●2011年2月15日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。

「教育こそが地域を、そして日本を再生させるカギ」

平成23年第一回定例会 一般質問 刷新の会 古坊知生

 刷新の会 古坊知生でございます。私は「教育こそが地域を、そして日本を再生させるカギ」と題しまして、一般質問をいたします。教育はすべてに通じる、教育によって多くの問題は解決できるというのが私の強い信念です。任期最後の一般質問も教育問題を取り上げます。理事者の皆様の、特に教育長の積極的な答弁を期待致します。
 今回の質問をするにあたり、「豊島区の教育2010」と「豊島区子どもプラン次世代育成支援行動計画(後期計画)」を再度読ませてもらい、改めて豊島区がかくも多くの事業をしてくれているのだと実感し、感謝をしたところです。大体の方向性については異論がありませんが、気になる点について、見解を求めたいと思います。
 まず、根本的なことではありますが、以前豊島区においては「教育としま」という言葉をスローガンに掲げていたと記憶しております。三田教育長になりそのスローガンが、「教育都市としま」と変わったわけですが、以前と何がどう違うのかをお答えください。言葉だけではなく、政策的にもまた事業的にもどのような違いがあるのか、あるいは進化を目指しているのかをお答え頂きたいと思います。
 次にいわゆる、ゆとり教育の見直しによって学力重視の傾向が示され、平成23年度からは小学校で、平成24年度からは中学校で新しい学習指導要領が全面実施される中、今年の4月からは区内の小中学校で「としま土曜公開授業」が始まるようです。我々は子供の時に土曜日の授業を体験してきた世代です。ですから土曜日に授業を行うことは大いに結構だと考えておりますが、カリキュラムが変わると現場の先生方は大変です。また、学校開放事業や子どもスキップ事業にも大きな影響を与えると思いますが、混乱は生じていませんか。学校は学ぶためにあるわけです。乾いた砂に水が沁みこむように、子供の時は凄まじい吸収力がありますから、この時にしっかり勉強をしなければならないと私は考えますので、学力重視の方向性は大いに評価したいと思います。しかし方向性の変化によって生じる様々な問題に対しては適切なフォローをお願い致します。
 学力重視という言葉が出たので触れますが、昨年、豊島区においては独自の学力テストを行い、全国レベルと比較しても優秀な成績を上げたとの報告がありました。これまでの取り組みが着実に成果を上げている大きな証拠であると思います。学力の伸びは一つの目標ですが豊かな人間性の成長というものもまた大きな目標の一つです。しかしそこには具体的に指標がないのでその事業の評価を下すのが中々難しいと思われます。その辺を検証するようなシステムというようなものは本区にはあるのでしょうか。観念的な目標を掲げてしまって曖昧になりはしないかと心配なのであえて聞いてみました。学力も人間性も同時に高めるという難しい課題を要求されている現場ですが、家庭との連携の中にしっかりと取り組んでいただくことを改めて要望しておきます。
 また、人間性ということでは、人権教育の中に殊更、「子どもの権利」という言葉が見受けられます。私は豊島区が制定している子どもの権利条例というものは結局、児童虐待という問題に尽きると考えており、それであるならば児童虐待の問題に特化した条例を作るべきであったにもかかわらず、「子どもの権利」という、どちらかというと義務というものが強調されるべき時期である子どもに、過分な権利を与えるかのような誤解を生じさせる可能性のあるネーミングにしたことが今でも理解できません。児童虐待の問題は深刻化していますので、一刻も早い解決が必要ですが、この条例があることによって、誤解が生じ、錦の御旗となり親や周りの人の言うことを聞かない、わがままな子どもに育つことのないような条例の運用を改めて警告しておきたいと思います。
 さて、よく教育は家庭・学校・地域の三者が一体となって連携をとることが重要と言われます。家庭において、ある程度の基礎・規範・マナーを教えておいてもらわないと、学校での指導が成り立ちませんし、地域の大人が自分の子供だけでなく、地域のあるいは日本の将来の宝である子供としてしっかりと見守ることも青少年の健全育成や学校の安全・安心という観点から重要です。そういう意味で「青色防犯パトロールカー」や、「すがもっ子安全安心パトロール隊」のような活動は大変重要であるし、画期的なことであると認識しております。また、地域の伝統や文化を教えていくことはもちろんのこと、その地域に愛着と誇りを持たせることが何よりも大切です。そのようなことについて本区ではどのような事業を展開しているのでしょうか。 
そして地域のつながりや絆というものを大事にしようと考えた時に、やはり隣接校選択制についても考えを巡らせなければなりません。私もPTAの方々にいろいろと聞いてみました。保護者の立場からすると、学校を選ぶことができるという自由選択性がやはり好感をもたれているようです。また昨今のいろいろな現象を見ても、選ばれる学校になろうということで、学校自身も努力をするようになっているという利点はあると思います。しかし、一方で選ばれなくなり、人数が少なくなるとその現象には拍車がかかり、再び復活することが不可能なくらいな状況になってしまうということも事実です。何よりも自分が生まれあるいは育った地域の学校に通うということが、やはり本来あるべき姿であり、地域のコミュニティを強くすることにも貢献すると私は考えます。
現代においては、若い世代のコミュニケーションというのは、幼稚園や保育園あるいは小中学校の保護者との間でしか交わされないようになってきています。公立の学校へ行くのであるならば、地元の、地域の学校に通い、保護者同士で学校を中心とした地域の絆が育まれるようにするためにも、隣接校選択制の見直しについて、保護者の方々の理解を得ながら進めて行くべきだと私は考えます。今年度豊島区においては隣接校選択制の検証と今後の方向性を示しました。その内容と区の立場は理解しているつもりですが、今までも数名の議員が主張していたように私もそのような考えに変わってきていることをあえて主張しておきます。
次に教育センターの学校支援機能の充実についてお聞きします。現代の教育においては日々問題が多様化しているようです。特別支援教育の充実や不登校対策の強化、外国人生徒の日本語指導の充実など多種多岐にわたる諸問題の解決のために教育センターがありますが、担当者の御苦労はいかばかりかと推察されます。先般示された来年度の人事案においてはこの教育センターに関する改正もあり、組織として強化されるような報告を聞いております。具体的にどのような改正が成され、そして何を目指しているのかをお聞かせ下さい。先ほども言いましたが、問題が複雑多様化する今日にあって、教育センターの使命が益々重くなっています。大変かとは思いますが、人材を惜しむことなく投入してもらい、隅々まで目配りの利いた教育となるようお願いしたいと思います。
次にインターネット等におけるメディアリテラシーについては度々触れさせていただきましたが、もっと具体的な問題である薬物乱用防止について質問します。近年、有名なタレントが薬物に手を染めていた事件から始まり、日本の有名な大学においても、大麻の栽培等で大学生が逮捕される事件が報道され、日本もここまで堕ちてしまったかと嘆くのは私だけではないと思います。マリファナ、コカイン、覚せい剤、ヘロイン等種類だけでもあげたらきりがありませんが、この問題こそ教育によって防止することが重要と考えます。豊島区においては薬物乱用防止教室等の実施を年間指導計画に位置付け、全校で年1回実施するとしていますが、具体的にはどのように実施を考えているのでしょうか。先日私はこの問題にボランティアで取り組んでいる若い主婦の方にお会いしました。イギリスやオーストラリアでの海外生活の中で薬物問題の深刻さを感じ、日本に帰ってきてから日本の青少年に対して薬物の怖さを訴えているとのことでした。外国では薬物がファッション感覚で流行していて、あまりにも規制が弱いのだそうです。現代はインターネットで世界が繋がっており、外国の問題が対岸の火事として片づけられるような時代ではありません。もうすでにその兆候が表れているわけですから、重要な問題であると認識すべきです。できれば薬剤師の方や警察署の方も結構ですが、専門家や体験者などとも連携し、また保護者も巻き込みながら同時に啓蒙を図っていくことも検討してほしいと思います。
教育都市としまの実現のために、私の気になる点を述べて参りました。教育こそが地域をそして日本を再生させるカギであります。効果が表れるには時間はかかるけれども、正しい教育を施せば結果は必ず付いてくると私は思います。豊島区の子供たちの目が光り輝き、地域も活性化し、そして豊島区がもっと元気になり、日本の再生に貢献する、そんな教育を、三田教育長を中心として教育委員会や豊島区が行って頂くようにエールを送り、私の一般質問を終了いたします。ご清聴誠にありがとうございました。