平成22年度 豊島区予算案意見開陳

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平成22年度 豊島区予算案 意見開陳

H22年10月26日

刷新の会 古坊知生

 刷新の会 古坊知生でございます。私は今回、2年ぶりに決算特別委員会の委員に指名され、審議に参加しました。この委員会に臨むにあたり、私なりに大きなテーマすなわち理念を定めて質問をしました。「理念なき大衆迎合政治は国家と地域の崩壊を招く」というのが私のポリシーであります。まず理念が何よりも重要です。その理念とは私的に言えば、「理想的な家庭、支え合う地域、誇りある国家、持続可能な地球」であります。このような観点から平成21年度豊島区一般会計歳入歳出決算および五特別会計歳入歳出決算において、審議し考察してみました。以下に私の考えを述べます。
 まず、総括的に言うと、豊島区において歳出が歳入を超えない、いわゆる「身の丈にあった財政」が確立されてきております。借金を作らない、そして今存在する借金はできる限り減らしていくという最も基本的な財政運営の根幹に注目すると、平成21年度においては、歳入が約1002億5000万円、歳出が約965億円という4年連続で特別な財源対策を講じない健全な決算となっております。
 バブル崩壊後の豊島区の財政状況の厳しい道のりについては既に何度も述べられて参りました。私は区長部局が提出する議案には与党・野党という枠にとらわれず、是々非々で審議に臨んでおりますが、そのような私から見ても、3期12年にわたる高野区長の強力なリーダーシップによる、財政再建の成果に心から敬意を表するものであります。平成21年度もご案内の通り経済状況が厳しい中、身の丈に合った財政という方針を貫くことができ、併せて豊島区土地開発公社の長期債務の繰上償還をして、隠れ借金を一刻も早く処理しようとする姿勢は、次世代につけを残さないという意味で大変な英断であり、その考え方に大いに共感を覚えるものであります。総括についてはこのように評価をし、次は私のテーマに沿って評価及び要望をさせていただきたいと思います。
 まず第一に掲げた「理想的な家庭」ということですが、私は家庭というものはおじいちゃんやおばあちゃん、お父さんにお母さん、そして子供たちというふうに、三世代が同居し、支えあうのが理想だと思っております。今の若い世代の考え方ではなかなか実行しにくい考え方かもしれません。でも子供から見たときに、お父さんとお母さんが仕事をしていて家にいない時、おじいちゃんやおばあちゃんから深い愛情で育てられることは子供の情操教育には絶対プラスとなりますし、父母が祖父母を敬う姿を見て、子供は自然と敬老の精神が培われます。長年生きてこられて得た豊かな社会経験からいろいろな知恵を子供たちに教え、そして文化を継承することにも一役買ってくれるでしょう。祖父母にとっても愛すべき対象がいるということは老後の励みや生きがいにもつながると思います。子供の時代はより多くの人から声をかけてもらう、愛されるということが必要です。そのように暖かい家庭から育てられた子供が将来犯罪をするように育つとは私は思えません。最近の犯罪において、少年犯罪の低年齢化が見られることや、高齢者の犯罪が増えていることなどは、家族におけるコミュニケーションが不足していることが原因だと私は考えます。三世代が同居し、支え合うという家庭を理想的な家庭としてとらえた時、そのことをサポートする施策が豊島区にどれほど存在しているでしょうか。私は今後三世代が共存する施策を提案していきたいと思っております。
 そういう観点で、まず議論をした男女共同参画社会についてですが、まず大前提として私は女性の社会進出を否定してはおりません。むしろ女性も社会でその能力を生かしてもらって、お互いが助け合い、支え合う社会を目指すべきであると考えています。しかし、出産から幼少期における母親の存在感は父親のそれと比べて比較にならないほど大きなものがあります。本来男性と女性は体つきから精神構造から明確に異なります。その性の違いを上手に生活の中で生かしてきたのが日本の伝統文化であり、日本のライフスタイルだと思います。もちろん家庭内暴力やセクシャルハラスメントのような犯罪は言語道断であり、厳しく対応しなければなりませんが、日本における最近の男女共同参画社会推進運動は、特に日本のよき伝統文化を変えようとするかのように見えて私は一抹の不安を覚えます。真の男女共同参画とはお互いの性の違いを認め足りないところは補いながら、家庭や地域、そして社会において行動することであり、何も目くじらを立てて、古くから受け継がれてきた文化そのものである言葉を男女平等という観点から変えるということではないはずです。子供を産む女性のたくましさ、子供を想ういちずな思い、女性の細やかな感性など、女性特有の素晴らしい点を強調し、男女の性の違いを自覚し補い合う真の男女共同参画社会になるように今後も私は注目していきますし、区においてもそのような観点から施策の展開を希望します。
 次に「支え合う地域」ということですが、地域におけるコミュニケーションが希薄になっているという現実が顕在化した今年の夏だったと思います。
 消えた高齢者問題などはその典型的な事件でしたが、私達の見えないところで、高齢者の見守り運動がいろいろな形で展開されています。特に町会、高齢者クラブ、そして民生委員等多くの方々が参加していますが、総じて高齢者の方々を高齢者の方々が見守るという現状も克服すべき課題であると思います。現役世代がもっと地域に関心を持ち、また行動をとってもらえるように人材の発掘にも務めていただきたいと思います。そうして地域の一体感を学校単位で推進していく中に、安全で安心な社会を目指してほしいものです。地域の支え合いが結局自分たちの家庭の安心・安全につながるというメッセージをどんどん発信していくべきです。
 次に「誇りある国家」ですが、総じて言えば、教育の問題であります。審議では愛国心という言葉を意図的に使いました。自分が生まれ育った母国を愛し、誇りを持つことは人間として当然のことであると思います。だからこそ政治や思想抜きに愛国心という言葉を教育の世界でも違和感なく使ってほしいのです。共産主義国家である中国や北朝鮮では、国家の政策として堂々と反日教育を行っています。そうすることによって自分たちの政権の正統性を主張し、反乱を抑えて統治しているからです。そして結果として私たちから見ると歪んだ愛国心を育てています。欧米諸国においてもどの国においても、国家があって初めて私達が存在しているのですから、愛国心は教育の重要なテーマです。政治的にゆがめることはよろしくありませんが、人間として本来持っている本性としての愛国心を郷土愛と絡めて育んでいくべきです。
 先の大戦に対する反省からいつまでたっても抜けきれない自虐史観に満ちた歴史教科書を子供たちに与えるよりも、日本という国家の成り立ち、そして世界に類を見ない素晴らしい日本の伝統文化を自信と誇りを持って表現している、そして自分の国と郷土に誇りを持てる歴史教科書を与えるべきであると私は考えます。それこそが元気で自信に満ちた日本人と日本国を創り上げる礎だと確信します。その様な観点から教科書採択というものを考えてもらいたいと強く主張しておきます。
 最後に「持続可能な地球」ですが、言うまでもなく環境の問題です。
 後世に、そして私達の後孫にこの素晴らしい地球をずっと伝え続けるために、いまやCO2排出量削減の目標値達成は何よりも優先すべき課題だと認識しております。見えない敵と戦っても戦は勝てません。見えない敵を見える化し、その傾向と対策を充分に研究し、具体的な行動に移していかなければなりません。私達個人の意識を大きく変革させなければこの目標値は死んでも達成できません。例をあげればクールビズをしていれば環境に配慮しているということにはなりません。クールビズをするのであれば冷房を切るかあるいは温度を普通よりも高めに設定しなければなりません。そもそも冷房を使うことによって快適に生活することができるかもしれませんが、環境面で言うと都会においてはヒートアイランド現象の一因ともなり逆効果です。CO2排出量削減という観点から考えをスタートさせること、それはすなわち、我々一人ひとりが持続可能な地球のためにある程度の我慢をするということを問いかけています。教育と結びつけながらさらに具体的な施策を展開し、区が公約に掲げたCO2排出量削減数値目標を順守することを区政の最大テーマに掲げ、全庁挙げた取り組みがされることを要望しておきます。
 以上、私のテーマ・理念に沿っていろいろと述べて参りました。それ以外にも細かな点を言うときりがありませんが、特に文化施策においては本区の特色ある施策として展開され、様々に形を変えて発信しております。豊島区の魅力をさらにアップする為に、古くからある文化財の発掘はもちろんのこと、今後文化財としての価値が認められそうなもの、あるいは地域の方々の目から見て価値のあるものという基準の検討もしてもらいかつ、各地域で起こっている新しい文化の芽もしっかり育ててもらうことも希望しておきます。
 歳出削減においては、まず議会側からも区民の付託と信頼に応えることのできる議会を目指して、費用弁償費の廃止、議員定数の削減、議員年金の廃止など、まだまだ見直す点が多々あると思われます。そのために、私たち議員も自らの身を削る勇気を持っていかなければなりません。
 そしてその上で、区民から預かった税金であるから、コストカットをするという意識を徹底させ、一円たりとも無駄にしない歳出を更に目指してもらいたいものです。
 いろいろな観点から、私の中での理念に基づいた理想の区政について語って参りました。平成21年度一般会計歳入歳出及び5特別会計歳入歳出決算におきまして、課題はいろいろと見え隠れしますが、方向性においては共有するところも多いのではないかという思いの中で、賛成を表明させていただきます。
 今回の決算特別委員会において、区長を始め、副区長、そして教育長また理事者の皆様には、ぶっつけ本番であるにもかかわらず、私の質問に対して真摯に、分かりやすくご答弁いただき、かつ私の資料請求に対して迅速かつ的確な資料をご用意頂きましてありがとうございました。
また公平公正な運営をしていただきました中島よしはる委員長、遠竹よしこ副委員長にも心から感謝を申し上げます。
 今後も高野区長を先頭に、身の丈に合った健全財政を継続し、豊島区が23区の中でもさらに輝きを放ち、個性的でしかも多くの都民、特に子育て世代から「子供を育てるなら『教育都市豊島』をスローガンに掲げるこの豊島区だな」と選ばれる自治体になるよう努力していただきますことを重ねて要望させていただきます。
 そして、二元代表制の中で、区民から選出された私も、豊島区議会の中で区政全般にわたって今後もしっかりとチェックさせて頂き、かつ様々な提言をさせて頂くことを表明いたしまして、私の意見開陳とさせて頂きます。 ご清聴、誠にありがとうございました。