●2010年6月23日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。

「未来を見据えた豊島区の街づくり・人づくりを目指して」

 刷新の会 古坊知生でございます。私は「未来を見据えた豊島区の街づくり・人づくりを目指して」と題しまして、①学校施設の環境整備について②JR大塚駅の駅ビルについて③その他として、都市計画道路補助81号線と防災道路の促進による街づくりとコミュニティについて一般質問いたします。高野区長を始め理事者の皆様の積極的な答弁を期待いたします。
 まず、学校施設の環境整備について質問いたします。豊島区では一昨年に、今後30年にわたり、計画的・効率的に学校改築を進めるための「豊島区立小・中学校改築計画」が策定されています。前期10年間の改築校については具体化され、その各々の計画が進行中であります。西池袋中学校や目白小学校等の改築における地元の協議会の報告を聞きますと、小中学校という存在が地元のコミュニティの核となっていると改めて実感するものであり、子どもたちの心身共の健やかな育成はもちろんのこと、地域の発展に寄与する計画になってほしいと心から願うものであります。それでは中期あるいは・後期計画について、いつ・いかなる方法で検討を開始し、決定をしていくのか、今後の教育委員会の方針を示していただきたいと思います。
 隣接校選択制をとるわが豊島区において、保護者の立場から考えた時に選択の自由があり、その結果として学校同士の競争が生まれるという良い側面がある一方で、その問題点が如実に出てしまい、児童数が少なくなってしまっている学校もあります。逆に毎年入学する児童が増えて教室が足りなくなる不安を抱いている学校もあります。たとえば朋有小学校においては、普通教室が18教室ありますが、1学年から6学年まで15クラスあり、特別支援学級2クラスを合わせると全部で17クラスとなります。特別支援学級が3教室使っている関係上、全教室を使い切っており、来年度新1年生が3クラスになると、英語・教材室がなくなってしまうということも考えられており、PTAの方々からも私達地元の議員や町会長さんにも、会うたびごとに何とか解決を図ってくれと言われる状態になっています。それは先ほど述べました中長期の計画ではなく、今早急に解決をしなければならない問題と考えていますが、区の認識はいかがでしょうか。またこの問題については以前から学校からもPTA会長をはじめとした役員の方からも色々とご指摘があったことかと存じます。また昨日PTAの新旧役員の方々や地元の町会長さんが相談会を持ち、町ぐるみで運動を開始する決定が成されたと聞いております。そうしたお声をぜひ真摯に受け止めて一刻も早く方向性を出し、未来を担う子供たちの教育環境を早急に整備してもらいたいと考えますがいかがでしょうか。そして朋有小学校以外でも同じ問題を抱えている学校はないのでしょうか。区の考えをお聞かせ下さい。
 児童数が減少の一途をたどっている学校を地元に持つ方々からはぜいたくな悩みだと言われそうですが、学ぶのは子どもたち一人一人です。教育というのは未来への投資です。豊島区の未来を見据え、現場の先生方も子どもたちものびのびと教え・教えられる環境の整備を関係各位と相談しながら進めていただくことを改めて要望させていただきます。
 次にJR大塚駅の駅ビルの問題について、お伺いします。昨年の10月に南北自由通路が完成し、記念式典を行い、同時に大塚商人まつりを挙行する中に、大塚内外から多くのお客さんに来ていただいて、未来の大塚の可能性を感じて歓喜したあの日から、すでに8カ月がたちました。地域においては昨年、おおつか音楽祭という新しいイベントが区の支援を受けてスタートし、今年は2回目が先日成功裏に行われ、定着と更なる発展を感じました。区長もご来場いただき、また女性職員によるコーラス隊の登場もあり、大変盛り上げていただいたことに地元議員を代表して、高野区長を始め担当部局の皆様のご支援に心から感謝申し上げるところでございます。
 そのように阿波踊りや、東京よさこいに続く、若手を中心とした、大塚の新しい動きが活発になってきている折、JR大塚駅の駅ビル建設計画の話が舞い込んで来ました。大塚駅の南口に駅ビルが建設されるという報告を受け、地元の商店街の方々を中心として説明会の開催要請に応えて、今までに二回の説明会が開催されました。その中で分かったことは、現在の自由通路の機能を確保するものの、約3000平方メートルの敷地規模であり、都電側とホテルベルクラシック東京の両端は若干低くなるものの、真ん中は12階建てとなり、全体的には壁となるようなイメージであること。そして、店舗やスポーツ施設、あるいはオフィス施設を入れるような計画であること。さらに、平成23年春ごろからスタートして平成24年冬頃に修了するような工事期間であるということでした。もちろん付置義務の駐輪場も計画に盛り込まれています。
 この計画を受け、早速豊島区においては、近隣の待機児童対策もあり、認可保育所を設置してほしい旨をJR東日本さんに伝え、内諾をいただいているというご報告がありました。地元として大変ありがたいことだと感謝しております。いろいろ課題はあるにせよ、駅のすぐ近くに保育所があるということは、働くお母さん方には送り迎えが非常に便利であり、待機児童が集中しているこの地域においては問題解決に向けて大きな前進であります。ぜひともセキュリティ等々も含めて現在のそして、将来のニーズに合った保育所になるようよろしくご配慮のほどお願いいたします。
 大塚駅周辺を考える会では、南北自由通路開通後の地下駐輪場の問題や駅前広場の問題、あるいは都電とJRの連絡通路の整備や、豊島区の公衆トイレの整備、そして西口の改札の設置についてもJR東日本さんに豊島区を介して要望して参りました。どの課題も中々一朝一夕には解決できない内容ではありますが、それら一つ一つにおいて何か進捗したものがあるでしょうか。状況の変化があったら教えていただきたいと思います。
 今回の駅ビルの建設に関しては、安易な反対論よりは、大塚を訪れる方が増えることによるメリットを説く意見が多いように思われます。しかし、今までのJR東日本さんの対応を見ていると、何か情報をあまり提供せず、小出しにしているという感が否めません。公共鉄道事業者として、あるいは元々が日本国有鉄道という国民の公共財を基本にして成立した企業であるということから、私鉄や不動産ディベロッパーのように自社の利益追求のみを目的とすることは自制すべきであり、法律的には問題ないにしても、常に社会に開かれた日本でも最も公共性の高い民間企業としての誇りと責任を自覚した事業の展開が図られるべきと私は考えます。
 今定例会に提出した請願は、JR東日本さんも地元と一緒に街づくりを行っていこうと提言しているものであります。環境に配慮した街づくり、みどりの多い街づくりを目指す大塚駅前広場と整合性のとれた駅ビル、自社の利益のみを追求するのではなく、地元の街づくりに貢献する駅ビルとなることを期待しております。豊島区においてもそのような意味でのご支援をよろしくお願いします。
 最後に都市計画道路補助81号線の整備と防災道路の促進による街づくりとコミュニティについてうかがいます。地域を歩いていてこれほど短期間で風景が変わる地域は豊島区でもあまり無いのではないかと思います。1か月のちに行ってみると、都電の沿線沿いや街の一角が次々と用地買収され、私の知人のお宅も次々と転居しています。東京都が最重要課題として認識している東池袋4・5丁目の密集地域において万が一の災害に備える観点から防災道路を作っていますが、そこにおいても一部道路は以前より広くなり、新築の家も建ち並んでいます。
 一方で、この地域においては今までのまちづくりの経過から、行政に対して不信感を抱いている方々も少なくありません。説明会を開いてもなかなか集まりが悪いといった状況が続き、まちづくり協議会の方々も地元の意見をくみ上げて行政に届けようと思っても出席者の少ない状況では多くの住民の意見をくみ取れない、お声を届けることもできない。そうしているうちに東京都はどんどん自分たちの方針で整備を進めてくるという状況で、なかなか街づくりは難しいと嘆いているのが現実です。
 インフラの整備の為に、もっと言えば全体の為にある意味犠牲になりながら、転居を余儀なくされた方々に対しては同情の念を禁じ得ませんが、それで街がさらに発展するのならその方々もある程度納得できることでしょう。
 しかし商店街を訪れると、かつての勢いはすっかり影を潜め、街は閑散とし、シャッターが立ち並ぶ有様です。そして老夫婦がかろうじて開いていたお店も次々と閉められ、商店街の灯がどんどん消えて、月日の経過とともに街が暗くなっている印象が受け取れます。
 もちろんいろんな要因があると思いますが、街の発展の為に転居を決断してくださった方々に対して、今の状況はあまりにも申し訳ない状況です。街を発展させようという思いで、道路を作るのでしょうが、結局そのことが商店街や地域を衰退させている原因となっている皮肉な結果となっています。これでは何のための街づくりなのでしょう。それともこれは生みの苦しみであって、何か将来的な展望が用意されているのでしょうか。区はどのようにお考えでしょうか。私は委員会でも時々申し上げております。街づくりを進めるのは必要だが、住民の方々が作るコミュニティはしっかり守ってほしいと。
 本来街づくりは、よりコミュニティが強化されるために行われるべきだと思います。そのような観点から、豊島区も色々と東京都にものを言い、対策をとってきていることは承知をしておりますが、商店街が活性化し、コミュニティが強化されるための効果的な方策をもっと深く議論し、更に追求しなければならないのではないでしょうか。区の見解をお聞かせ下さい。
 以上、3つのテーマについて述べて参りましたが、総じて未来や将来を見据えた戦略を持って、人づくり・街づくりを進めていただきたく質問をいたしました。そのためには役所の方々も今以上に、できる限り街の中に出て行って、区民の皆様のお気持ちを肌で感じ、それを政策に生かすことが大切です。豊島区の未来が更に輝けるものとなりますことを記念し、私の一般質問を終了します。ご清聴誠にありがとうございました。