと思います。
 言わずもがなではありますが、日本における地方議会は議会制民主主義の形態をとっております。例えば、26万7千名を超える豊島区民が一堂に会して区の方針を決めていくといういわゆる直接民主制は不可能ですから、選挙によって選ばれた議員が区民の代表として議会を構成し、議会において区の方針を決定していく、いわば間接民主制の形態をとっています。首長と議会の関係性、すなわち双方とも選挙によって選ばれた民意であるという二元代表制のあり方についてどのように考えるかということが重要であると私たちは考えます。そこで区長にお尋ねします。首長と議会の本来あるべき関係性について、つまり二元代表制について区長はどのようにお考えでしょうか。
 先ほど、「与党・野党という発想ではなく」と述べさせてもらいました。与党とはなんでしょう。与党とは私的に申し上げれば、首長の政策や施策に諸手を挙げて賛成し、推進する立場の議員のことを言うと認識しています。首長選挙において、各党各会派が候補者を推薦し、その候補者が区長になった時には全面的にバックアップするという意味で、議会における審議が馴れ合いになっているという批判が聞かれます。議員の都合ではなく、住民の目線で議会運営を行ってほしい、しがらみなく、是々非々で臨んでほしいとの声を尊重するために、私は今回の区長選挙において、豊島刷新の会に対してあった高野区長からの推薦の要望を丁重にお断りしました。4年前の区長選挙の時には、初めての選挙でまだ地方議会のなんたるかも知らず、高野区長を推薦しましたが、4年間いろいろな研修会に参加し、地方議会の改革に造詣の深い講師の方々から、東京23区が特に議会改革が遅れているとの言葉を聞いたりしながら、地方議会を勉強してきた中で、首長と議会の関係を区長選の時から正していかなければとの思いがあったからです。区長選の時に特定の候補者を推薦すると、その行動に縛られてしまい、区長部局の施策一つ一つに対して、是々非々で審議に臨めないと思うからです。区長選における各党、各会派の推薦は議会が形骸化する原因の一つであると私は考えております。今回の選挙において区長はどのような思いで各党各会派に対して推薦を依頼したのでしょうか。選挙に勝ちたい気持ちはよく理解しますが、例えば東京都の石原都知事においては、選挙の時に公党に推薦をもらったりしておりません。最近の首長選挙においてもそのような事例をたくさん見ることができます。私はこの形こそ首長と議会との適度な緊張関係を担保する方策であり、今後はこの流れが主流になると考えております。そのようなことも踏まえて答弁をお願いします。
 次に、首長と議会が対立しているときの解決策として、前段に挙げた地方自治体の首長は住民からのリコールを使い、議会を解散させ、自分を支持する候補者を擁立し、議会における過半数を占め、自分の意のままの状況を作ろうとしました。選挙の結果は首長の筋書き通りであり、地元の有権者は首長を支持する議員で過半数を占める議会を全てではありませんが、選択しました。そこにおいては本来の首長と議会の適度な緊張関係という構図はなく、むしろ先ほど私が述べた役所の追認機関になるという危険性が高いことが指摘されています。名古屋市の河村市長と市長与党、あるいは大阪府の橋下府知事と知事与党との現在のこのような関係性について区長のお考えを聞かせてください。また、仮の想定ですが、区長が是が非でも成し遂げたいと思っている施策に対して議会がノーを突きつけた時、区長は議会を解散させる方法を選択しますか。そのことについてもお考えを聞かせていただきたいと思います。 
 豊島区と豊島区議会においても馴れ合いという観点では例外とは言えません。前区長の任期が終わり、高野区長が誕生するとき、豊島区の財政は深刻な状況でした。バブル崩壊によってもたらされた財政収支の悪化に対して抜本的な対策をとることができず、200億円近くもあった新庁舎建設基金は底をつき、負債は膨らむ一方で区財政が崩壊の一歩手前までになっていたのは周知の事実です。問題は前区長の時代において、そのような財政状況であるにもかかわらず、議会が何のチェックも果たせなかったということであります。区民からして見れば赤字をどんどん膨らませてしまって。行政サービスを低下させてしまった区も議会も同じように責任が問われるべき立場ではないでしょうか。もちろん議会には予算の提出権はありませんが、このままの予算案を通していけば豊島区の財政が危機的な状況になるという思いがあったなら、予算案にノーを突きつけて、区長部局に再考を促すことはできたはずです。それをせずに区長部局の出す予算案をそのまま通してきたことに今日の豊島区長をはじめとした財政当局のご苦労があるのであり、以前から私はこのことについて非常に問題視しております。一部の会派は反対したようですが、これも馴れ合いがもたらした結果といえるでしょう。
 私たちは、区長部局のやることなすことに何が何でも反対であると言っているのではありません。正しいことには賛成し、間違っていると思われることには反対したいという当たり前のことを申し上げているのです。豊島区議会が過去の失敗に鑑みて、是々非々の対応をとり、本当に区民に近い立場で請願や陳情に対応し、議員提出の政策条例が制定される議会にしていきたいものです。既にスタートしている議会改革検討会において、私たちは議会基本条例の制定を求めてまいります。その中に、議員定数の削減であったり、政務調査費や費用弁償費のあり方であったり、議会や委員会における議論の在り方、それから情報公開の在り方についてもしっかり議論して参りたいと思います。他の地方議会ではすでに導入されている、本会議における一問一答形式の質問や議員同士の議論についても積極的に取り入れ、区民の皆様にもっと開かれた議会を目指します。そのために私たち一期生と二期生だけの若いメンバーが、よき伝統は尊重しますが、前例や慣例にとらわれることなく、時代に合った改革を提言していきたいと決意しております。これから区長をはじめとした執行部の皆様と適度な緊張関係を保ちながら、議論して参りたいと思っておりますので、豊島区政の更なる発展の為にお互い努力して参りましょう。
 二番目の質問は事前復興ビジョンの推進についてです。先日首都大学東京の名誉教授である中林一樹先生をお招きし、「震災復興に備えて」と題しまして講演会が開催されました。私はこの夏、多くの勉強会や研修会に参加してきましたが、ある勉強会で中林先生のお話を聞き、その考え方に目からうろこが落ちるくらい驚き、感銘を受けた者の一人です。今回豊島区主催の講演会でさらに復習させていただき、また多くの議員や役所の幹部の方々が聞かれたことは大変良かったと思っております。
 いわずもがなではありますが、事前復興ビジョンとは被災後の復興まちづくりを円滑に進めるために、日ごろのまちづくり活動等であらかじめ地域の方が話し合って決めておく被災後の都市の復興方針のことを言います。大災害が起きてからではなく、起きる前に街がどのように被災するかを推測し、その被害を最小限に抑えるための予防策を講じていることが新しい斬新な発想であると思います。今年3月11日に起こった東日本大震災の例を見ても、復興どころか復旧すらままならない状況は周知の事実です。もちろん政府の復興関連予算の裏付けがなかなか見えず、地方自治体が前に進めないということも一因ではあると思いますが、多くは地域それぞれに特有の状況があり、住民のコンセンサスを得るのに多くの時間が費やされているというのが現実であると思います。だからこそ、災害が来る前に時間をかけて住民の方々と復興について話し合いをし、コンセンサスを得ておくという事前復興の考えは非常に有効的に思えるのです。そこで質問をします。まずこの事前復興という概念について区はどのように認識しているのでしょうか。お答えください。
 次に東京都においてもこの考え方の下にいろいろな施策となって展開されているようでありますが、豊島区の取り組みは他区と比較してどのような状況であるのか教えてください。豊島区の具体例としては、上池袋地区において震災復興まちづくり訓練の実施があります。その報告も一部受けておりますが、実際参加された地域の方々の反応について教えて頂きたいと思います。
 私は何よりも町を歩いて、被害をイメージすることによって防災の意識がさらに高まること、そして自分たちの町は自分たちで守ろうという意識が高まるという点において、事前復興という考え方に魅力を感じております。
 しかし反面、いいことばかりでもないと思います。私が考えるに、首都圏直下型大地震が30年以内に70%の確率で起こるといわれていますが、このような大災害は明日来るかもしれませんし、30年後に来るかもしれません。事前復興ビジョンを決めても実際の災害が10年後あるいは20年後、もしかしたら30年後に起こるかもしれず、その時にはそのようなビジョンは使用不可能なものになってしまうかもしれないという不安です。年月がたてば地域住民の構成メンバーも変わり、考え方も変わり、何よりも街自体が変化していることが予想されるからです。
 また、防災に対する地域の考え方の違いもあるので、すべてこの手法を浸透させていくことに温度差が生じるのではないかという不安です。もちろん強制は難しいですが、一度お話を聞いてみるくらいの価値はあるのではないかと私は思います。この事前復興ビジョンや震災復興まちづくり訓練を推進しようと、各地で区政連絡会等を利用してこのことについて説明がされております。私の所属する第12地区においても先日の区政連絡会でその説明がありましたが、ちょうど案件が多くて、説明の時間を多くもらえず、中途半端な説明に終わってしまった感が否めませんでした。担当者を攻めているわけではありません。せっかく町会長さんが集まる区政連絡会において、その意図するところが伝わりきれなかったことが大変残念だと感じたのです。上池袋での実施の経験から事前復興という考え方を推進していくうえでの課題について区はどのように考えているでしょうか。また今後の広報やPRにさらに工夫が必要かと思いますが、何かお考えはありますか。また具体的に東京都の方でもいわゆるグランドデザインを描くことになると思うのですが、震災復興における豊島区の考えと東京都の方向性を一致させることは担保されているのでしょうか。答弁をお願いします。
 東日本大震災の被災地の皆さんのご苦労は想像を絶するものがありますが、東京に住む私たちは多くの教訓を得たのではないでしょうか。今まで遠いものとしてとらえていた行政や議会ではありますが、その行政や議会が動かなければ、行動しなければ、物事は回らないということです。「たかが政治、されど政治」なのです。我々議員もそのことを肝に銘じながら、行動しなければなりません。災害が起きてから議会を招集している時間はそうはないと思われます。むしろ議会においても事前に災害時において現行の条例では対応できないことについての整備や改正等、あらゆることを検討しなければならない状況であることは誰が見ても明らかです。我々議会も努力しますが、区においても早め早めに、阪神淡路大震災や、東日本大震災の教訓を生かすべく問題点を整理し、災害時に整備していない条例のゆえに問題にぶつかってしまう人が現れないように対策を講じてもらいたいと思います。
 先日文成小学校において都内初となるり災証明発行のための訓練が行われ区職員をはじめ250名の参加者で会場が埋まったとの報告を受けております。当日会場にうかがえず大変残念に思っておりますが、災害が発生したら速やかに住家被害調査を行い、可及的速やかに罹災証明を発行することが被災者の生活再建の為に大変重要なことであると認識しております。マグ二チュード7.3規模の東京湾北部地震が発生したと仮定したとき、豊島区においては7000棟を超える全壊・焼失が想定されていますが、り災証明を迅速に、そして公平に、しかも大量に発行する体制が必要です。そのようなこともあって今回の訓練の実施になったのだと理解しておりますが、今回の訓練の成果と学習した課題についてお知らせください。
 ところで、豊島区においては9月1日付で人事異動が行われ新しいセクションが誕生しました。総務部防災計画担当課長です。この新設の課は何を目指しているのか、そしてなぜ敢えて防災課と切り離してまで新設されたのかご説明いただきたいと思います。特別委員会においても防災対策特別委員会から、防災・震災対策特別委員会に名前を変えたいとの申し出があったと聞いております。そこにおける区の考え方をお聞かせください。
 今年は大震災、大津波、そして台風による水害等、なすすべもない自然の圧倒的な力というものをまざまざと見せつけられた年でした。まだ今年は終わっていませんが、これからも日本列島に住む限りにおいて、災害に真正面から立ち向かっていかなければならない私たちです。この国を愛し、豊島区を愛すればこそ、この国に、豊島区に住みたいと思うのが自然な思いです。であるならば、その自然災害による被害をできる限り少なくするのが人間の英知であると私は思います。起こってからでは遅いのです。起こる前にできる限りのことをやっておくという事前復興の考え方を、セーフコミュニティという観点からも、豊島区がさらに積極的に広げてもらうことを期待しまして私の一般質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。