●平成22年度豊島区一般会計補正予算第2号に対する反対討論 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。

 刷新の会、古坊知生でございます。私はただ今上程されております、第54号議案平成22年度豊島区一般会計補正予算第2号の可決に反対の立場で討論いたします。
まず最初に申し上げたいことは、この補正予算の大部分については趣旨を理解し賛同をするということです。地域見守り活動支援事業経費や住宅手当緊急特別措置事業経費追加額、私立保育所施設整備軽費追加額、家庭の省エネ診断モデル事業経費、椎名町駅周辺整備事業経費、中央図書館管理運営経費など、どれも必要な施策であり、必要な経費であると理解できるものであります。
 しかしそれでもやはり私がこの補正予算に賛成できない大きな理由があります。それは子宮頸がんワクチン接種助成事業経費です。先の定例会で私以外の全議員が子宮頸がんワクチンの公費助成推進に賛成しました。私はこのワクチンの危険性を様々な観点から主張し、公費助成に反対をいたしました。結局豊島区はがん対策を推進するという大義名分のもと子宮頸がんワクチンの公費助成に踏み切りました。以上の経過から私はここで再度子宮頸がんワクチンの問題点を指摘して区の姿勢を質しておかなければなりません。それが今回の補正予算案に反対する理由です。
 子宮頸がんワクチンについては現在も様々な声が寄せられています。その中には「ワクチンさえ打てば子宮頸がんを予防できる」とするワクチン全能論もあれば、「アジュバンド(免疫増強剤)というペットの去勢・避妊薬に使われる成分が入っているので断種ワクチンである」という声さえあります。
 これから私が述べる内容は、厚生労働省の現役医系技官である木村盛世さんの論文を私なりに理解しまとめたものです。現役の医系技官が時の政府の行動に対して異を唱える論文を書くということはとても勇気のいることだと思います。しかも医系技官という私達よりもはるかにその道に携わってきたプロ中のプロが語っているのですから説得力は計り知れないものがあります。この論文は私にとって論理的でかつ非常に納得できるものでした。ここでその内容を紹介してみたいと思います。
 まず子宮頸がんの原因は複数あり解明されていないものも多い。その中でも明らかになっているのは、人パピローマウィルス(以下HPVと略します)年齢、人種差、遺伝、食事、生活習慣などである。HPVが原因だと言われている子宮頸がんは世界中で70%程度という報告があるが、実際のところ結論付けるにはまだまだ調査が必要である。このような背景から、子宮頸がんワクチンはHPV感染予防ワクチンかせいぜい、子宮頸がんの一原因が示唆されているHPV感染予防ワクチンと呼ぶべきである。
 子宮頸がんについて現在までに分かっていることは以下の通りである。
1 HPV感染による子宮頸がんは全世界に広がっているが、多発地帯はアフリカ・東南アジアなどの途上国である。
2 HPVは現在までに百種類以上の型が存在するが、ワクチンはその内の4種類(6型,11型,16型,18型)のウィルスに対して作られている。
3 がん発生を高頻度におこすのは16型と18型と言われている。
4 欧米では16,18型が流行しているが、日本では割合が低い。
5 HPVワクチンの重篤な副反応発生に関してはワクチン接種した群としなかった群とで差はなかった。ただし新しいワクチンであるから、長期的な副反応に関しては不明である。
6 ワクチンに合致した型のHPVに未感染の15〜25歳の女性についてはHPVワクチンがHPV感染予防と、子宮頸がんの前がん状態を予防する効果は高いと推測される。
7 HPVワクチンにより、子宮頸がんの発生や死亡がどれだけ減らせるかを言及するには、長期的疫学研究が必要である。

欧米ではHPVが国策として導入されている。アメリカでは2006年に認可された四価(6型,11型,16型,18型)ワクチンを、11〜12歳の女児に接種することが勧告されている。そのアメリカでもHPVワクチンの学校接種を義務化しているところは驚くほど少ない。2010年2月現在で中学校へ入学する時点で全員接種を掲げているのは、バージニア州とワシントンDCの2州だけである。バージニア州では接種を希望しなければ辞退することができるから、実質的に義務化しているのはワシントンDC一州だけと言える。国としてワクチン接種を推奨しているのに、その接種を義務化している州が何故少ないのかという理由が2010年8月19日発行の「The England Journal of Medicine」の中に、「HPV予防接種の義務付けー政治と科学の論争の中での立法」という論文に示されている。
その理由とは、第一に、HPVワクチンは新しいワクチンであり、対象者全員接種を義務化する前に安全性などについてのより詳細なデータをとることが必要である。そして市民もHPVワクチンの内容や効果など理解していない点が多く、もっと丁寧に説明すべきという理由である。
 第二に、性感染症としてのHPVワクチンが義務化されれば、HPV感染がどのように起こるのか、何故ワクチンを打つのか、といった問題を保護者が理解し子供たちへも説明しなければならないが、11〜12歳という年齢は性交渉に関して、子供も親も話し合いが受け入れられる状態にあるかどうかは微妙である。当然話題が早すぎると考える親もいるはずであり、中学入学までに必須などという乱暴な議論はいかがなものかという理由である。またHPVワクチンが義務化されれば、SEX=感染症という考えがインプットされ性行為に対する極度な恐れ(純白主義)がはびこる可能性があるし、逆にワクチンを打ったからコンドームをしなくても性感染症にかからないといった無防備さを生むことにもなるだろうという指摘である。即ち、性道徳の乱れを助長する可能性があるという理由である。
 第三にアメリカのHPVワクチン製薬会社が政策決定に介入しているとの問題が指摘されている点である。この点がアメリカ国民に大いなる不快感を与えたようである。
 我が国で認可され、今回の助成対象となっているのはイギリスの大手製薬会社グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスという二価(16型、18型)のワクチンであるが、他国ではガーダシルという四価HPVワクチンも承認されている。医療機関からはガーダシルの臨床研究が早くから開始されたのにもかかわらず、なぜ認可が遅れているのかという声も上がっている。サーバリックスとガーダシルの両者を認可したのち、当該者にどちらかを選ばせるという選択があってもよいのではないだろうか。
 第四に、経済的な負担の問題がある。HPVワクチンは三回接種が必要だが、他のワクチンに比べて高額である。日本でもこの高額なワクチンに対して公費助成を謳い文句にしているが、はたして費用対効果分析などがされたのだろうか。自分の知る限り、(この自分は木村さんのことを指しますが)このワクチンの有効性を立証する大規模疫学研究が我が国で行われたという話は聞いたことがない。すなわちこの子宮頸がんワクチンと呼ばれる物を使えば、日本人女性の多くが子宮頸がんにかからずに済むというのは科学的根拠のない数字である。
 欧米諸国での研究結果を使えばいいではないかという考え方もあるが、がん自体、前にも述べたとおり遺伝、人種差、食生活などにその発生が大きく依存する疾患であるから、いくら欧米の研究結果がワクチンは効果ありと出たところで、日本、日本人という設定でも当てはまるのかという問題が生じる。このためワクチンの有効性は異なった場所、集団を使った大規模な研究結果を総括して結論付けるのが常道である。
 我が国のワクチンの承認状況は世界から見てもはるかに後れをとっている。遅れているのならば取り入れなければならないが、これだけたくさんのワクチンを今から導入するには予算もいる。政府としてはどのワクチンから取り入れるかの決定である。その決定は公衆衛生学的根拠に基づいた優先順位によるものでなければならない。すなわち発生の程度はどうなのか、ワクチンを打たなければどれだけ死亡が起こるのか、費用対効果はどうなのかといった諸々の条件を比較することが必要となる。
その観点から子宮頸がんと細菌性髄膜炎、B型肝炎と比較して見ると、細菌性髄膜炎に罹ると後遺症を残す例が10〜20%、死亡率が2〜3%である。B型肝炎は日本に百万人以上の感染者がいるといわれる。感染者の10%程度が慢性肝炎になり、慢性肝炎から肝細胞がんなどを発症して死亡する例が、0.4%程度である。この細菌性髄膜炎やB型肝炎は乳幼児期のワクチン接種で予防することができる。
 子宮頸がんは、性交開始時に約60%がHPVに感染し、ほとんど90%は自然治癒する。残りの10%内の一部が20年くらいかけて子宮頸がんを発症する。最終的に子宮頸がんになるのは、HPV感染した女性の0.1%と報告されている。この数字を見る限り、HPVワクチンがHibやHBワクチンに先行して導入される理由は見つからない。また、HibやHB肺炎球菌はワクチン導入は発生を速やかに抑える効果が期待されるが、子宮頸がんの場合はワクチンだけで予防ができるわけではなく、検診も組み合わせて行わなければならない。
 日本国の台所は決して潤ってはいない。税金を効率的に使うためには、科学的根拠に基づいたワクチンに優先順位決定をしなければならない。また何もがんは子宮頸がんに限ったわけではない。胃がんもあれば、肺がんもある。何故子宮頸がんだけがという疑問に対してどう答えるのか。一つの種類のがんに特化されて政策が決定されていくというプロセスもおかしなものである。それがマスコミや政治主導で決められたというものであるならばなおさら納得できない人たちも多いであろう。
 以上が木村盛世さんの論文の内容です。この論文は月刊ウィルという雑誌の11月号に掲載されていますが、原稿は9月ごろに書かれたものと推察します。書店に販売されたのが10月の初旬ということになりますが、この論文が発表されるや否や、木村さんの指摘した点があまりにも的を得ていたらしく、その直後の10月26日に政府は細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)と小児用肺炎球菌のワクチンに対して公費助成する方針を決定しました。当初は子宮頸がんワクチンのことしか触れていなかったのですから、まさに後付けです。いかにこの子宮頸がんワクチンの公費助成がマスコミと政治主導によってもたらされたものかということを厚労省自ら証明してしまいました。
 この子宮頸がんワクチンのパンフレットを見たときに「発がん性HPVは全ての女性の80%が一生に一度は感染している。」と書いてありましたが、本当であればそのあとに続けて、「感染してもその90パーセントは自然に消滅してしまう」ということも書かなくてはウソになります。ここにこの会社のコマーシャリズムが真の公共性を有していないこと、即ち商業主義が見てとれます。
 私と同じような問題意識を持っている参議院議員がいます。薬害エイズの被害者として有名な川田龍平議員です。今年の8月5日の予算委員会では「子宮頸がんワクチンの使用促進キャンペーンが実施されているが、ワクチンの効用ばかりに重点が置かれていることに大変憂慮している」と述べ、検診の重要性や性教育の問題について政府の考えを質しています。また8月6日の厚生労働委員会では、ワクチンによる有害反応についての報告数について質問し、販売が開始された去年12月から今年7月までに37人に79の報告(死亡や障害が残る例はなし)があったとする答弁をひきだしています。そして「副反応被害などの情報収集は薬害を防ぐための肝になると思うので、薬害イレッサのように承認前から大々的に夢の薬のように宣伝されて薬害を広がせてしまった例もあるのだから、副反応など有害事象の情報解析に力を入れてほしい」と注文しています。
 つまり、川田議員は今の官民一体となって、ワクチンさえ打てばすべてバラ色の人生が待っているかのような、作られた空気に懸念を抱いており、安全性について十分確かめる必要性があると言っているのです。薬害エイズ問題において厚生労働省と戦ってきた川田議員だからこそ、冷静にこの問題を分析しているのだと思います。
 これまで言ってきたことをまとめますと、第一にHPVワクチンは子宮頸がんの一原因であるHPV感染予防ワクチンであるということ。すなわち子宮頸がん予防ワクチンと呼ぶに足りる効能がないということが言えます。
 第二に、HPVが性交渉によって感染するものであるので、小中学校の子供に接種するということは性教育の必要性が生じることになり、アメリカの例に見られるように、保護者や教師から子供にワクチン接種意義の説明をすることが難しく敬遠されてしまい、また逆にワクチンを打てば子宮頸がんにならないと誤解して性道徳が乱れる可能性があるという事も心配されます。
 第三に、安全性がまだまだ担保されていないことが挙げられます。新しいワクチンなので、日本においてその効能や安全性そして長期にわたる信頼される実験データがありません。すなわち今回の無料接種により本当の意味での検証がなされるということになるのです。外国で起こっている死亡をはじめとする有害事象についての研究はまったくと言っていいほど紹介されていませんし、情報公開がなされていません。ましてや人体に注入するわけだから、取り扱いについては慎重の上にも慎重を期していかなければなりません。ワクチンの説明書の添付文書を読むと、16型と18型のHPVに対してのみ予防効果が認められるに過ぎず、予防効果の持続期間はわからないとなっています。
 第四に、万が一安全性が担保されたとしてもこのがんは死亡に至る確率が0.1%と低く、また定期健診をしていればほとんど早期で発見、もしくは治療できるがんであり、啓蒙と健診率の向上で予防できるがんであるのに、わざわざ高額なワクチンを、性交開始前の年齢が適齢期だからと言って性について知識も深くない子供たちに接種する意味は全くありません。むしろ正しい公金の使い方ではないと私は確信します。
 いろいろと問題はあるけれど、それでも何人何十人何百人という人の命が救われればいいではないかと考える人もいるでしょう。しかしアメリカや韓国、オーストラリアでも重篤な有害事象は報告されており、インドなどではワクチンの有用性と受容性を調査する研究プログラム過程で120人中4名が死亡、その他重大な異常症状が発生したためインド医療研究評議会はこのプログラムの停止を命じたくらいです。その様なリスクを知ってそれでも接種しようとする人がいるでしょうか。少なくとも公金を使うからには安全性が確実に担保されていなければなりません。日本国内においての子宮頸がんワクチンであるサーバリックスの臨床試験は612例としていますが、絶対数が不足しています。その中でも99%に疼痛、88.2%に発赤、78.8%に腫脹、57.7%に疲労、45.3%に筋痛、37.9%に頭痛、24.7%に吐き気・嘔吐・下痢などが現れたという報告があります。つまり安全は全く担保されていない、むしろ有害事象の多さは驚くほどです。このような正体不明のものに対して公費助成は絶対にするべきではありません。
区民の生命を守るのが我々公の立場につく者の使命であります。豊島区ももう一度このワクチンとはいったい何者なのかしっかり研究してもらいたいと思います。マスコミや思慮のない政治主導に便乗してはなりません。日本の子宮頸がんに多い危険型のHPVに対して効果のない、しかも効果の持続期間が製薬会社自身認めているようにはっきりわからないワクチンを接種せずとも、意識の啓蒙によって、若いころからの定期的な健診率が向上すれば子宮頸がんはほとんど完全に予防できるのです。そして若者の性道徳の乱れを立て直していくことこそが有効な対策であることを断言します。これらの理由から子宮頸がんワクチン接種助成事業経費を含んでいる第54号議案平成22年度豊島区一般会計補正予算第2号には残念ながら賛成することができず、明確に反対の意思を表明して私の討論を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。