●2009年6月17日一般質問全文 (ワードデータで読みたい方はこちらより右クリックでダウンロードしてください。)

「人に優しくて住み良い豊島区、母国語をしっかり学び、真の国際人を育む教育豊島を目指して」

刷新の会 古坊 知生 

 刷新の会、古坊知生でございます。私は「人に優しくて住みよい豊島区、母国語をしっかり学び、真の国際人を育む豊島区を目指して」と題しまして、①駐輪場対策について②健康センターについて③日本語教育について一般質問を行います。区長をはじめ理事者の皆様の前向きな答弁を期待いたします。
 6月1日より、大塚駅周辺において放置自転車禁止区域が指定され、撤去作業がスタートいたしました。今まで放置自転車禁止区域の指定がなかった大塚駅周辺においては一大事件であり、区民への影響は甚大なものがあります。区としては混乱を避けるべく、事前の周知徹底を図り、いろいろな対策を施してきましたが、それでも私の方には地元の方々のいろいろなお声が入ってきます。6月1日から始動した放置自転車撤去作業においてこれまでに一日に何台程度撤去され、日々どのように推移しているでしょうか。そして区はその現状をどのように認識し、今後どうなると予測しているのでしょうか。また老婆心ながら撤去された自転車の置き場の確保は大丈夫なのでしょうか。お答えください。
 撤去作業が始まり、放置自転車は劇的に減少しました。6月10日発行の豊島新聞の一面に大きな見出しで「東京都放置自転車台数で大塚・池袋がワースト1・2」と書いてありましたが、この調査は昨年の11月に行われたものであり、現在は全く状況が変わっています。北口も南口も狭い歩道にまであった自転車がなくなり、歩行者の空間も確保されましたし、何よりも見栄えが確実に良くなりました。放置自転車の取り締まりに慣れていない大塚の方々には、いろいろとご不満な点は多々あるかとは思いますが、まだ始まったばかりですから、これから時間が経過するにつれて、理解も進むものと思います。ルールを守るということを教える意味での放置自転車の撤去作業は非常に大切です。商店街への影響も考慮しつつ、時には毅然とした態度も必要です。その辺のバランスが難しいですが今後の更なる奮闘を期待します。
自転車もそうですが、バイクの駐輪場の整備をしてほしいという声もよく聞かれます。区としては自転車の駐輪場が最優先事項であり、なかなかバイクまで意識が届かないかもしれませんが、バイクの駐輪場のニーズは確実に増加傾向にあると思います。大塚駅の北口にバイク専用の駐輪場を整備してもらいましたが、まだまだ利用者が少ないようです。広報等の再検討の是非や今後の整備方針を教えてください。
多くの区民の要望に応えていくことは難しい問題ではありますが、多様化している社会の中で、きめ細かな区民のニーズにこたえていくことも必要かと思います。是非とも今まで以上に区民の目線に立った行政をお願いします。
環境問題が叫ばれる中、自動車もハイブリッド車や電気自動車などがどんどん技術改良され市場に出てくるようになりました。自動車よりは自転車のほうが、自転車よりは徒歩のほうが環境という観点で貢献していることは事実ですが、できるだけ自動車を回避することを奨励しながらも、駅前に行くと駐輪場が足りないという状況が生じないようにしなければなりません。大塚駅舎の整備終了後、地下駐輪場が整備されると大塚駅前の駐輪場問題は大きく改善されると思いますが、そこに至るまでの期間が一番の課題です。暫定的に整備した登録制自転車置場の利用状況は全体的にどうなっているのか、そこから生じてくる課題は何か、区はどのように分析し、どのように課題を克服しようとしているのか。お答えください。
 次に健康センターについてお伺いします。健康センターに関しては、今まで豊島副都心開発調査特別委員会等を通じていろいろご説明を受けてまいりました。新庁舎の整備と一蓮托生の政策でありますので、時機尚早とは思いますが、知らないうちに議論が進められていく前に、私なりの考えを述べておこうと思います。
 豊島区未来戦略推進プラン2009によれば、豊島区の重点政策の一翼を担っているのが「健康」であります。健康であり続けることが、福祉あるいは医療にかかわる費用の節減にもつながりますし、豊島区においてその特徴である文化的活動のみならず、全ての活発な経済活動や社会生活を推し進める原動力となるはずであります。健康というテーマをより具体的に政策によって推し進めていくための発信源という意味であるならば、「健康センター」構想も政策的には認められるのかなと思いますが、しかし区のほうから提供されている情報を分析すると、まだまだ従来の発想を超えることができないでいると言わざるを得ません。もちろんまだまだ先の話ですから、これからいろいろと検討されていくのかなと思いますが、今後どのように検討が進んでいくのか、スケジュールを教えてください。
また進め方ですが、私はこれまで医師会や歯科医師会や薬剤師会、いわゆる三師会の方々が区政にどれだけ貢献しているかは十分承知しているつもりですが、健康センターという名称を使うのであるならば、もっと区民の健康を預かっている他の業界の方々にもたくさん参画してもらって区民の多様なニーズに応えていくべきだと考えます。そういう意味では広く門戸を開いて会議体を形成し、多くの団体や業界の方々に協力してもらえるような体制を作るべきと考えますが、そのようなことも含めて区の考えをお答えください。
 次に教育関係についてご質問をさせていただきます。先日私は世田谷区の教育委員会に行って参りました。目的は教育特区に指定されている「日本語」という教科について学んでくるためです。私は昨年の決算特別委員会においても主張したように、英語の前に母国語をしっかり学ばせようとする立場をとっています。世田谷区においては、平成16年12月に内閣府より日本語教育特区として認定を受けて以来、独自のカリキュラムを築き、教科「日本語」を小学校では週1時間、中学校では週2時間授業を行っています。小学校では「日本語」という世田谷区の教育委員会が作ったオリジナルの教材を使用し、中学校では哲学、表現、日本文化という教材を使用しています。そしてこの教科には10の柱の目標が設定されています。申し上げますと、
① 古典などの文学的素養を身につける
② 日本語のリズムを身につける
③ 郷土に伝わる文化を理解し継承する
④ 日本の文化を理解する
⑤ 語彙力を身につける
⑥ 読書の習慣を身につける
⑦ 言葉の働きなどの理解を深める
⑧ 自分の言葉で表現する力を身につける
⑨ 論理的思考力を身につける
⑩ 課題発見・解決能力を身につける、となっています。
私が特に注目するのは③と④です。③の「郷土に伝わる文化を理解し継承する」では、地元で語り継がれてきた民話、あるいは地名の由来や郷土のカルタなども紹介されていて、郷土愛、地域愛を育む教材となっています。④の「日本の文化を理解する」では、四季を表す沢山の言葉や、七夕やひなまつりなどの年中行事が紹介され、更に地域の年中行事も調べるようになっています。また、高学年になると、場面に適した敬語の使い方を学んだり、華道や茶道などのいわゆる伝統文化を研究するようになっています。中学校の日本文化の教材では、衣食住を基本として日本の文化ついて見たり考察させたりするようになっています。
全編を通して、日本語の響きやリズムの美しさを味わえる内容になっており、古文、漢詩、短歌に俳句や詩などをふんだんにちりばめ、格調高い教材となっています。中学校では日本文化のほかに哲学、表現などの教材があり、更に論理的思考や他者に対する配慮を学びます。いろいろと聞いてきましたが、私が普段からこうあるべきだと思うことが全てモーラされていて感動を覚えました。
豊島区においてもこれらを早急に全て取り入れてほしいとは言っておりません。しかし、子どもたちが敬語をあまり上手に話せない昨今の状況。
あるいは地域のことや日本の文化・伝統についてしっかり継承されていない状況を見るにつけこのままで本当にいいのかと心配に思うのは私一人ではないと思います。おじいちゃん・おばあちゃんが受け継いできた風習もっと言うなら日本の文化・伝統はお父さんやお母さんにそして、子どもたちに、核家族化が進んでいる今日においては受け継がれにくい状況になっています。だからこそ、日本らしさや日本の文化・伝統というものが衰退し、アメリカナイズされた個人主義的な考え方が蔓延するようになってきているのです。もう一度、古くから脈々と受け継がれてきた日本の良き文化、伝統を見直す作業が教育界に求められていると考えます。そういう意味で豊島区はこの世田谷区の日本語教育をどのようにお考えですか。また区でもこのような観点でいろいろな工夫をしていることと思いますが、それはどんなもので、またそれをより発展させるお考えはないでしょうか。
今まで杉並区や品川区などの教育改革を視察して見て参りましたが、世田谷区と合わせて3区に共通して言えるのは、リーダーシップの存在ということであります。杉並区では山田区長が、品川区では若月教育長が世田谷区では若井田教育長が強力なリーダーシップを発揮して、杉並区であるならば「杉並師範館」、品川区であるならば「小中一貫校教育」、世田谷区であるならば「日本語教育」という特色のある教育を推進しています。
私は全部その通りやりなさいといっているわけではありません。いいところがあったら、それをできる限り取り込む謙虚さを持ってほしいということです。日本人として生まれ、日本人として育ち、ある人は日本人として海外に出て行くわけであります。その時に日本や日本文化の素晴らしさ、あるいは故郷の素晴らしさを語れない人に外国の方が敬意を持つでしょうか。ただ馬鹿にされるだけでしょう。真の国際人となるには真に自国を愛する、自分の故郷を愛する心があって初めてその資格を得るものだと思います。そういう意味で母国語である日本語や日本文化をしっかり学ぶという姿勢を教育委員会には強く持ってほしいと希望するものであります。
昨年の決算特別委員会において私は小学校の低学年からの英語教育ということに否定的な発言をしました。その時教育委員会はALT制度を導入し、小学校の一年生から実施しているという意味で、英語学習においては先駆的な区であると誇らしげに語っていました。外国語は何歳になってからでも学べます。むしろ幼い時に母国語をしっかり学び、言葉を学びながら文化や風習を学ぶという方向性こそが正しい選択だと思います。
それからもう一点、母国語を学ぶということでは、読書の習慣をしっかり身につけるということも大切だと思います。世田谷区の日本語教育の中でも10の柱の中にありましたが、言葉をしっかり理解し、たくさんの本を読むことによって語彙力も当然増えますが、何と言っても想像力や論理的思考力が身につくということが読書の効果だと思います。今の子どもたちは純粋であるのはいいのですが、想像力や思考力というものが以前より欠けている気がします。基本的には集中力を高めるということが必要なのだと思いますが、読書というものは集中しないと内容が入ってこないものです。自分で考えることのできる子どもを育成するために、読書の勧めということにもこだわってほしいと思います。そういう観点から、今年度地元の朋有小学校では長年取り組んできた30人31脚への出場をやめて、読書を中心としたカリキュラムを開始することにしたと聞いています。全国大会まで出場した伝統ある30人31脚をやめて新しい取り組みを始めるということにおいては苦渋の決断だったと思いますが、その決断が評価されるかしないかは現場の教職員の方々の取り組みいかんです。しかし読書という観点は現代にあって逆に新鮮な感じがしました。くどいようですが、真の国際人とは外国語が話せるということが要素ではありません。自分の国のことをどれだけ知り、どれだけ誇りに思えるかということです。豊島区立の小中学校で真の国際人を育む教育がなされるよう教育長の強力なるリーダーシップの発揮をご期待申し上げて私の一般質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。