●2012年2月21日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。

「過去と現在を正しく把握し、未来に向けて種をまく政治を」

みんな・無所属刷新の会 古坊知生

 みんな・無所属刷新の会、古坊知生でございます。私は「過去と現在を正しく把握し、未来に向けて種をまく政治を」と題しまして、平成24年度豊島区予算案および未来戦略推進プラン2012について一般質問いたします。高野区長をはじめ、理事者の皆様の前向きな答弁を期待いたします。
 さて、政治不信が頂点に達しています。何も進まない。何も決められない。被災地の復興は進むのか?福島の原発問題は本当に収束するのか?政府与党に対してだけでなく、国会及び国会議員、そして伝統ある既成政党に対しても厳しい視線が送られている昨今の状況です。それは一にも二にも、将来起こることがわかっていながらも問題を先送りし、自分たちの党利党略・権力闘争に明け暮れてきたことが主要な原因であると私は思います。一例をあげれば、少子高齢化社会の到来がもたらす社会保障制度の持続困難性、このようなことは誰でも少し考えればすぐにわかることでありますが、今の今まで問題を引き延ばしてきた政治の怠慢というしかないでしょう。今の枠組みで決められない、進まないのであれば新しい勢力に期待したい、それがまさしく橋下徹大阪市長を中心とした第三極と言われる新勢力への期待という空気につながっているのではないでしょうか。昨今の支持率調査を受けて私はそのように感じます。私たちは議会人としてそのような一連の流れを対岸の火ととらえるのではなく、豊島区議会においても、また豊島区においても過去と現在を正確に把握し、そして起こりうる問題を事前に察知して未来に向けて種をまく政治を行うべきと考えます。
 過去と現在を正しく把握し、問題点を明らかにさせるという意味で、最も効果的な手法の一つとして人口動態の分析があると思います。区の置かれている状況を客観的に示されたデータから、問題点あぶり出し、政策目標を立てる為、区内の人口動態の分析をしながら質問をしてみたいと思います。
 未来戦略推進プラン2012によると、豊島区の人口は平成9年を底として一時期を除き、増加傾向にあります。それに伴って、人口密度も全国の地方自治体の中でトップにあるという状況です。今後10年間も区の人口が増加する傾向にあると分析しているようですが、その根拠をお示しください。また人口構成比を見ますと、0歳から14歳までのいわゆる子どもの割合は平成22年で8.8%、それに比べて65歳以上のいわゆる高齢者の方々の比率が20.7%になっており、生産年齢人口の比率と合わせ、著しくバランスを欠いています。さらに、合計特殊出生率を見てみると、平成22年には0.88という数値が出ています。一組の男女のカップルから一人も生まれないのですから、人口減少へ向かうのは必至です。それでも平成17年の0.76に比べると少しずつ改善しているという状況のようですが、これは何が原因で、今後どのように予測しているのかもお聞かせください。
 次に、人口が増加するということは区の財政にとっても少なからず恩恵をもたらします。そういう意味では区としては「選ばれる自治体」として豊島区をアピールしたいところでしょうが、人口密度が全国一ということは逆に言うと、個人としてのスペースが最も狭いということにもなります。豊島区における人口はどれくらいが適正基準だと認識しているのでしょうか。また、問題は選ばれるにしても、どのような層に選ばれるかということでもあると思います。豊島区の世帯数は平成17年から22年までの間に約2万3千世帯増加し、166,214世帯となりました。ファミリー世帯も夫婦のみの世帯もそして単独世帯もすべて増加しており、特に単独世帯の増加数が顕著であります。
 豊島区においては、ファミリー世帯の割合を増やすべく平成16年に、狭小住戸集合住宅税を施行し、当時としては画期的な税制改正を行い、その効果は私も認めているところですが、全体的な世帯数に占める割合はまだ2割強にまでしか至っていません。新宿・渋谷に次いで単独世帯の割合が高い本区として、次世代を担う若い世代を抱えたファミリー世帯の世帯数を更に増加させる視点が必要だと考えますが、区の認識をお聞かせください。また総じて、区内における豊かで安定的な経済活動を考えた時に高齢者や子供および生産年連人口の理想的なバランスについて豊島区はどのように考えているのでしょうか。そしてそのためにどのような施策や事業となって来年度の予算に反映されているのでしょうか。
 少子高齢化について瑠々語って参りましたが、高齢者の方々がお元気で長生きしながら、かつご活躍される社会は理想の姿です。特に若い世代に対してご自身の様々な経験則から的確なご指導をしてもらい、正しい道を若い世代が確実に歩むことに協力してもらえたらそれにこしたことはありません。 老いも若きも、助け合い支えあう中に、常に笑い声が響きあっているそんな豊島区を目指したいものです。だからこそ世代間の構成比のバランスが重要だと私は考えているのです。歴史を見ても人口が減少して栄えた国はありません。いや必ず滅びてゆくのです。しかしこの人口というものが政府や自治体のコントロールが効かないことがまた問題を大きくしています。教育費の軽減であったり、産休後の確実な復職、あるいは育児中の職場の環境の整備であったりと、さまざまなアプローチで多少出生率低下に歯止めをきかせることはできても、根本的な解決には程遠いのが現実です。しかし私は、そのような考えうる施策を一つ一つ積み上げると同時に、家庭とは何か、夫婦とは何か、そして子供とは祖父母とは何かという、やや哲学的ではありますが、人間が生まれてからずっと追い求め続けている理想形に近づけていく以外に方法はないと思います。そのために人口動態を徹底的に研究し、過去と現在を正しく把握し、そこから問題点を読み取り、さらに豊島区のあるべき理想像に近づけるための施策に生かしてもらえたらと願うばかりです。
 次に未来戦略推進プラン2012のより具体的な内容の中に「目指す豊島区の姿」として安全・安心創造都市というテーマについて質問させていただきます。
 先般2月3日に、東京都帰宅困難者対策訓練が実施されました。これは埼玉県や千代田区・新宿区・豊島区と合同で行ったもので、参加者も非常に多く、大規模な合同訓練でした。会派でも対策本部、本庁舎周辺の中池袋公園、そして池袋駅の東口や西口における様々な訓練箇所を見学し、いざという時に区長を中心とした豊島区の対策本部がどのように機能しているのかをこの目で見させてもらい貴重な経験を得ました。民間のホテルやコンビニまでこの訓練の為に時間と場所を提供してくれていることをとても頼もしく思ったところです。そこで質問します。今回の訓練を実施して、豊島区としてはどのようなことを学び取ったのでしょうか。そして生じた問題があったならどのような対策を講じるのでしょうか。
 今まで30年以内に70%の確率で首都圏直下型大地震があると私たちも聞いていたし話してもいたのですが、東京大学地震研究所の発表ですと、首都圏において、今後4年以内に70%の確率でマグニチュード7クラスの地震が起こる可能性があるとのこと。これをどのようにとらえるかは個人によって考えに差があるとは思いますが、本当に差し迫ってきた感が否めません。特に「30年以内」という言葉が「4年以内」になったことによって防災・震災対策の根本を変えさせられていると思いますが、それは平成24年度予算案においてはどのように反映されているのでしょうか。
 耐震化の一層のスピードアップが求められていると思いますが、その点についてどのように対応しているのかもお答えください。池袋駅周辺のビルにおいても30年以上経過した建築物の割合が非常に高まっている今日、建て替えや耐震化を急ぐことはもちろんのこと、区内公共施設に於ける対策も急務であると考えます。求められているのは「想定外」という、起こってしまってからの言い訳ではなくて、確実視されるリスクへの最大限の対策です。そのへんの認識についてもご所見をお願いします。3.11を経験した私たちです。その反省が今度こそ生かされる安全・安心創造都市、豊島区を目指してもらいたいと思います。
 「未来に向けて種をまく政治」と私が表現するのは、教育のことも指しています。たびたび、「教育こそが国と地域を変える」と発言しておりますが、先ほど述べた、少子化対策が生かされ、あるいは若い世代に豊島区を選んでもらって、数値的に子供の割合が高い豊島区になったとしても、教育のレベルが高くなくては意味がありません。確かな学力はもちろんのこと、社会に出ていくときにたくましく歩める人間力を身に着け、できれば社会に貢献できる人材を国内外に多く輩出していける教育を掲げている豊島区として、私は大いに期待をするものであります。
 先頃の2月9日、区立朋有小学校において、学校図書館が開館し、その開館式に保護者の一員として参加してきました。高野区長や三田教育長をはじめ図書館建設に関係した区や教育委員会の関係者の方々、教職員の皆さんはもちろんのこと、PTA役員の方々や児童全員が集い、立派な開館式が挙行されました。私も館内を見させてもらいましたが、本当に明るく、良い雰囲気で、何よりも学ぼうとする意欲がみなぎるような環境に整備されていました。まさしく児童の公募で決まった名前「ゆめのくに」にふさわしい図書館で、早く利用したいという児童のわくわくした気持ちを感じて、とても嬉しく思いました。もとはと言えば、近年のマンション建設の増加により、朋有小学校の児童数が年々増加傾向となり、このままでは使用できる教室が不足するので整備をお願いしたいとの依頼を受けてスタートし、出た結論としての図書室の廃止と教室への改築、そして図書館の建設でしたが、最終的に最高の形で答えてくれた区長をはじめ、教育長、関係理事者の皆様に一保護者としても心からお礼を申し上げたいと思います。開会式の時に、みんなで風船を飛ばしました。冬空の澄み切った青空にどんどん高く上っていくたくさんの風船を見た時、無限の可能性を秘めている子供たちの能力をこの風船のように高く、高く伸ばしていってあげることが教育なんだなという思いが重なり、心にぐっとくるものがありました。児童の皆さんも一生の忘れられない思い出になったことでしょう。今回の件を通じて、図書館や図書室が児童や生徒たちに与える影響というものが本当に大きなものであることを私は心から実感しました。図書館を見つめる子供たちの、あの生き生きとした瞳を今でも忘れることができません。他の区内小中学校における図書室や図書館の環境整備について区はどのような計画をお持ちですか。人材を育成することこそが「未来に向けて種をまく」ことであると私は思います。それは大輪の花が咲いて、実を結ぶまで時間を相当要しますが、確実にしっかりとした豊島区の基礎を作ってくれることでしょう。政治の世界においても、人材の枯渇、劣化ということが言われるようになりました。毎年のように国のリーダーが変わるということ自体も大問題ですが、今は政権をとったら4年間で何をやるというマニフェストで政権を選択するという選挙が行われていて、ますます国会議員の資質を下げていると私は思います。一地方自治体である東京都でも「10年後の東京」と名を打ち、様々な目標を掲げ、その到達に向けて努力を行っています。国家を預かる国会議員が10年後、20年後の日本をどういう国にするというビジョンなくして私は立候補する資格がないと思うのです。ぜひ、豊島区から輩出される人材が地域を動かし、国を引っ張り、世界をけん引していく。大きな志を持った人間・社会や地域に大きく貢献できる人間を育てる教育にも取り組んでいただけたらと心から希望するものであります。ちなみに豊島区の公立小中学校卒業生で社会的に名をあげている方々をこの際、可能な限り教えてもらいたいと思います。改めて良い刺激になると思うからです。
 エリート教育という言葉は昨今では否定的に使われることが多くなっています。だからこそ「平等」とか「ゆとり」という言葉がはびこり、結果として学力の低下をもたらしてしまったと私は認識しております。しかし現実問題として、組織を構成するときに必ず長を選ばなければなりません。そしてその組織の長が非常に重要な役割を果たすことは経験上誰もが知っていることです。であるならばその長を任せられる人材を見出し、ある意味でのエリート教育、英才教育を施し、そのような観点から全体としてレベルアップを図ることも重要だと私は思います。そういう視点でその人の潜在能力を更に伸ばすことにも力を注いでほしいものです。これは一地域の発展のみならず、国家の発展に寄与すると確信するものです。豊島区においてはそのような観点についてどのように認識しているのでしょうか。
 以上、様々な観点から、老婆心ながら瑠々申し上げてきました。豊島区職員の皆様がこれまで培ってこられた知識と経験を生かし、また歩んできた過去と今ある現在を正しく把握し、かつ未来を見据え、必要な施策を早い段階から構築し、そのために種をまき、しっかりと収穫することができ、結果として豊島区の輝ける、素晴らしい未来が来ることを切に願って私の一般質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。