●2008年7月02日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)
「人と環境にやさしいまち、安心・安全な美しいまち、豊島区を目指して」
刷新の会 古坊知生
刷新の会 古坊知生でございます。今回は「人と環境にやさしいまち、安心・安全な美しいまち、豊島区を目指して」と題しまして、質問を行います。高野区長をはじめ理事者の皆様には前向きな答弁をご期待申し上げます。
さて、温暖化による世界的な異常気象、あるいはモルディブやツバルなど太平洋上の島自体が海面の上昇によって消滅してしまうという現象は、地球に住む私達が一刻も早く目覚めて行動を起こすべきだと訴えかけているかのようです。その意味でも、先般環境モデル都市として国のお墨付きを受けるべく豊島区が果敢に手を挙げられたこと、そしてその内容についてはいろいろな考え方があると思いますが、豊島区が環境という問題に真正面からぶつかっていこうとする意味において、その姿勢には大変評価するものであります。これからの時代は正しく、環境ということを除いては全ての政策が成り立たなくなると思います。環境と都市整備というある意味で、今までは矛盾する内容を共存させていくわけですから、さまざまな工夫を凝らし、また叡智を結集させなければなりません。先ごろ、豊島区環境基本条例が制定され、その上で環境審議会が設置され、第一回目の会合も持たれたと報告を聞いております。メンバーの構成員である学識経験者や事業者・関連団体、区職員、そして公募等で選ばれた区民の方々にはそれぞれのお立場で存分にご発言を頂いて「豊島区環境基本計画」の策定に向けてご尽力を賜りたいと思います。しかし一方でわれわれ議員も区民の代表でありますので、環境審議会の議論を十分に参考にしながらも、あらゆる機会を捉えて区民の目線で意見を述べていくことを改めて表明しておきます。
そこで質問します。「豊島区環境基本計画」と言いましても全国の地方自治体には同じような名前の基本計画が数多くありますが、豊島区ならではの、あるいは豊島区独自の基本計画としてどういう点を目指すのかということについてお聞かせ下さい。そして私なりの結論を言うと環境という問題はやはり一人一人の意識啓発にかかってくる問題だと思います。そういう意味ではどんなに区が立派な方を招いて立派な基本計画を策定しても誰も行動を起こさないのでは何の意味もありません。ですから、多くの区民を巻き込む形で議論を深めてほしいのです。パブリックコメント制度の活用や広報の更なる充実などにより、区民の意識を根こそぎ変えるというくらいの使命感をもってほしいと思います。先日の豊島区の広報に環境について、家庭でどのようなことをすればどれくらいCO2が削減されるかという内容が分かりやすく掲載されていました。今後も引き続きの、かつ大胆な啓蒙活動をお願いします。次世代を引っ張っていく子供たちにも環境教育は重要です。子ども達の方が素直に問題意識をもってくれますし、未来において行動してくれるならば、豊島区の環境政策も中長期的な目標の到達に限りなく近づくのではないでしょうか。豊島区内の小中学校ではどのような環境教育をしているのでしょう。あるいは今後どのようにさらに意識づけを図ろうとされているのかもお聞かせ下さい。
今回環境モデル都市の認定を受けるべく区が示した案の中に東京初のLRT構想がより具体化されていました。LRT構想については私は今までの案である池袋駅東口の路線のみならず、西口や南池袋周辺についても言及されていることに注目しております。今までのようなグリーン大通りのみの路線であるならば一地区の問題となりますので区民のコンセンサスを得ることが難しいのではないかと思っておりましたが、新しく違う地域にも焦点を当てたということはその広がりの可能性を感じるからです。そこで私の地元の大塚の特に若手の意見ではありますが、LRTがこれからの時代にふさわしいものであり、そして豊島区が目指す、「人と環境にやさしいまち」という趣旨に合う公共交通機関ということ。そして先般一部バリアフリー化が始まり、これから東池袋駅周辺の再開発と合わせて大塚駅からの導線をどのようにするかという事を考えると、大塚駅にこそ荒川線との連携の中にLRTを結びそして庚申塚方向へと走らせるという構想を描いてもらいたいと思います。多くの出口を抱える池袋駅よりは大塚駅のほうがはるかにバリアフリーということでは連結がしやすいですし、将来的に新区庁舎を旧日出小跡地に建設すると仮定するならば、大塚駅のほうが乗降客にとってはるかに利便性がよい事を考えて見てください。もちろん莫大な予算が必要なことはわかっております。しかし一方で多くの予算を戦略的に投入することによって豊島区にあるいは地域に多くのお客さんが訪れることで町にも還元されるものであることが分かれば思い切って予算を投資するという選択肢もあるわけですので、池袋駅周辺だけを見ることなく、いろいろな観点から人と環境にやさしいまちづくりを考えてもらいたいと思いますがご検討を期待いたします。
環境という分野は多岐にわたりますので、いろいろと質問いたします。屋上緑化助成事業でございますが、都市部のヒートアイランド現象の緩和にも役立ち、緑被率の向上にもつながるという意味で大変有効な手段だと思いますが、現在の制度の活用状況はどうでしょうか。そしてどの辺に課題があると考え、今後どのような対策を講じるお考えなのかお聞かせ下さい。私個人の意見としてはもっとこの制度の有効性をアピールすべきだと思いますし、思い切って利用者を増加させるために補助率のアップも考えるべきです。せっかくの素晴らしい制度が宝の持ち腐れにならないようにしてもらいたいと思います。以前友人のオフィスを訪れて、池袋のとある高層ビルディングの一室から、外の景色を見た時がありますが、目に入ってくる色彩はコンクリートの灰色のみで、緑色はほとんど認識されませんでした。目の前に広がるビルの屋上やあるいは区の公共施設の屋上、そして小中学校の運動場などが緑化されれば、どれほど緑被率が向上し、温暖化防止に貢献するだろうかと考えさせられました。区庁舎の屋上庭園がいつもこまめに手入れをされていて、公園緑地課の方々の意気込みを非常に感じます。ぜひ更なる頑張りを期待いたします。
そしてCO2の削減といえばやはり有効的なのが、太陽エネルギーをいかに利用するかということでしょう。産業界ではすでにカーボンマイナスの努力がなされていて、豊島区内でも1990年度から15年間で6割近くの削減が達成されておりますが、家庭におけるCO2の排出は逆に17%も増加しているという状況です。豊島区では太陽エネルギー利用機器導入支援事業がありますが、平成23年度までに200件の実績を目標としています。近頃はソーラーシティという街もできるくらいその導入が現実化されてきております。わが豊島区においても、商店街の例ではありますが、先ごろ巣鴨駅前商店街において太陽光発電のソーラーアーケードが完成し、区内外から脚光を浴びています。そういう良き例を踏まえた上での今後の豊島区のこの支援事業の拡大のための具体的な方策をお聞かせ下さい。区立南池袋小学校には太陽光発電の設備があり、子供たちにも良い環境教育となっておりますが、小・中学校の改築、改修の計画がすすめられる中、他の学校にもそのような設備が整備されることも希望しておきます。またできれば先般豊島区ではサンシャインにおいて「ものづくりメッセ」という画期的な事業を行いましたが、「環境、あるいはエコメッセ」ともいうべき事業、すなわち様々な企業や団体において如何にCO2を削減しているかということを展示しながら、見る者の視覚に訴えまた意識を啓蒙するようなイベントを企画するなど大胆な発想をもって環境意識啓蒙にあたっていただきますことも合わせて提案させていただきます。
人と環境にやさしい街という意味では、バリアフリー化ということも重要な視点です。6月の1日からJR大塚駅ではエスカレーターとエレベーターが使えるようになり、多くの方々の喜びの声を私もじかに聞いておりまして、バリアフリー化によってこんなにも大きな反響があるのかと、今更ながら驚いているところです。そういうことから考えてみますと、不特定多数の方々が集まる公共の施設で、バリアフリー化がなされたならばどんなに喜ぶ方が多いことでしょうか。区の公共施設の中で、現在改築や改修の工事が計画されているものもあると聞いております。この機会を捕らえて是非ともバリアフリー化の積極的な導入をお願いしたいのです。高齢化社会を迎え、元気なお年寄りの方々が公共施設において趣味や生きがいを求めて活発に活動をされることは大変歓迎すべきことです。しかしその公共施設において階段を上るのが大変だから行くことができないと言うお声をよく聞きます。一例を挙げますと、南大塚ホールと南大塚地域創造館ですが、両方とも入口に到達するために沢山の階段を上らなければなりません。代替の設備があるにはあるのですが、係員の方を呼んで使用するというシステムになっており、遠慮してなかなか使えないというのが現状です。便利になったこの時代に、利用者の方々にご不便をおかけしているのは非常に心が痛みます。南大塚ホールが来年の7月から改築工事に入るということですので、この機会にぜひとも両施設へのアクセスがしやすいエレベーターの設置等を検討してもらいたいのですが、いかがでしょうか。メンテナンス等財政的な負担は承知の上ですが、人や環境にやさしい街を目指す豊島区として是非ご検討をお願いします。
旧中央図書館についてですが、土地としては売却という方針ですが、区が管理する区民集会室を残していただけるという区長の英断に地元の方々も大変喜んでいます。これからも区民の目線で行政をリードしていただきますようお願いいたします。
緑多き豊島区を目指して、都電沿線緑化事業も活発化してきています。豊島にぎわい創出機構のてこ入れもあり、まず向原駅から大塚駅までの間の緑化事業が計画化され、地域の注目を集めています。地元の方々も本当に奉仕の精神で毎日のようにお花や草木の手入れをしてくださり、都電沿線の美化と緑化に大きく貢献していただいています。地域では近く協議会を設立し、継続して街の美化と緑化を進める運動を展開するとしていますが、このように地域の美化と緑化を進める団体の活動が継続的に行いやすくすることも行政の一つの責任であり、これから環境を重要政策に位置づける豊島区においても求められる視点だと思います。街の緑化や美化に貢献している団体への補助も特に充実させて欲しいと思います。大塚駅南口でのこのような都電沿線の緑化事業は模範となりうるものであり、同じように東池袋四丁目駅に至る区域や庚申塚へ延びる都電沿線などにも参考になることと思います。こういう運動が広がりを見ることができるように区の手厚いバックアップ体制が組まれることを要望いたします。
次に安心・安全な街豊島区という観点から述べさせていただきます。先日中国の四川省や岩手・宮城県で起こった大地震は自然の猛威の中には人間などほんとにちっぽけな存在であるということをまざまざと見せつけられました。この場をお借りして不幸にしてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、被害にあわれた方々や関係者の方々に衷心よりお見舞い申し上げます。この大地震の報道の中で議論されたように、公共施設の耐震化ということは喫緊の課題です。財政的な余裕があるとかないとかが問題ではなく、やはり自治体の首長の耐震に対する意識が如実に反映されているということが、先日の報道の全国の耐震化の現況報告からも明らかとなりました。幸いわが豊島区は先見の明があり、小中学校にしても竹岡健康学園を除き全ての校舎において耐震化を終えているということを誇らしくまた、子どもを持つ一保護者としても感謝したいと思います。他の施設においても今年度豊島体育館を全面的に改築し、耐震化を図るということで、着々とすすめておられますが、全公共施設において漏れのないようにお願いいたします。
またいざという時、災害時要援護者の救助という問題があります。以前長崎四丁目町会の要援護者に対する活動の取り組みがNHKに取り上げられたのを拝見しました。各町会に要援護者のリストを作成し、いざという時に誰が救助するかということを想定し、マニュアルを作成することに異議は唱えません。しかし問題は町会の方々はそういうボランティアのお気持ちがあったとしても、年齢的に高齢の方々が多いということであります。災害時に自分がどうなるかも予測できませんし、比較的若年層をターゲットにして、志願する方を募ってプールしておくことが大切だと思います。また実際のケースを想定して訓練をして体で覚えさせることも必要かと思いますが、区としてその取り組みについてはどれくらい進んでいるのでしょうか。また先ごろから万が一の時に池袋駅に滞留者が16万5千人になることを想定して、協議会を結成し防災会議を行い、いざというときのマニュアルを作っておくという作業がスタートしたようですが、池袋駅のみならず区内の他の駅周辺についてもいざという時に駅周辺の地元の町会や商店街あるいは警察・消防等関係団体がどのように安心・安全を確保するかという点で意識を共有すべきかと考えますが、池袋駅以外でもそのような協議会の結成の考えはあおりでしょうか。防災の意識啓発につながるだけではなく、街の団結、地域のコミュニティ増進にもつながると思いますので、池袋駅でモデルを作り上げてからでも結構ですから是非ご検討をお願いしたいと思います。
それから、安心・安全と言えば先般道路法の改正により、自転車は道路上を走るということがこれまで以上に明確化されました。もちろん危険を感じた時は歩道の道路側を走れるようではありますが、この改正によって車と自転車との交通事故が増加するのではないかと危惧します。最終的には自転車利用者のマナー及び注意を促すことしかないのかもしれませんが、行政としては事故を防ぐために一定の努力が必要と思います。先日劇場通りを自転車で通行しておりましたら、自転車利用空間ネットワークの整備事業として、歩道上に歩行者と自転車利用者の境界線を示す標識を目にしました。標識だけでなく、歩道は色を二色使って、歩行者と自転車利用者がそれぞれ別れて通行できるように明確に分けてありました。劇場通りのように歩道の幅が広いところでは有効的な手段だと思われ感心したのですが、幅の狭い歩道ではそのようなこともできません。自転車利用者や歩行者が快適に通行できる道路あるいは歩道を目指すということは、これからの時代、環境を重視するうえで重要な観点だと思います。ガソリン代がこれだけ高騰し、またCO2排出の制限が叫ばれている中にこれからの都市は自動車をできるだけ排除した街づくり、すなわち歩行者や自転車利用者を重視した視点を盛り込み、自転車利用空間ネットワークの整備を進めて欲しいと思います。
そしてその延長線上でやはり、自転車駐輪場の整備問題も合わせて進行させなければなりません。東京のワースト2になっている、大塚駅の南北両方の駐輪場の問題において、地元のコンセンサスを得るよう私自身も努力をいたしますが、豊島区におかれましても、いろいろある地域の考え方をまとめるべく、是非リーダーシップを発揮していただき、議論を深め結論を得るよう更に努力をしていただくことを要望いたします。
それからまた大塚駅や池袋駅も大きな問題ですが、丸の内線の新大塚駅においても自転車があちこちに置きっぱなしでひどい状況です。新大塚駅はお隣の文京区との区境にあり、いろいろと課題は多いと思いますが、区を超えて連携をとりながら、解決への道を探ってほしいと思います。あまり自転車が度を超えて放置されますと、歩道が狭くなり、通行者に影響がでないとも限りません。区民の安心・安全のために是非とも他区との連携をとって解決にあたっていただきたいのですが、区の見解をお聞かせ下さい。
いろいろな地域で自主的に防犯パトロールが行われていることを聞くと、地域の皆様の街に対する熱き思いを感じて、感銘を受けると同時に、日本もこんなに治安が悪くなってしまったのかと嘆くばかりです。最近では時々青色のパトロールカーを見るようになりました。治安対策に力を入れて下さっていることが一目瞭然で、分かりやすいのですが、それでも豊島区からの安全安心情報のメール配信を登録している私の携帯には、事件の情報が頻繁に入ってくるという状況です。倫理観、道徳観あるは教育という問題もさることながら、地域の目というものが防犯を抑止していた昔とは違って、問題は多様化あるいは複雑化しています。先般の秋葉原で起こった事件は現代が抱える問題を象徴的に現しているようにも見えました。もう一度勇気を持って地域にますます頑張ってもらうしかないですし、行政においても、そういう地域に対して強力にサポートして欲しいと思います。また銃刀法という法律があるのかもしれませんが、誰がどう見たって危険なもの、街中で販売する必要性があるのかと疑ってしまうものを販売しているという状況自体も考える必要性がありますし、ある程度危険性を排除するようなことにも積極的に介入して行くべきだと思います。
いろいろと述べましたが、過日週刊ダイヤモンドという雑誌で豊島区が安心・安全の分野において全国の地方自治体の中で2位だと発表された時は、皆本当だろうかと正直思いました。しかしいろいろと考えて見ると、高密度でありながらも、下町的な要素を兼ね備えているわが区はそのポテンシャルを充分秘めていると思います。豊島区が人と環境にやさしく、住み良い街となり、また安心・安全で美しい街として、区民の誰もが本当に実感できるような環境立区を目指して、頑張っていただくことを切に希望いたしまして、私の一般質問を終了します。ご静聴まことにありがとうございました。