平成28年度 豊島区予算案 意見開陳

H28年3月14日

刷新の会 古坊知生

豊島刷新の会、ふるぼう知生でございます。私は、本予算特別委員会に付託されました5つの議案、すなわち平成28年度豊島区一般会計予算及び3特別会計予算、そして平成28年度豊島区一般会計補正予算(第1号)について、総合的に勘案して可決することに賛成の立場から意見開陳をさせていただきます。

 過日、豊島刷新の会では来年度の予算に対しまして3つの観点から要望をさせていただきました。その第1は、区の財政状況にふさわしい公共施設のあり方への整備と万が一の時への対応のために財政調整基金の上積みをすること。第2は、徹底したコスト減を図ると同時に、将来性のある事業には支援を増額するなど、時代が求める事業への選択と集中を図ること。そして第3に、教育と福祉を区政の基本とし、特に少子化対策や子育て支援を充実させることでありました。

 今回の予算特別委員会では、極力そのテーマに沿って質問をし、また、ほかの委員の方々の質疑応答も参考にさせていただきながら、予算の中身について理解を深めたところであります。

 質疑に当たっては時間の関係もあり、まとまりのない質問になったかとは思いますが、そんな中でも丁寧かつわかりやすく、そして熱い思いを持って答弁をしていただきました高野区長を初め、理事者の皆様に心から感謝を申し上げます。さらに時間が余りない中、私の質問に対して迅速かつ的確な資料を届けてくれました理事者の皆様に深く感謝の意と敬意を表するものでございます。まことにありがとうございました。

 それでは、各予算について要望も含め、意見を述べさせていただきます。

 まず、一般会計でありますが、総論的に言うと、豊島区政史上最大規模の1,218億800万円余という予算計上にあって、財政調整基金の取り崩しを行わずに予算編成をすることができたことは率直に評価をしたいと思います。しかしながら、学校改築や造幣局地区防災公園街区整備事業などの財源として起債を114億円発行するため、平成28年度末には起債残高が基金残高の合計を40億円上回る見込みのようであり、起債と基金のバランスが憂慮されるところであります。今後ますます学校改築や公共施設の再構築のために起債の発行が余儀なくされることと思いますが、起債と基金を計画的かつ有効的に活用することが求められます。くれぐれも身の丈に合った財政を目指し、経済は水ものでありますので、万が一のときのために各種基金のさらなる積み増しも意識に入れて今後も予算編成に当たっていただきたいと思います。

 そして徹底的なコスト減という意味では、各種事業の総点検の実施や人件費の抑制等も議論されました。時代の変化とともに区民のニーズも変化することから、毎年新規拡充事業が予算計上されるのですが、来年度も210事業、約65億8,000万円規模の事業が示されました。昨年よりも総額においては減少しておりますし、区民の新しいニーズにこたえようとする区の意気込みは理解しますが、一方においてその裏ではスクラップされている事業があるわけですから、それを一括でまとめ、そこからどれだけの財源が捻出されているかということにも着目した資料があれば、より総合的に予算書を理解する上で役立つのではないかと感じたところです。

 そしてコストカットと同時に、現在区民が求めている事業や将来性のある事業についてはしっかりと予算をつけていかなければなりません。来年度予算の3つの特徴の中の一つである持続発展都市を目指して積極的に施策を展開する予算として、特に女性に優しいまちづくりという政策目標を実現するためにさまざまな工夫を凝らしていることが見受けられましたことは大変好意的に受けとめさせていただきました。

 妊娠届け出から始まる寄り添い型継続支援の数々は、昨今コミュニティが変化することによって失われた地域の力を補充するものとなり得るものでありますし、認可保育所の新設10園、定員において650名から750名増を目標とした認可保育所誘致整備事業は平成29年度に待機児童ゼロを目指すという本区の力強い決意を感じるものであります。さらに新豊島区民センターにおいて女性用のトイレを来街者用に充実させるという案も議論されましたが、これについても本区を訪れるお客様をおもてなしをするという意味合いとともに、豊島区が女性に優しいまちづくりをしているという具体的かつ目に見えるアピールになると私は考えます。新設の女性に優しいまちづくり担当課長も民間の方が内定を受けたと聞きました。新課長には思い切って民間出身ならではの新しい風を役所に吹き込んでいただきたいですし、また、理事者の皆様も新課長を支えていただいて、女性の視点に立脚した新しくかつ豊島区ならではの施策が出てくることを大変期待しているところであります。

 第3の視点、教育と福祉施策の充実についてですが、3年間で全小・中学校の和式トイレを洋式トイレすることを決断されたことはまさに英断であると思います。豊島区は東日本大震災以降、全国でもいち早く全学校施設の耐震補強に取り組んでいただきました。今回の判断も子どもたちのみならず、全教職員にも大きなプラス効果を与えるものと感じます。今後も現場の実情に寄り添った教育行政をお願いいたします。

 福祉費については、昨年度より目的別経費の構成比は少し減少してはいるものの、予算額においては30億円のプラス、新規拡充事業も35事業が予算計上され、無駄をカットしながらも支援が必要な方々に幅広く届く予算との印象を受けました。

 保育園の保育料について、多子世帯の負担の軽減を図ることに予算を計上してくれていることは一歩前進かとは思いますが、一方で、まだまだ目に見える形で少子化対策がとられているとはいえない状況だと私は思います。引き続き、少子化対策にどのような事業が有効的であるか、国の動向も踏まえながら検討してもらえたらと思います。

 以下、款別に要望も含めて意見を述べさせていただきます。

 まず議会費及び総務費ですが、新庁舎となり、インターネットによる議会中継の画像が良質なものになったことにより、アクセス数が4倍に増加したことは何よりでありますが、まだまだ中継されていない委員会等の会議体が多々あり、完全に開かれた議会とはいえない状況であると私は思います。よって、徹底的な情報公開を求める区民の声に対応すべく、議員協議会や正副幹事長会においても議会中継をしていくということも区民の目線に立って区議会事務局が率先して提案していくことを要望いたします。

 性犯罪被害者について、豊島区においては23区で初めて性暴力被害者支援機関情報提供アプリケーションHelp!ナビを作成し公開しておりますが、東京都が行っている性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業として開設しておりますワンストップセンター、性暴力救援ダイヤルNaNaの掲載がHelp!ナビにはなく、いつ何どき発生するかわからない性犯罪・性暴力の被害の相談のためにせっかく24時間365日受け付けている民間支援団体の情報が掲載されていないことは、Help!ナビの有効性が疑問視されることにつながっています。早急な改善を求めるとともに、昨年、性犯罪被害者週間行事として講演会などのイベントを開催して意識の啓蒙を図っていますが、来年度以降も引き続きそのような趣旨で事業を継続されることを希望いたします。

 さらに性犯罪・性暴力問題は一つの人権問題であり、人権問題にかかわる案件を男女平等推進センターが所管するということに私は少々違和感を覚えます。東京都にも総務局人権部というセクションがあり、墨田区や千代田区においても人権という文言を入れた担当課があることから、今後担当部署の名称について区民に相談窓口がどこになるかということがわかりやすい名称を検討してもらいたいと思います。さらにできれば組織として一考すべきことは、男女平等推進センターの仕事は、男女共同参画社会の構築を目指して、特に女性の社会参画を目標としている事業と理解しておりますが、区民の人権を扱う事業については一緒にするのではなく、分けて考えることが筋論であると私は考えます。組織としてどうあるべきか、今後の検討課題としてほしいと思います。

 本区は、セーフコミュニティ認証都市として、安全・安心なまちづくりを目標にさまざまな施策を展開していますが、新庁舎開設に合わせて構築した総合防災システムは、どの地方自治体よりも先進的なシステムであると理解しております。しかしながら、その最高の防災機能を備えた新庁舎であっても、災害対策本部と現地との連絡がうまくとれないなどの問題点が総合防災訓練で明るみになりました。いざというときにそのシステムが最大限に活用されるよう、新設の危機管理監を中心としてしっかり整備をしていただき、区民の安全・安心のために万全の体制を築いていただくよう要望いたします。また、防災無線からの区の情報がどれだけ区民の皆様に届いているかを把握しておき、区の情報が一方通行とならないようにお願い申し上げます。

 次に、福祉費、衛生費ですが、高齢化社会に伴い、医療費が年々増加する中で、必要のない医療費は削減すべきとの考えから生活保護費の4割以上を占める医療扶助費についても無駄をカットする指針が国によっても示されております。生活保護受給者の過剰受診や医療費の不正請求を防ぐために、各自治体の福祉事務所のケースワーカーが地域の看護師や薬剤師らとともに受給者を訪れる仕組みを来年度から導入し、指導体制を強化する方針となっておりますが、適正な医療、適正な医療費とするためにも早期に体制をつくり実行していくことを要望いたします。

 環境清掃費、都市整備費、土木費でありますが、喫煙について、公共施設においては完全に禁煙となり、結果として公共施設のそばや公園などに、たばこの吸い殻が多く散見されるようになっております。そして近隣の環境の悪化につながっているというのが現実です。昨今の状況は、たばこを吸う人を一切受け入れないというような一種の排除の論理を感じる状況ではないでしょうか。お互いが共存するには分煙を強化していくしかありません。それが結果としてたばこの吸い殻がまちに落ちているという状況をなくすことにつながります。豊島区としては排除の論理から来る政策ではなく、お互いの人権においてバランスのとれた政策の遂行をお願いいたします。

 造幣局跡地の防災公園については、再度地域におけるワークショップを開催して近隣の住民のコンセンサスが得られるめどが立った今、今後この公園に対するエリアマネジメントをどうするかという問題が浮かび上がっております。地元地域の方々でぜひとも公園の管理運営に寄与したいと言っている方々もいらっしゃいますので、地域の力を最大限発揮できるように地元住民と相談しながら進めていただきたいと思います。

 そして東池袋四・五丁目地域は、木造密集地域として東京都も改善を目指して事業を展開しているところであります。防災道路をつくり、非常時に消防車や救急車が通れるような道路とすべく、集合住宅をところどころにつくり、集約を図ろうとする意図はわからないでもありませんが、一番大切な地域のコミュニティを守るということを念頭に入れて進めていただきますよう要望いたします。さらには東池袋五丁目地区市街地再開発事業なども近隣商店街の活性化に寄与するものとなるべく地域との調整に当たってもらいたいと思います。

 無電柱化につきましては、私も以前から推進を叫んでいた者の一人として、昨今の国や豊島区の施策の大きな転換を心から喜んでおります。新規の道路整備があるときには積極的に無電柱化を進め、また、豊島区無電柱化推進計画においても防災等の安全・安心のためにという視点にプラスして景観の向上という観点にも重きを置いてもらいたいと思います。特に、都電沿線から南大塚二丁目交差点を越え、プラタナス通りまでとつながる桜並木通りは桜祭りも開催されるほどの大塚の名所であり、電柱がなければさらにその美しさが際立つのにという地域の御意見を私は長い間、聞いてまいりました。景観の向上という観点から桜の植えかえの時期をにらんで整備の検討をお願いいたします。

 文化商工費と教育費ですが、東京オリンピック・パラリンピックを控え、さらには円安効果もあり、来日する外国人の片方が近年大幅に増加しております。どの地域も商魂たくましく、我が地域へと観光客を誘導しておりますが、2020年、東京オリンピック・パラリンピックにおいて競技会場が一つもない豊島区においてどれほどの外国人の方々が来られるか、心配なところではあります。豊島区の魅力、しかも外国人から見た魅力を研究し、ありとあらゆるものを多言語化しながら、世界に豊島区をもっとアピールすべきと考えます。多言語マップがあちらこちらでつくられているようでありますが、地図記号なども外国人がわかりやすいものにする研究も必要です。また、何よりも通訳をする人材を育て、プールしておくことも重要であると考えます。このように考えますと、やらなければならないことは山積みです。東京オリンピック・パラリンピックは世紀のイベントではありますが、ある意味、一過性のものとしてとらえてなければなりません。その世紀のイベントが終わっても豊島区として残し、受け継いでいくレジェンドをつくらなければなりません。その中心的な役割を豊島区はしっかり果たしてもらいたいと思います。

 小中一貫校についても議論をいたしました。本区で初の施設分離型の小中一貫校の開設も間近に控えております。すべての小・中学校において小中一貫教育を実施するという方針を豊島区教育委員会は打ち出していますが、スタートしたら後には引き返せないということもありますし、子どもたちにどのような影響が及ぶかをしっかり見きわめながら、全小・中学校での実施については慎重に検討されることを要望いたします。

 学校ICT環境整備事業についても議論いたしました。子どもたちが時代の流れの中でICTの環境になれ親しみ、使いこなせるようになることは必須のことと考えます。しかしながら、ICTは一つのツールとしてとらえるべきであり、教育の根本はフェイス・ツー・フェイスであります。最後は教師の人間力が物を言うと思いますので、教師力の向上をより優先していただくことを要望いたします

 3特別会計についてでありますが、3つの会計のうち2つの会計で一般会計からの繰入金が小額ではあっても昨年より減額されていることは評価をしなければなりません。一般会計からの繰入金はなるべく保険料を上げないための措置としての意味があることですから、そのバランスが難しいことは重々承知しておりますが、秩序なく一般会計からの繰り入れを行うと特別会計としての意味を失うことにもなりかねません。本来はナショナルミニマムとしてとらえなければならない問題であることから、引き続き国に対して地方自治体の負担の大きさの現実を訴えていく中で、国庫支出の増額し、地方負担分を軽減してもらえるよう改善の努力をしていただくことを要望いたします。

 さらに補正予算(第1号)につきましては、国会における審議を見聞しながら、子育て世帯臨時特例給付金を廃止しながら、低所得の高齢者に対して1人一律3万円という現金を消費税の税率を上げる前に給付するという考え方や、そもそも軽減税率を導入する際の財源がいまだ確定しておらず、議論の方向性に私は違和感を感じざるを得ませんが、既に国において決定し、今回は地方自治体において粛々と実行されることとことが願われている状況にあって、今回は地方議会において反対をすることは、私は現実的ではなく、賛成をいたしますが、せっかく給付される3万円がたんす預金ではなく、本来の趣旨である消費に使われ、少しでも経済が活性化されることを願うのみであります。

 豊島区は新しい時代を迎えました。すなわち貯金よりも圧倒的に借金が多かったことから財政再建ばかりを考えていた時代から脱却し、身の丈に合った財政を意識しながらも未来を見据えて政策目標を持った事業に対しては積極的に投資をすることが可能な時代になったのであります。まさしく豊島新時代へであります。新庁舎も開庁し、全国からたくさんの団体が視察に訪れ、マスコミとともに豊島区をアピールしてくれているこのときにあって、視界に広がる景色は東京オリンピック・パラリンピックを契機とした豊島区のさらなる発展であり、その発展のために核となる事業が国際アート・カルチャー都市構想であります。そしてこの構想を実現するために、また、中心となる事業が新ホールを初めとした8つの劇場の整備であることは言うまでもありません。私はこの構想について賛同いたしますが、中途半端な使用料をとって赤字体質の運営を持続するよりは、むしろ区民が使える枠を必要最低限のものに限定をして、極力赤字とならない運営をすることが求められていると考えます。経済効果が生まれているのだから文化施策のために赤字になるのは仕方がないという発想で運営することがないように、今くぎを刺しておきたいと思います。

 以上、さまざま申し上げてまいりましたけれども、豊島区が今後も少子化対策、子育て支援、教育の充実に関係する施策を全国に先駆けて積極的に行うことによって、子どもを産んで、育て、教育するなら豊島区と皆様に選んでいただけるような自治体となることを切に願っている次第であります。

 最後に、本予算特別委員会において里中委員長、島村副委員長の公平公正な委員会運営についても衷心より厚く御礼を申し上げます。

 以上で、私の意見開陳を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。