平成22年度(2010年度)予算要望

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平成22年度(2010年度)予算要望
豊島区長 高野之夫 様          刷新の会 古坊 知生

 区民の方々からのご意見・ご要望を踏まえて、平成22年度の予算編成にあたり、下記の内容を要望します。ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。なお要望したいポイントについて先にまとめておきます。
I:行政の基本は教育であり、福祉である。教育は未来への投資である。先進国の中でも教育関係予算の割合が最も低いのが日本だと言われている。教育豊島の名に恥じない教育政策を行うためハードの部分ではなくソフトの部分で予算の拡充を希望する。福祉についてはやみくもに増額せよとは言わないが、福祉の現場で今どういう問題点があるのかを的確に把握し、必要な補助を行き届かせるようにしてほしい。自助が基本ではあるが、残念ながら共助と公助なくして立ち上がれない人が多い社会になっている。そのようなことも踏まえながら対応してもらいたい。
II:いわゆる「事業仕分け」により、民間の視点も取り入れながら、税金の無駄使いを再度徹底的になくすという努力をしてもらいたい。それほど今後数年間の税収の落ち込みは厳しいものが予想される。身の丈に合った財政を持続させることが急務と考える。
III: 政権が交代して子ども手当などが具体的に支給されるようになることが予想されるが、これは少子化対策の必要性を最優先課題と国が認識しているからにほかならない。単なる現金支給では効果が少ないと考えるが、豊島区なら子どもを預けて大丈夫という評価を区民から頂けるように子育ての環境整備と併せ、国や東京都の動きを見ながらも全庁あげて子育て施策を更に充実してほしい。
【議会・総務関係】
1:費用弁償費について、議員各位でどれくらい交通費が掛かっているのかを調査し、その結果を踏まえて減額や廃止について検討していただきたい。
2:政務調査費については議会が主体となって区民にも理解される使途基準を定めないといけないが、各会派の思惑も入り混じり、まとめるのが難しいことが予想されるので、第三者機関を作り区民の目線で正しいと思われる使途基準を定め、それに全会派が従うように誘導してほしい。
3:長きに渡って同じ部署に、あるいは同じポジションにい続けている職員がいないかどうかチェックすることを検討されたい。マンネリと共に腐敗の温床となる可能性がある。
4:様々な審議会や委員会の委員報酬の再考を希望する。特に選挙管理委員会においては労働に見合った適正な報酬額にすべく報酬委員会で真剣に検討されたい。
5:豊島区が本当に安心して暮らせる街づくりをするために、各種の環境浄化及び防犯団体への助成を継続してもらいたい。
6:インターネットによる議会中継であるが、更なる情報公開という観点から、常任あるいは特別委員会などの範囲まで拡大することを検討されたい。議員が常に準備と緊張感を持って委員会や会議に臨むことが必要と考える。
 7:地方分権・地域主権の時代に合った地方議会が求められている。せっかく議員としてもっている政策条例の提出権を使わない手はない。そのためにも法務関係に専門的な知識のある人材を区議会事務局に置くことの検討を開始してほしい。
8:新政権でも子ども手当が支給されるべく準備を進めている。少子化対策を国策として進めようとする新政権の取り組みは画期的であり、評価するところである。豊島区も出生率に鑑み、地方自治体として少子化対策に全庁あげて取り組んでほしい。プロジェクトチームを結成し、具体的かつ総合的なプランを作成してほしい。
9:池袋駅周辺混乱防止対策事業が大規模に行われて、成果が上がったと思える。他の大きな駅でも地域の特徴をとらえた同じような事業を行ってほしい。
10:石川県輪島市に視察に行った際、地域ごとにお年寄りや身障者などの要支援者の細かな情報入りのマップを作成していたのが、震災直後の救助に大きく役立ったということを聞いた。大都会である東京においてどれだけ作成できるかは疑問の残るところではあるが、やらないよりはできる限りやった方が良いと考える。要支援者として現在地域が把握している状況は人数的に非常に少ないのではないか。こういう意識を育てることで真のコミュニティが形成され、またいざという時役立つのではないかと考える。
11:防災の拠点となる小中学校内の救助袋が整備されていないという情報を聞いたことがある。実態を調べ、もし未整備ならばいざという時のために即刻全て整備してほしい。
12:地域の区民ひろばにおける活動が少しずつ定着し、地域に認知されてきているようである。それでもまだ地域においては温度差も見受けられる。成功している地域との情報交換や連携を密にして、成功体験をどんどん拡大させていってほしい。
13:選挙の開票作業の時間を短縮するために電子投票制度の導入について検討をされたい。機会を導入するのにコストはかかるが、人件費や時間などを大幅にカットできる。夜早く帰れるので、次の日の職員の仕事にも影響しない。
14:選挙の広報の方法や選挙方法についても一考あり。広報の面では今までのやり方にプラスして、例えば駅の改札口の機械等に選挙の投票に行くことを勧めるシールを添付するとか、他自治体においてもとられている方法をフルに活用し、更に投票率を上げることを考えてほしい。せっかく期日前投票をしているのだから、最終日においては投票時間を夕方6時までにするなどの措置を考えてみてはどうか。いずれにしても、これだけ科学が発展していて、開票にこんなに時間がかかるというこのシステムから脱却することを考える必要性があると思う。
15:議員選出の監査委員というのは筋論としておかしいのではないか。そもそも議員自身は監査役で行われるようなことをやるのが職務である。すなわち、区長部局が提出した決算を精査し、問題があれば指摘し、正すというのが議員本来の職務である。もともと行うべき職務をあえて議員を代表させて監査させる意味があるのだろうか。慣例だからと言って済む話ではないと思う。議会を中心として考える問題ではあるが、区長部局も今までの議会とのあり方を再考すべきである。
16:組織率が年々低くなっているとはいえ、町会連合会との関係性にはさらに重きを置いてもらいたい。そしてお互いの信頼関係を深めつつ相互にお互いの事情を尊重しながら協働を進めてもらいたい。
17:コミュニティバスについて、地域の高齢者のための施策であるという原点に立ちかえって、路線や車の大きさ、運賃などを総合的に計画され、早期に運行計画を提示されたい。
18:自殺対策については今豊島区がおかれている現状を情報公開し、近隣同士が互いに声を掛け合い、励まし合うという意識を啓蒙させる工夫をしてほしい。
【福祉・衛生関係】 
1:不況のあおりを受けて、今年も年越し派遣村的な問題が発生する可能性がある。この問題は今までの政府の失政による産物だと思うので、共助、公助という観点から路上生活者や路頭に迷っている方に対するできる限りの支援を続けていただきたい。
2:生きがいをもって文化活動・社会活動を営むために高齢者クラブの活動に対する区のサポートの継続を検討されたい。
3:障害者自立支援法の廃止や子ども手当の創設が新政権になって叫ばれている。新しい方針が出されてからでないと区としても動けないところはあるかと思うが、情報を迅速に収集し、今までの方針が180度変わることにもなりかねないので、できる限り早く新体制に移行できるように検討を開始されたい。
4:街の銭湯が年々少なくなっている。豊島区においてもいろいろと検討はしていると理解しているが、公共の福祉に役立つ場所であるという観点から、また公共の衛生の問題からもあらゆる手を尽くしてこれ以上銭湯が減ることのないよう支援を引き続きお願いしたい。 
5:認知症の方が非常に増加していて社会問題化しつつある。先般介護の日に行われた橋幸夫さんを講師とする講演会は会場を埋めた人数といい、講演の中身といい、非常に良かった。今後も頻繁に認知症やがん検診等の周知や啓蒙を図る講演会や企画を継続してほしい。          
6:身体障害者の方々に対する支援を区も積極的に行っていると理解している。タクシー券等、生活に必要欠くべからざるものに関しては、減額することなく例年どおりの援助をお願いしたい。
7:幼稚園や保育園の改築や新築が急がれている。財源のない中ではあるが、未来を背負う子ども達であるので、優先的に整備してほしい。                                
8:少子化の時代にせっかく子どもを産んでも預けるところがないという待機児童の問題について、現場は大変だと思うが更に解決に向けて努力をしてほしい。豊島区の事態は深刻だ。
9: 芸能人や有名人の薬物使用もあり、最近は大学など学校の中でも薬物使用の事実が連日のように浮かび上がっている。豊島区においてもその影響を調査し、対策の周知・啓蒙をさらに充実されたい。
10:飼い犬・飼い猫の不妊・去勢手術に対する助成制度等、動物愛護に立脚した制度は人と動物の共生という観点からも重要である。引き続きの支援をお願いしたい。
11:新型インフルエンザ対策として、区がワクチン接種に対する補助を出してくれることを決定したことに感謝を申し上げる。今後も命にかかわることには可能な限りの援助をお願いしたい。
12:豊島区には「安全安心メール」というものがすでにあるが、同様な方法で子育て支援の一環として、登録している保護者に対して、子育てに関するいろいろな情報が発信できる「子育て支援メール」を発信できないか検討してほしい。どこにどんな公園があるとか、小児科はどこであるとか、子どもの健康や遊び場、あるいは幼稚園や保育所などの情報をできるだけリアルタイムで保護者に伝えられると便利であるし、豊島区が子育て支援に力を入れていることのアピールになる。
【文化商工・清掃環境関係】
1:豊島区は商業の街であり、商店街振興が区の発展と密接につながっている。商店街連合会と連携を密にし、さらに必要な施策を講じてほしい。
2:南大塚ホールや南大塚地域文化創造館のバリアフリー化が景気の悪化に伴う財源不足によって据え置きになっている。早期の実現を希望する。
3:スポーツの振興は、健康政策にも多大な影響をあたえるものである。豊島区総合体育場の全面芝生化、豊島区総合体育館のリニューアルなど具体的に予算化していただいた区の姿勢に感謝する。合わせて、今後は様々なスポーツ団体が区内でスポーツが楽しめるようにバランスある整備や調整をお願いしたい。
4:清掃・環境審議会において、将来のゴミ有料化が答申された。賛否両論あると思うが、それぞれの立場から議論する区民にオープンなセミナーなどを検討されたい。
5:温暖化対策、2020年CO2排出量1990年比25%削減という新政権の世界公約を実現するために、太陽光発電に関する制度の更なる充実と周知徹底を引き続き図られたい。また、それにともなう近隣との間に発生すると想定される環境権における条例的な整備にも着手されたい。
6:不法投棄やカラスによるごみの散らばりが絶えない。近隣の方で心ある方がいつも清掃してくれているが、そのご苦労は大変なものがある。効果的な対策をさらに周知徹底あるいは実行してほしい。
7:「グリーンとしま」を再生するキックオフイベントを行うことにより子供たちや区民への環境教育が行われ、一定の効果を得た。しかし今後のことを考えると、ただ植えっぱなしにすることなく、植樹した木のその後の成長を時々ケアーさせることにより更なる環境教育を施してほしい。そして今後の植樹の長期的な計画を練ってもらいたい。
8:南大塚都電沿線協議会が主体となり、都電沿線にバラを植え育て、沿線の美化を図っているが、向原駅から大塚駅に至るまでの区間が全て整備されることによって一層観光資源として存在感が増す。大塚だけでなく、豊島区や東京の名物として育てていけるよう支援をお願いしたい。

【都市整備・土木関係】
1:南北自由通路完成後の駐輪場問題や駅前広場整備の検討が進行している大塚駅の諸問題解決に向け引き続きの支援をお願いしたい。特に駅ビルの建設も今後具体化されそうであるので、商店会と共存できるような調整をお願いしたい。
2:都電沿線の景観の向上と環境負荷の軽減のため、東京都に軌道内緑化の促進を要請されたい。
3:造幣局や総合体育場周辺の地域をどのように整備するかで、東池袋地域のみならず大塚地域にも南池袋や雑司ヶ谷地域にも影響を及ぼすことが予想される。そういう視点からの整備をお願いしたい。私としては人々の憩いとなる場所をイメージしてほしい。
4:都市計画道路補助81号線についての環境配慮の部分を再考してほしい。緑を増やすことのみならず、温暖化防止につながる更なる工夫を地域住民と考えてもらうよう、東京都に提言してほしい。
5:新婚世帯や子育て世代を支援する意味での住宅という事業をさらに拡大されたい。
6:新大塚駅の放置自転車対策が動き始めた。文京区との連携を更に深め、最終的な駐輪場整備のための実のある行動を引き続き計画してほしい。
7:公共施設は公共の財産である。しかしいつかは必ず改築や新築などが必要なものである。民間のようにメンテナンスという概念を取り入れて少しずつでも基金という形で積み上げておかなければならないと考える。施設の整備や新築・改築のため、いざという時に使える基金の積み上げを検討されたい。
8:公園の面積が23区内で最も狭い豊島区にあって、公園の整備が急がれている。豊島区の他の施策によりトータルとして公園の面積が減るということがないようにしていただきたい。
【教育関係】
1:教育改革に伴い「ゆとり教育」の見直しが明記され、カリキュラムや学習指導要領の変更がされている。区の独自のカリキュラム構築を望む。小中学校の時が最も知識を吸収しやすい時期であるので、大いに学力をつけるような方向性にしていただきたい。
2:小中学校の教科書の採択に関しては十分な時間をとり、慎重かつ有意義な議論ができるよう配慮してもらいたい。特に日本の文化・伝統を尊重させ、公益心や愛国心を育てるという観点から採択していただきたい。
3:教職員のレベルアップを図るため、ベテラン教師の経験とノウハウを生かす制度の導入を図ることを検討されたい。具体的には60歳を過ぎて定年退職になった教職員の中で、教育に情熱のある人を優先的に若手の教職員の指導員となる制度。その際、「教育豊島」の目指す方向性をはっきりと打ち出し、豊島区独自の教育基本条例等の制定も検討されたい。
4:いわゆるモンスターペアレンツ対策は現場の教職員の大きな負担となっており、本来の仕事に集中しづらい環境にある。いろいろな問題に関して、教職員の精神的な負担を少しでも軽減するために、カウンセラーやあるいは本格的にトラブルに対応できる体制作りの強化を更に検討されたい。
5:今後益々増加すると思われる外国人児童や竹の子学級の児童に対して、現場の先生方の対応が確実になされるように配慮をお願いしたい。
6:公立学校と私立学校の学力の格差が問題となっている。家庭の経済的な理由により子供の学力が決定してしまうなら、「教育の機会均等」はもはや機能しないという状況になってしまう。文部科学省がある程度リーダーシップを発揮して対策を打ち立てるべきと考えるが、豊島区として公立学校の更なる学力向上に向けて、現状の成績で満足することなく取り組みを継続されたい。教育の中心は公立学校であるべきである。
7:学校のグランドの芝生化をさらに推進されたい。学校のグランドは都会の中の数少ない子供の思いっきり遊べる場である。自然との触れ合いが子供の感性を高めるためにたいへん寄与することになると確信する。環境教育や緑化政策の一貫としてさらに進めてほしい。
8:国際性豊かな人間を育成するために英語の授業を行うということは一見、聞こえはいいが日本人として日本語もまともにできないようでは真の国際人になりえない。母国語教育をしっかりすることが先ではないかと考える。日本語の美しさ、敬語などに見られるような対人関係を重視する文化を教えていくことが人格形成に大きく寄与すると思う。英語教育もさることながら、国語教育の充実を更に検討されたい。具体的にはまず、子どもたちの読書に対する関心を高め、具体的に読書をするように開発された「国語力向上キット」をどんどん使われるように意識の啓蒙を継続してほしい。
9:道徳教育の充実をさらに進めていただきたい。人間として基本的なことも勿論大切であるが、特に「戦争と平和」というテーマについて先の大戦の悲惨な出来事を体験してこられた方からの生のお話を聞く場なども学校教育の場に設定してもらいたい。日本国憲法の平和主義の精神は守っていくことが必要である。高いレベルの道徳教育になるよう引き続きの努力を希望する。
10:男女平等教育が何を目指しているのかもう一度原点に立ち返ってほしい。本来の男らしさや女らしさを教える教育であるべきだ。異性を意識するようになっている、いわゆる思春期という微妙な時期に相応しい教育を願う。男女混合名簿や教室内の席順、運動会の行き過ぎた男女混合競技など再考すべし。
12:インターネットや携帯など現代文化が小中高生の教育環境を蝕んでいる。保護者に対して、現代に起こっている子供を取り巻く環境問題を認識してもらい、子どもの携帯所持の可否の検討や万一持たせるにしても、フィリタリング機能の徹底による効果を啓発するセミナーを更に積極的に行ってほしい。
13:豊島区内のまだ隠れている文化財的価値のあるものを区民の意見を聞きながら、その歴史性や地域性を加味して再評価あるいは再発掘することをお願いしたい。地域にはまだまだ眠っている文化財があると思う。新しい街づくりにつながる可能性が大いにあるはずである。