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平成22年度決算特別委員会 意見開陳

H23年10月24日   刷新の会 古坊知生

 みんなの党・無所属刷新の会、古坊知生でございます。今回の決算特別委員会では古堺議員と二人で審査に参加しましたが、代表して私が会派としての意見開陳をさせていただきます。
まず冒頭に、平成22年度一般会計歳入歳出決算及び5特別会計歳入歳出決算の認定について、委員会の審査を通じて概ね了とし、賛成することを表明いたします。以下、その理由や区財政の認識、そして若干の提言を述べさせていただきます。
平成22年度一般会計決算は歳入が前年度比0.8%減の約995億円、歳出は0.4%増の約969億円になっています。形式収支は約26億円、繰越明許費繰越額約11億円を引いた実質収支は約15億円のプラスとなっていますが、財政調整基金を10億円取り崩して、平成17年度以来5年ぶりの財源対策を講じての黒字決算であり、黒字幅は3年連続の減少となっています。
 一方、土地開発公社の長期債務の残額33億5千万円の全額繰上償還を行うことによって、その長期債務を完済し、豊島区の負の遺産を大きく解消できたことは、今後の豊島区の財政再建に希望の光を見出すことができました。
 しかし、最近の景気動向の影響もあり、区民税が対前年度比15億円、5.9%減少するなど、厳しい歳入の一方で、職員定数削減による人件費抑制と、公債費の抑制を図り、10億5千万円もの財政効果を生んだものの、子ども手当や生活保護費などの扶助費が43億6千万円、20.3%増加した結果、義務的経費は33億1千万円、6.6%の伸びとなり、経常収支比率も3.2ポイント悪化して、86.7%となりました。公債費比率も前年を0.1ポイント上回る9.5%で、23区平均の5.1%を大きく超えており、財政の硬直化が進んでいることが懸念されます。
 また、財政健全化法に基づく豊島区の4つの健全化判断比率はいずれも、健全段階の位置づけとなっていますが、まだまだ重い負債の償還や扶助費の急激な増加、今後予想される公共施設の改修、改築など多くの課題を抱えており、引き続き財政健全化の手綱を緩めることなく、将来を見据えた計画的な財政運営が必要と考えます。
 「入るを量って出ずるを制す」という基本理念、すなわち身の丈に合った財政が区の基本姿勢でなければならないというのが私たちの共通認識です。高野区長は任期4年間の中で、債務を200億円にまで減額し、基金を200億にまで積み立てて、バランスを欠いた借金と貯金の関係を是正したいと言っておられました。その目標が達成すれば、財政健全化はかなりの部分で成し遂げられたことになり、区財政も時代に合ったニーズを捉えて、的確な政策をタイムリーに打っていくことができるはずです。そのような歳入と歳出のバランスを常に考えながら毎年予算を組んでもらいたいものです。リーマンショック以降の景気の動向からくる歳入不足、あるいは東日本大震災を受けて新たに生じた区民サービスの需要を考えると、ここ数年は大変厳しい財政運営を余儀なくされることが予想されますが、今回の審査で古堺議員が指摘したコピー機の契約条件の見直しや契約をまとめることによる単価の削減など、さらなるコストカットを全庁的に検討し、民間の視点をもっと取り入れながら、行財政改革にあくなきチャレンジをしてほしいと思います。
 政策的には、高齢者人口の比率が高い豊島区において、将来の安定的かつ、持続的な社会保障制度の維持を目指して、子育て世代を本区に誘致する政策に重きを置くべきであると考えます。そして老いも若きも、楽しく仲良く暮らせる豊島区を目指してほしいと思います。そのために子育て世代を応援している豊島区というイメージが伝わるような事業の計画、あるいは予算措置を強く要望致します。
 以下、款別に若干の提言を含め意見を述べさせていただきます。議会費と総務費ですが、決算額とその根拠について詳しく聞かせていただきましたが、費用対効果を常に考えてコスト意識を持った審議会等の運営を希望します。豊島区新年名刺交換会についても、他区の開催状況を参考にしながら、開催の在り方、会費の金額をどの程度にするか検証することを要望します。インターネット議会中継については開かれた議会をアピールしていくために非常に有効な手段だと考えております。常任委員会や特別委員会等に中継を拡大していくこともさることながら、画像をよりクリアなものにして視聴者にとって見やすい内容にしていく工夫を可及的速やかにしていただくことを要望します。
 福祉費と衛生費ですが、生活保護費について豊島区の保護率が全国の平均値を超えるようになってしまっています。受給要件が甘いという認識を持たれると申請者が増加してしまうことから、厳正な対応をお願いします。また生活保護における医療扶助についても本当に必要な方が受給できるようなシステムの構築を要望します。豊島区にとって喫緊の課題である待機児童対策として、認可保育所をすぐには増設できないという面からも、認証保育所に子供を通わせる保護者に対し、認可保育所と同等の補助をし、経済的な負担を軽減させることを要望します。   
おとしよりホッと相談事業については、費用対効果を考え、ほかの類似した事業との統合を図るなど、工夫していただくことを要望します。子育て世代を誘導する施策についてもアピールできるものを検討して下さい。子育て支援マンションの認定や子育て支援メール等、他区の施策も検証しながら子育て世代の保護者の方々にタイムリーな情報を提供できるということ、そして豊島区で子供を育てたいと思わせる施策の更なる検討を要望いたします。
 清掃環境費・都市整備費・土木費ですが、持続可能な地球が大命題となっている今日、ごみの減量化もCO2削減のためには重要な課題となっています。リサイクル等も含めてごみ減にさらに取り組むことにより経費の削減を目指すことを要望します。LRTについてはパブリックコメント等で反対する意見も多いことから導入による費用対効果を詳細に分析し、時間をかけて区民のコンセンサスを得られるように努力することを要望します。放置自転車対策については、本区の努力で台数が減少していることは承知していますが、新大塚駅周辺の駐輪場整備については駐輪場の確保をお願いすると同時に、条例改正施行以前からある企業の駐輪場の整備についても方策を検討していただくよう要望します。家庭の省エネ診断モデル事業については、産官学の連携をテーマにしながら、企業と豊島区と大学がその持っている特色を生かしてそれぞれが利益を得ることができる事業として注目しております。協力してくれる企業を幅広く求め、利用できる区民にとっても多くの選択肢がもてるような体制を作っていただき、地道ではありますが、区民にしっかりエコ意識が根付く事業として発展させていただくことを要望します。
 文化商工費と教育費ですが、池袋というターミナル駅を持つ豊島区において、今後外国人との共生、あるいは外国の方々をより多く観光で誘致する施策が必要と考えます。外国人に対しても優しい、そして外国人を受け入れている区であるというアピールのためにも、区の様々なところで数か国語からなるサインを表示し、観光情報センターの案内における語学力の充実においても工夫されることを要望します。給食の放射性物質の測定について、豊島区としては保護者の方々の要請もあり、10月から3か月間で区立小中学校と保育園において一定の規模で測定をしていただけることになったことについては感謝を申し上げます。しかしながら本区においては、それぞれの学校や保育園で各自で食材を入荷していることから、サンプル調査はあまり意味を持たず、全校・全園での測定をすることが必要になると考えます。本当の安全・安心感を保護者の方々に持ってもらえるよう全校・全園での測定を検討してもらうことを強く要望します。また来年度においても現在行われている放射性物質の測定を引き続き拡充して行うための予算措置を強く要望します。朋有小学校におけるインターナショナル・セーフ・スクールにおいては、認証取得に向けて保護者の方々が活発な取り組みをしており、運動に盛り上がりが出てまいりました。認証取得もさることながら、認証取得後の取り組みの継続、あるいはその他の学校にもよい影響を拡大させていくことを要望します。 
 次に歳入についてですが、様々な対策を講じていることは承知していますが、収入未済額が年々増加していることを真摯に受け止め、真面目に払っている方々が感じる不平等感をなくすために、コンビニ収納やクレジット収納の拡大をはじめ、今の時代に合った形式での収納対策を講じ、更なる収納率向上に努めてもらうようお願いします。 
 次に特別会計についてですが、国民健康保険特別会計における日帰り温浴施設割引利用券の配布についてはPR方法などを工夫し、もっと多くの方々が地元の施設を利用し、少しでも産業活性化につながるように検討をお願いします。また保養施設については、防災協定を結んでいる地方自治体の旅館やホテルを優先的に国保指定旅館として指定し、人的交流を通じてお互いの交流が深まる契機とし、いざという時により深い連携が取れるような方向性の検討をお願いします。
 以上、一般会計歳入歳出決算および特別会計決算に対する意見を申し上げましたが、総じて申し上げますと、歳出が歳入を超えない身の丈に合った財政であり、時代に合った区民のニーズにできる限りこたえようとし、なおかつ長年の懸案であった土地開発公社の長期債務の完済を成し遂げ、豊島区が新しい歩み、新しい一歩を踏み出せる土台を作った決算であったと評価するところであります。
 しかしながら、今後も景気動向をさらに注視し、税収の読みを間違えることなく、引き続き歳出削減に取り組みつつ、東日本大震災以降新しく表れた安全・安心のための区民ニーズにも対応しなければならないなど、非常に難しいかじ取りが予想されます。そうであるならば、コストカットの意識をさらに強く持ち、すべての事業について無駄がないかどうか再点検することも必要でしょう。その際には民間の視点をできる限り取り入れることも重要です。施策の実行にあたっては、経常収支比率が高い本区においては選択と集中が必要です。その選択と集中を行うためには、なぜこの事業を優先するのか、なぜこの事業に多くの税金を投入するのか説明できる根拠や理念、そして情報公開が重要になります。議会においてももちろんそうですが、区におかれましてはさらに情報公開に取り組んでいただき、我々議員もそして区民も予算や決算について活発に議論できるような環境を作るべくさらに努力をしてもらいたいと思います。
  終わりに今回の決算審査におきまして、公平公正な委員会運営に努めていただきました、竹下委員長と木下副委員長のご労苦に対して心から労い申し上げます。そして高野区長をはじめ副区長、教育長そして各部局の部長・課長さんにおかれましては、私どものつたない質問に誠意ある回答を頂きましてありがとうございました。またお忙しい中、私たちの資料請求に対して迅速かつ的確な資料を提出していただきましたことにも心から感謝を申し上げます。 
 来年区政施行80周年を迎える本区が、セーフコミュニティ認証取得はもちろんのこと、今回の審査で得たものを生かしながら、住み良い街、住んでみたい街としての評価を獲得することを祈りながら私ども会派の意見開陳を終了させて頂きます。ご清聴誠にありがとうございました。