●2010年7月 第二回定例会 反対討論 その1 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)
刷新の会 古坊知生でございます。私はただ今上程されております、「子宮頸がんを予防するワクチン接種の公費助成及び検診、受診率向上対策の充実を求める意見書」に反対する立場で討論します。
まず、申し上げたいことはがん対策ということで、国民の生命にかかわる問題ですから、スピードが要求されるということはわかりますが、あまりにもことが拙速に進みすぎてはいないかということです。厚生労働省がこのワクチンを推奨しているのは承知していますが、はたして厚生労働省がやることが正しいかどうか、薬害エイズ事件など過去に犯した重大な失敗を思えば、全てを信じることはできません。最近では新型インフルエンザ・ワクチンについて、副作用の問題、流行の予測間違いの問題もありました。
それを前提に、子宮頸がんワクチンについて考えます。いろいろな資料を準備し私なりに得た結論であることをあらかじめ申し上げておきますが、まず、この子宮頸がんの原因とされるヒトパピローマウィルス(HPV)に感染しても、免疫により体内から自然と消滅するようになっており、がんにまで発展する可能性は0.1%から0.15%とごくわずかであるということです。それからがんになるまで通常、数年から十数年かかると推測され、人によっては子宮粘膜に異常が見つかったからといって、手術することよりも観察することが大切であると主張する専門医もいるくらいです。現在、国内で厚労省から認可されているイギリス系製薬会社グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」というワクチンがあります。このワクチンの添付文書には「医師は、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること」と書いてあります。すなわち、副作用があること、さらには「ワクチンを接種しても子宮頸がんにかかる可能性がある」と製薬会社は暗に認めているのです。2009年の8月19日、ニューヨークタイムズの記事の中には、スミスクライン社ではありませんが、やはり同種のワクチンであるメルク社のガーダシルというワクチン接種後の死亡報告が20件以上あることを伝えていますし、2009年にはイギリスでサーバリックス接種直後の14歳の少女の死亡例も報告されています。すなわち、効果が保証されていないものであり、危険性さえも議論されているものであるということを、第一に指摘させて頂きます。
次に、この「子宮頸がんワクチン」と呼ばれているものは、実際にはHPVという性感染症に対するワクチンです。単純に言えば「性感染症ワクチン」と言うべきものです。子宮頸がんは性感染症の感染者に高い割合で発症しています。平たく言えば、性感染症を予防してあげよう、というワクチンです。すなわち、性感染症と関係ない人達には、何の意味もないワクチンです。そういう人は、理論的には副作用だけを受ける可能性があるということになってしまいます。ワクチン接種の対象年齢は小中学生であるとしています。ということは、副作用の危険を冒しながら小中学生にワクチンを打って、「はい、これで、あなた達はHPVという性感染症にはかかりにくくなりましたよ」ということになります。
これでは、「あなた方は、もう性感染症にかからないのだから、いつでも、誰とでも性交渉しても大丈夫」と言っているに等しいのではないでしょうか。私は小中学生に対しては、このワクチンを接種するということ以前に、正しい性のあり方について、指導教育するということの方が最優先事項であると思います。
このような意見を見たときに、私も危険性を持つワクチンなのか、それともこのワクチンを接種すれば、100%子宮頸がんが無くなるかのような現在の宣伝が正しいのか、判断をしかねているのが本音です。学者や専門家によって、ここのところは意見が分かれるところではありますが、拙速にこのワクチン接種を少女たちに推進するのではなくして、議論を見守り、この疑問に答えが出るまで、少なくとも安全性が立証されるまでは、行動に移すべきではないというのが私の考えです。また、せっかくこの問題が提起されましたので、私としては、先ほど申し上げたように、思春期の子どもたちへの性道徳教育というものにも、更にしっかり取り組んでいただきたい旨、教育委員会にはこの際申し上げさせていただきます。
以上をもちまして、私の反対討論を終了します。ご清聴ありがとうございました。